年表で読み解く、アウトドアファッションの歴史とブランド。【②1970~1980年代】

  • 2021.10.26  2020.08.19

野外活動や局地など特定のフィールドに向けたアウトドアアパレル。その優れた機能服はいかにしてデイリーユースとなっていったのか? アメリカと日本のシーンを中心にその変遷を追ってみる企画の第2回目は1970~80年代。日本にアウトドア文化が上陸し、アウトドアアパレルがタウンユース化していく時代である。

▼創成期(~1960年代)の軌跡はこちら

年表で読み解く、アウトドアファッションの歴史とブランド。【①創成期~1960年代】

年表で読み解く、アウトドアファッションの歴史とブランド。【①創成期~1960年代】

2021年10月26日

【1970年代】日本にも本格的なアウトドア文化が上陸。

アメリカではバックパッキングブームの衰退とともに多くのガレージブランドが淘汰され姿を消していく中、いくつのか実力派だけが生き残り、世界的なグローバルブランドへと成長していった。一方日本では『Made in U.S.A. Catalog』や『ヘビーデューティーの本』といった関連書籍の登場により、アメリカのユースカルチャー、とりわけアウトドアおよびアウトドアアパレルへの関心が一気に高まり、並行輸入が中心ながらもワークブーツやダウンジャケットなど各種ギアが持ち込まれた。

こんなカッコしてました!

アウター4万4000円/シエラデザインズ(アリガインターナショナル☎03-6659-4126)、パンツ2万8380円/ Vintageリーバイス ( ベルベルジン☎ 03-3401-4666)、ブーツ4万1690円 /レッド・ウィング (レッド・ウィング・ジャパン☎03-5791-3280)、その 他スタイリスト私物

この時代はとにかくアメリカ製に夢中だった。ロクヨンパーカにデニムはブッシュタイプ、足元は王道レッド・ウィングがお約束。

1970年

イヴォン・シュイナードがシュイナード・イクイップメントの直営店としてベンチュラにグレートパシフィック・アイアンークスをオープン。

初のオリジナルバッグ[フィッシュパック]。1974年に同社初の紙媒体であるタブロイドでニュースとして紹介された。

1970年

WLゴア&アソシエイツ社がゴアテックスの最たる特徴でもある延伸多孔質ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)を採用したプロダクトで初の特許を取得。

©2018W. L. Gore & Associates, Used by permission.

ゴアテックスの誕生は創設者の息子にあたるボブ・ゴアがある条件下でポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を急速に延伸させたことがきっかけとか。

1973年

シュイナード・エクイップメント社が衣料品の輸入業・製造販売を開始し、衣料品のブランド名としてパタゴニアと命名。

1975年

日本国内で『Made in U.S.A. Catalog』がリリースされ、一大アメカジブームが到来。翌年には『Made in U.S.A.-2』も発表される。

1976年

雑誌「メンズクラブ」シエラデザインズのロクヨンパーカが初めて紹介される。平均初任給10万の時代になんと4万9000円もした!

1976年

ゴアテックスファブリクスを使用した初めてのマウンテンパーカが完成。

伝説のブランドとして語り継がれるシナジーワークスをはじめ、大小様々なブランドがゴアテックスをマウンパに採用した。

1977年

小林泰彦著『ヘビーデューティーの本』がリリースされ、バックパッキングブームが日本にも到来。1975年に日本でも出版された『Made in U.S.A. Catalog』と共にファッション業界に身を置く誰もがバイブルと口にする2大書籍の登場で日本のアウトドアシーンが一気に活気づいていく。

1977年

サンディエゴにてウェイン・グレゴリーによりグレゴリー・マウンテン・プロダクツ社が設立され、着るように背負うという哲学のもと名作[デイパック]などが発表される。

“背負うのではなく着る” という独自のフィッティング哲学のもと、ウェイン・グレゴリーがノンフレームのバックパックを完成させた。

1977年

パタゴニアのパイルジャケットのプロトタイプが完成。写真は現在リテールストアになっている最初のオフィスで見ることができる。プロトタイプは毛玉だらけでした……。

パタゴニアがウエアを作るきっかけとなったのが英国製のラガーシャツ。1970年、イヴォンが旅行でスコットランドを訪れた際に購入したラガーシャツは英国アンブロ社製で、本社にはアンブロのタグの上からシュイナードのタグが縫い付けられたラガーシャツが飾られている。

1978年

東急ハンズ渋谷店がオープン。ヘビーデューティなアイテムを多く取り扱う。

1979年

グレートパシフィック・アイアンワークスの衣料品部門を分離法人化し、オリジナル衣料ブランドとしてパタゴニアが設立される。

1979年

ゴアテックス社との共同開発により世界初のゴアテックスブーティ採用マウンテンブーツ[ダナーライト]がダナー社よりデビュー。防水透湿性能により靴内部を快適にした。

【1980年代】シンチラの登場により色鮮やかなアパレルが一大ブームを起こす前夜。

パタゴニアの登場以降、それまでマウンテニアリングに限定されていたアウトドアアパレルがサーフやアフターアクティビティの領域へと進出。サーファーやキャンパーといったいわゆるライトユーザーに向けた市場が拡大するとともに、アウトドアアパレルのタウンユース化が顕著となっていく。とはいえ、日本は空前の好景気に沸きバブル期に突入。DC ブランドブームの到来とともにいわゆるアメカジやヘビアイからの離脱組が相次いだ。

こんなカッコしてました!

アウター2万2000円、シャツ4400円/ Vintageエル・エル ・ビーン(ベースキャンプ☎03-3388-2611)、シューズ2万3100円、バッグ8690円/ エル・エル・ビーン(エル・エ ル・ビーン カスタマーサービスセンター☎0422-79-9131)、 その他スタイリスト私物

早い人はメールオーダーもしていたこの時代。全身ビーンのヘビーデューティスタイルも人気のスタイル。ダック地のジャケットも定番だった。

そして今でも定番であるトートは当時はみんなソニー・プラザで手に入れていたのを覚えているだろうか? ’91年にエル・エル・ビーン・ジャパンが設立される以前の’80年代には、あのソニープラザがトート・バッグとビーン・ブーツだけをセレクトして輸入販売していたため、ソニプラで手に入れるのが当たり前だった。

1980年

ジョン・バブアーによって1894年に英国で設立された由緒正しき名門「バブアー」。名作ワックスドジャケットとして名高い乗馬用の[ビデイル]、’83年には狩猟用の [ビューフォート]を立て続けにリリースした。

1983年

ユタ州を拠点とするリバーガイドによりサングラスの落下防止ストラップをメインに展開する専業ブランドとしてチャムスがスタート。

今やバックパックからアパレルまで様々なアイテムを展開するチャムスも、最初期はサングラスストラップの専業ブランドとしてスタートしたのは意外と知られていない。

オレが初代の ブービーバードさ♪

1984年

グランドキャニオンのリバーガイドにより世界初のストラップサンダルが開発され、同時にテバがスタート。

1987年にブランド初の特許となるユニバーサルストラップシステムを生み出したテバ最初期のプロトタイプコンテがこちら。

1985年

パタゴニアが毛玉のできない両面起毛素材シンチラを開発し、ベストセラー[シンチラスナップTネック]などを発表。

毛玉のできない両面起毛素材シンチラをモルデン・ミルズ社とパタゴニアが共同開発。第一次フリースブームを起こした。

1985年

現代バックパックの父とも称され、後にミステリーランチを設立するデイナ・グリーソンが自身の名を冠したパック専業ブランド、デイナデザインを設立する。

1985年

アメリカ陸軍ネイティック研究センターがアウトドアブランドの協力を得て拡張式寒冷地被服システム、ECWCS(通称エクワックス)の第一世代を発表。ゴアテックス社の防水透湿素材やポーラーテック社のフリース素材、保温性中綿素材プリマロフトなどを採用したレイヤリングシステムを導入する。

米軍発の新型レイヤリングシステムECWCS が発表。レイヤー4にあたるパーカとパンツにはアウトドア由来のゴアテックスが採用される。

1986年

ミネソタ州の小さなガレージブランドとしてグラナイトギアが設立される。

1988年

北カリフォルニアのカスタムシューズメーカーに在籍していたマーク・ペイガンによりコロラド州パオニアにてチャコが設立される。

1988年

ニューハンプシャー州で1981年に設立されたワイルドシングスが日本初上陸。

1989年

クライマーのデイブ・レーンとジェレミー・ガードによりカナダはブリティッシュコロンビア州ノースバンクーバーにてアークテリクスが設立される。

1989年

10月12日にパタゴニア日本直営店舗第1号店として「パタゴニア・ストア 東京」が東京・目白にオープン。

 

アウトドアアパレルは日本に上陸後、1980年代に入りDCブランドの台頭で一時期鳴りを潜めることに。その後、90年代に入るとストリートファッションとミックスする形で再び脚光を浴びることになる。その話は次回!

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