林 芳亨|デニム業界の第一線で長く活躍するリゾルトのデザイナー。ジーパンに限らず、洋服への深い愛情を感じるスタイリングに傾倒するファンも多い。
シンプルなアイテムを大切にしながら長く着る。
「若い頃からフランスとイギリスにはよく足を運んでいたけど、 僕が気なるイギリスのアイテムはシンプルなものがほとんど。だから買ってすぐに着るっていうよりも、馴染んだ雰囲気にすることが多いね。
後はサイズ選びもかなり大事にしてます。例えばトレンチコートとかも着たらカッコええなと思うけど、やっぱり体格が日本人とイギリス人では違うから、どうしても違和感が出る。やっぱり胸板の厚さがが全然違うから、日本人が着て似合う服と似合わない服があるような気がしてます。
その点、バブアーは日本人でも似合うし、やっぱりくたびれた感じがかっこええなと思いますね。特に現地の人たちは一着を長く着て、洋服が道具というような捉え方をする文化やから、みんないい感じでくたびれたモノを着てるなと思います。
シンプルなアイテムを大切にしながら長く着る、そんなイギリスのカルチャーはジーパンにも通ずる部分だよね。先人達から受け継がれた生き方だとは思いますが、一周回って今っぽい考え方でもあるんじゃないかなと。一着一着を大切にしながら、ライフスタイルが現れるような着こなしをしていきたいね」
ラベンハムが新鮮に感じるモダンなハンティングスタイル。
浅めのハイランドのニットキャップに丸みのあるカトラー アンド グロスのサングラスが絶妙なバランス。ラベンハムのジャケットにクオリティーガンスリップスのハンティングバッグを合わせたハンティングスタイルにリゾルトの710の綺麗なシルエットとジャケットの絶妙なサイズ感が、上品さを醸し出す。バーバリーといえばベージュが主流ですが、グレーをセレクトしたのも林さんらしい合わせ方。
ビビッドなマフラーが風合いのある服を際立たせる。
セージのソルウェイジッパーはボディの色ムラやコーデュロイの褪せた雰囲気が英国らしさを醸し出すアクセントに。落ちついた色合いながら “シャギード ッグ” とも呼ばれるニットの毛羽立った質感が絶妙な上品さを演出。ジョンス メドレーのマフラーでメリハリを付けながら、足元のチャーチがコーディネイ トに落ち着きと風格を与えている。程よく色落ちたジーパンはリゾルトの711。
ジーパンと同じように、育つアイテムに惹かれる。
一着を長く着て、洋服が道具というような捉え方をする英国の文化に共感する林さん。シンプルなアイテムを大切にしながら長く着る、買ってすぐに使うのではなく、野ざらしにするなど、愛情をかけて育てている愛蔵品を厳選して紹介する。
ラベンハム
「ラベンハムってどうしても堅いイメージがあると思うけど、ヤレた風合いになってから着るのが恰好いい。男らしくザクっと羽織れるし、薄くて軽いから運転中にも便利やね」
ハイランド
「このニットキャップは古くて10年くらいは使ってます。現地の人が被ってそうな浅ささと、使用感が出てきたなと。向こうの漁師とかが被ってそうな雰囲気でしょ」
クオリティーガンスリップス
「ハンティングバッグはいろいろなブランドがあるけど、これはタフなドリル生地がいい。 これも実際に使う前に野ざらしにしてるから、 いい風合いがでてきたね」
カトラー アンド グロス
「ロンドンで購入したサングラスやけど、丸みのあるフレームが気に入っています。それとこのブランドはケースが錆びて、いい味が出てきたよね。そんなところもエエ感じかなと」
アンダーソン アンド コー
「テラコッタというかこのオレンジ色が絶妙。もうひとつのニットよりジャストサイズなので、着るだけで上品な雰囲気になるかと。英国製はサイズでかなり印象が変わると思います」
バブアー
「これは以前の企画で紹介したもの。最初に風呂場でオイルを落として、その後は定期的に野ざらしにしてます。ボディもだけど襟のコーデュロイ部分もエエ感じに育ってきました」
(出典/「2nd 2023年1月号 Vol.190」)
Photo/Akane Matsumoto Text/TRYOUT
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