初代モデルとは隔世の感。700km以上を走れる第3世代のリーフ
新型リーフのラインナップは、S、X、Gの3つのグレードで構成されている。昨年10月に先行発表されたのは78kWhの『B7』で、B7にはこの3グレードともが用意されていた。この2月にはよりリーズナブルなB5も登場。こちらには最上位グレードのGはラインナップされない。


初代リーフが世界初の量産型電気自動車として発売されたのは、15年以上前の2010年12月のことだ。当時は24kWhや30kWhのバッテリーを積み、航続距離は公称200kmとされていた。実は当時も『世界初の量産型電気自動車』として、車両を借りて試乗したのだが、当時の実走行では冬場の急速充電が80%で制限されるなどの要因もあり、実際には100km少々しか走れないこともあった。充電設備も不十分で、筆者もかつて充電スポットのない夜道をヒヤヒヤしながら走った経験がある。

それが今や、公称値ながら700km以上の走行が可能になった。いろいろな条件のある実走行ではその距離を走り切るのは難しくても、それに近い距離を走れるようになったことで、運用の安心感は格段に増している。
日本にフィットする新開発のEV専用プラットフォーム
今回の第3世代リーフの大きな特徴は、EV専用プラットフォームを採用した点にある(実は従来のリーフはゼロから開発したEV専用プラットフォームではなかったのだそうだ)。センタートンネルのない完全な電動車専用設計となり、これまでのハッチバックスタイルから流行のクロスオーバーSUVへと進化した。

また、日本の環境に合わせた設計も光る。カーブの多い日本の道路事情に合わせたキビキビとしたハンドリングを実現し、空力性能(Cd値)においても0.26という非常に優れた数値を叩き出している。

一昨年筆者がアメリカで試乗したテスラのモデル3と比較すると、リーフは車格が一回り小さく、価格も安く抑えられている。モデル3は日本で乗るには車幅が大きいため戸惑う人もいるかも。日本製品として細やかな配慮が行き届いたリーフの方が、日本の環境下では使いやすいシーンも多いだろう。専用プラットフォームの採用により、全体として非常に完成度の高い『こなれた』仕上がりになっている。
俊敏なハンドリングと、敏感過ぎないアクセル
実際に乗ってみた感想として、車体のコンパクトさは日本の道での走りやすさに直結しており、ハンドリングも軽快であった。

EVは踏んだ瞬間にパワーが立ち上がる特性を持つが、この車は出だしをあえて緩やかに設定しているように思う。
もちろん、十分なパワーはあるので、加速したい時にはしっかり踏めば力強く応えてくれる一方で、発進時に驚かされることがない。ギクシャクせずにスムーズに走れるこの演出は、非常に好印象だ。剛性感もしっかりしており、1.8トン程度というEVとしては比較的軽量な設計が、扱いやすさに寄与している。特に今回試乗した78kWhの『B7』グレードは、床まで踏み込めばスポーツカー顔負けの加速を披露してくれる。航続距離の長さも魅力。また、車からの給電機能など、EVならではの多機能性も備えている。
もちろん日産のお家芸であるプロパイロット2.0も選択可能だ。

長い歴史を持つ自動車メーカーならではの『EV』の安全性
乗ってみて、やっぱりいいなと思うのは長年車を作り続けてきたメーカーならではの、積み上げて来た『自動車としての安全性』だ。
ガソリン車は、エンジン、ミッション、油圧系、水冷の冷却系、電気系などが複雑に絡み合っており、簡単には作れないが、EVは極論すれば、バッテリー、コンバーター、ECU、モーターなどを組み合わせれば作れるような側面もある。
しかし、日産のような既存メーカーからは『車とは本来どうあるべきか』という安全性に関する矜持を持っているように思う。例えばドアノブの設計だ。昨今、水没時や事故時に開かないフラッシュサーフェスのドアノブが問題になっているが、リーフは空力のためにフラッシュサーフェスのドアノブを採用しながらも、手動で開ける構造を維持している。事故や火災で電源が落ちた際、乗員を救出できなくなる事態を防ぐための配慮だ。長年、多くの事故を見てきて、さまざまな経験値の上にクルマ作りが成り立っていることを感じる。

ボンネットの中にもそういう配慮があることに驚かされた。ボンネットを開くと、重くて固いインバーターの背後には、前方衝突時にインバーターが室内のエアコンユニットを押しつぶさないよう、あえて外れる『ブレーカー』のような役割を果たす保護構造が組み込まれている。硬いシステムが乗員にダメージを与えないよう、裏側のクラッシャブルな構造まで計算し尽くされているのだ。

一方で、気になる点もいくつかあった。デジタルルームミラーは、老眼の影響で近くの画面にピントを合わせるのが難しく、遠くの対象を見る光学ミラーの方が扱いやすいと感じる場面があった。

また、アリアと同様にタッチパネルのボタンが物理式でないため、運転中に手探りで操作できない点も好みが分かれる。

荷室も意外とコンパクトな印象を受けた。このクラスだとこんなものかもしれないが、多趣味な筆者としては、物足りない。

今回の試乗は近距離のみであったため、いずれ機会を見つけて遠乗りでも試してみたい。もし試乗に際して確認してほしい事項などがあれば、X(旧Twitter)のコメント欄などで知らせてほしい。改めて詳細なレポートを伝える機会を持てればと考えている。

(村上タクタ)
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