【業界人のT P O 別着こなし術】大人メンズのデートコーデ10選

いくらスーツスタイルが得意であっても、デートにガチガチのセットアップでは笑われてしまう。真の洒落者は、時と場合に応じた力の入れどころと抜きどころをちゃんと心得ているものだ。そこで業界屈指のウェルドレッサーたちに、着こなし術を見せてもらった。

1.「ファイブワン銀座本店」店長・泉敬人さん|スカーフとチーフを差し込んでカジュアルの中にも上品さを。

ジャケット10万3400円、パンツ5万600円、シャツ1万8700円/ファイブワン(ファイブワン銀座本店 TEL03-6263-0688)、シューズ/ワナ マリア フィオーリ

ネイビーのジャケットにオフホワイトのパンツを合わせた爽やかなコーディネート。ブルー系のリネンシャツを合わせ、足元をグルカサンダルにすることで、より力の抜けた印象を与えている。

「狙ったのは、ドレスコードギリギリのコーディネートです() デートではフォーマルすぎても相手にプレッシャーを与えてしまうので。チーフとパンツの色合わせをするなど、配色にも気を使いました」

ノータイなので、カジュアルすぎないようにスカーフとチーフをプラス。チーフは穿いていたパンツのカラーリングと合わせて統一感を出した
足元はグルカサンダルでカジュアルに。爪が見えないように配慮し、ドレスコードのあるレストランでも入れるように配慮しているのもポイントだ

2.「SDI」営業・大橋崇弘さん|ニットポロのインナー使いでうまくカジュアル感を演出。

ジャケット7万4800円、スラックス4万1800円/イーストハーバーサー プラス、ニットポロ4万1800円/グランサッソ、シューズ5万2800円/フェランテ

ネイビー×ブラックの通なカラーリングが光るジャケットコーデ。Tシャツほどカジュアルでなく、シャツほどかしこまらないニットポロをインナーに使っているのが好印象。足元はビットローファーでほどよくカジュアル感を出した。

「得意とするイタリアではなく、フレンチ的なテイストをうまく加えてみました。カジュアル感も大事なスタイルなので、足元はソックス無しでローファーにしました」

ワークのテイストも取り入れた2つボタンのジャケットにニットポロシャツといういい塩梅のバランスが秀逸。暗めのトーンで大人っぽい印象に
トップスのブラックに合わせて、足元はスウェードのビットローファーに。少し短めのスラックスを合わせることで、グッとこなれた印象となる

3.「サファリ」店長・田島佑介さん|スカーフ×カットソーで絶妙なバランスに!

ジャケット/スティレラティーノ、カットソー/オールドホームステッター、スラックス/ベルウィッチ、スカーフ/エルメス、シューズ/ジェイエムウエストン

デートの時は気合いを入れすぎてもNGなので、ジャケパンスタイルでカジュアルな印象に仕上げている。さらにインナーにカットソーを選ぶことで、より力の抜けたコーディネートを狙った。エルメスのスカーフとスカーフリングのコンビで華やかさもプラスしている。

「カットソーがカジュアルなので、 ダブルブレストのジャケットとスカーフでうまくバランスを取り、足元にはボリュームを出しました」

あえてネクタイではなく、スカーフをしているのがポイント。スカーフリングを使うとよりドレッシーな印象を与えられるので持っておいて損はなし
J.M.ウエストンの隠れた名作であるハントダービーをチョイス。 かなりボリュームがあるので、ダブル仕上げのスラックスでうまくバランスを取った

4.「ドゥエア・インク」手塚直樹さん|ディナーデートを想定し 多少艶っぽさを表現。

ジャケット、ポロシャツ/ともにバフィ、パンツ/ジェルマーノ、シューズ/イルモカシーノ

カッチリし過ぎず、力の抜きどころが肝となるデートスタイル。ネイビーとブラウンのアイテムでコーディネイトすることで、上品で知的なスタイルを演出。

「デートスタイルは夜を想定していたので、少し艶っぽさを演出できるネイビーとブラウンを軸にコーディネイトしました。万が一、ジャケットを脱いでも空間や相手に失礼のない襟付きのニットポロにネッカチーフでアクセントをつけました」

時計、ジャケットのボタン、シューズのビット部分など、細かなパーツはゴールドカラーで揃えることで、トータルコーディネイトに統一感が生まれている
女性を引き立てるコーディネイトを意識するのが基本だが、コーディネイトのアクセントとしては有効なアイテム。あくまでも決め過ぎないのはポイント

5.「フェアファクスコレクティブ」商品企画・坂井哲也さん|軽快な素材感とパンツのシルエットでゆるさを表現。

ジャケット/ユナイテッドアローズ、シャツ、ネッカチーフ /ともにフェアファクスコレクティブ、パンツ/ビームス、シューズ/ブリック

クラシカルな段返り3つボタンのジャケットと淡いブルーのシャツ、いずれも清涼感のあるリネン素材で、生地やシルエットで着崩すお手本的なコーディネイト。

「結婚式、パーティの装いと大きく異なるのはパンツのシルエットです。太めのシルエットのパンツを穿くことでカジュアルな印象に大きく変わります。またリネンやキャンバスなど季節感を演出するのもTPOを弁えるポイントです」

ジャケットの袖から覗くシャツのカフス部は数センチほどロールアップ。ジャケットの素材感もさることながら、着こなしの細かなテクニックが効いている
仙台の知る人ぞ知る名店ブリックにて10年以上前にオーダーしたオックスフォードシューズ。アッパーにはブルーのコットンキャンバス生地が使われている

6.「ボンビュー」オーナー・大島拓身さん|ウエスタンの要素を入れた個性的なジャケパンスタイル!

ジャケット/レノマ、ウエスタンシャツ/ Vintage、パンツ/リーバイス、シューズ/ ジェイエムウエストン

ネイビージャケットにグレースラックスという超王道なジャケパンスタイルでも、大島さんとなれば、なんとも個性的で大人なスタイルに。まさにスタイリングの妙とも言える当スタイリングはウエスタンの要素を随所に落とし込んだ。

「ボトムスがブーツカットなので、ジャケットは丈が長い方が合います。 またインナーにウエスタンシャツを着ることでカジュアルかつ全体の統一感を狙いました」

ブーツカットのカウボーイパンツを合わせているので、着丈の長い古着のジャケットでうまくバランスを取っている。インナーはウエスタンシャツ
足元までウエスタンブーツにしてしまうとトゥーマッチなので、ほどよくドレッシーなチェルシーブーツに。これだけで上品な装いとなる

7.ファッションクリエイター・高田朋佳さん|デートの主役は女性をテーマにほどよく主張するワントーンスタイル。

ジャケット9万9000円/トモヨシ タカダ プロデュースド バイ リングヂャケット、パンツ/ベルウィッチ、ニット/コロニークロージング、シューズ/ ボードインアンドランジ、チーフ/ビームス F、時計/オーデマ ビゲ (ともに本人私物)

ビッグチェックがなんとも印象的なジャケットを主役にスタイリングされたデートスタイル。そこには高田さんならではのデート哲学を内包している。

「デートの主役はあくまでも女性だと思っているので、相手を引き立てるコーディネートを意識しています。具体的にいうとモノトーンスタイル。インナーやパンツなどのベースはダークカラーを選び、存在感のあるジャケットで大胆にまとめ上げました」

上を脱いだ時に、一枚でもサマになるニットポロはキーアイテム。くたびれていたり、パリッとしすぎていたりしないちょうどいい素材感のものを選びたい
シンプルなスタイルこそ、主役級の小物を惜しみなく選ぶのもポイント。特に時計は、男の “格” を上げる重要なアイテムだけに、ひとつは準備しておきたい

8.「シップス」渋谷店副店長兼バイヤー・小川厚也さん|クラシカル&リラックスをテーマに、バランスよく着こなしたデートスタイル。

ジャケット13万9700円/ヴァル ディターロ、パンツ4万6200円/ベルナール ザンス、インナー3万1900円/ジョンスメドレー、シューズ3万5970円/ソロヴィエール(以上、すべてシップス銀座)

「デートの時こそ、入れ込まないように気をつけています」という小川さんのデートスタイル。ブラック、ネイビー、グレーの3色を使ったダークトーンで、ユルくまとめられたスタイリングが印象的だ。

「肩肘張らない着慣れたスタイルがテーマなので、ややルーズフィットでまとめました。ただ全体的にユルくなりすぎないよう、ダブルブレストのジャケットなどクラシカルなアイテムで調整しています」

ダブルブレストのジャケットはボタンをあけることでよりリラックスした雰囲気を演出。シーンに合わせて簡単に調整できるのもまたポイントとなっている
足元にはクラシックさとリラックス感を併せ持ち、強烈な個性も放つバレエシューズをセレクト。ラグジュアリーなスウェードがデートシーンにマッチ

9.「ビームス」プレスチーフ・安武俊宏さん|フォーマルカジュアルを素材使いとサイズバランスで舵取り。

セットアップ/ブリッラペルイルグスト、ニット/モアレス、シューズ/エンツォボナフェ、時計/ロレックス、メガネ/オリバーピープルズ(すべて本人私物)

素材とサイズ感を駆使してほどよい塩梅にまとめあげた安武さんのデートスタイル。「襟なしのスタイルですが、コットンTではカジュアルになりすぎてしまうので、ニットTを選択。またスーツはフォーマル使いできるクオリティのものですが、ジャストサイズより2サイズアップしたものを選んで、リラックス感をプラスしてみました。素材とサイズを変えるだけで、見え方って大きく変わりますね」

硬くなりすぎないように、時計はNATOストラップにアレンジして着用。細かなところまでちゃんとこだわることで、スタイル全体に統一感を帯びる好例
足元には遊びを効かせたビットローファーをセレクト。コーディネートの中でもインパクトが強いニットTシャツの存在感を少し和らげる目的も兼ねている

10.「伊勢丹新宿店」バイヤー・稲葉智大さん|上質かつリラックスなアイテムでまとめ抜いたデートスタイル。

ジャケット/アルフレッドリフュージオ、パンツ/カンタータ、ニット/セッテフィーリ カシミア、シューズ/ボードインアンドランジ

ダブルブレストのレザージャケットという印象的なアイテムをコーディネイトの中心にする稲葉さんのデートスタイル。そのテーマは「上質×リラックス という。

「デートとなるとあまり格好つけすぎたくないですが、ジャケットは必須。なのでスエードのダブルブレザーというヌケ感のあるアイテムを選びました。中に着たシルクのニットや、ウールパンツなども同様の基準でセレクトしています」

レザージャケットのヌケ感とブレザーの上質さ、その両方一度に楽しめるスエードのブレザー。インナーには光沢のあるシルク混紡のニットをチョイスする
ジャケットとファブリックコーデされたスエードのルームシューズ。上質さの感じるウールパンツは太めのフレアシルエットとリラックス感も持ち合わせる

※情報は取材当時のものです。現在取り扱っていない場合があります。

(出典/「2nd 202210月号 Vol.187」)

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