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Adobe、生成AI機能を強化。Lightroom、Photoshop、Illustrator、Fireflyをアップデート

Adobeは2025年6月17日、Lightroom、Photoshop、Illustrator、Fireflyの各製品に対してAI機能を中心とした大規模なアップデートを発表した。今回の新機能の多くは本日夜以降、順次アップデートとして提供が始まる。静止画生成は多くのプランで無制限。動画生成などの一部機能については、生成クレジットを消費する仕組みになっている。他社製AIモデルの利用も、Adobeの生成クレジットの範囲で対応されるため、個別に契約したり課金したりする必要はない。

Photoshopの新機能はレイアウトと切り抜きを一新

Photoshopでは、新たに導入された『ダイナミックテキスト』を使うと、テキストの流し込み時に、行間、フォント設定の変更がリアルタイムで反映され、枠サイズの変更に応じて自動的に文字のレイアウトが調整されるようになった。タイトル画面でユニークな表現を素早く行えそうだ。日本語の縦書きにも対応しており、書式の変更に応じて印象が大きく変わる様子がデモで示された。


一方で、被写体選択や背景削除といった既存機能も、AIを使ったクラウド処理への対応によってクオリティが飛躍的に向上している。これまで煩雑だった自転車のスポークや網状のものなど従来面倒だったタイプの切り抜きを素早く行えるようになった。クラウド処理のON/OFFは環境設定で切り替え可能で、従来どおりローカル処理も選べる。

Illustratorは生成拡張とライブ描画で表現力を強化

「生成拡張(Generative Expand)」がIllustratorでも行えるようになった。既存のベクターグラフィックに対してAIが自動的に周囲を補完することで、横長のデザインを正方形に変形したり、印刷用データに不足している『塗り足し』部分を生成したりすることができる。この補完はもちろんスケーラブルなベクターデータとして提供されるため、後から自由に編集・拡大できる。

鉛筆ツールがライブ描画に対応し、描きながらリアルタイムで線が表示されるようになった。従来のようにパスだけが表示されて、ペンを離した後に初めて線が見えるという仕様に慣れていたユーザーには若干の戸惑いもあるかもしれないが、実際の操作性は直感的で、手描き表現が格段にしやすくなったように見受けられた。加えて、全体的な描画パフォーマンスも向上しており、複雑なパスを含むファイルでもストレスなく操作できるようになった。

Fireflyは他社AI連携とモバイル対応で一段階進化

Fireflyは、生成AIを中核に据えたAdobeのビジョンを象徴する存在となってきた。今回の発表では、3つの重要な進展が示された。まず、他社製AIモデルとの連携が拡大。OpenAIやGoogleのImagenシリーズに加え、Ideogram、Runway、Pika、Lumaなどのモデルが新たに利用可能になった。これらは『Firefly Board』上で先行して使用でき、将来的には他のアプリケーションにも展開される予定だという。

『Firefly Board』はパブリックベータとして一般公開された。これは無限キャンバス上で画像・テキスト・動画などの素材を自由に配置しながら、アイデア出しから制作までを一貫して行えるツールである。Adobe StockやCreative Cloudのファイルも直接読み込み可能で、生成した画像や動画のバリエーション、リミックスの生成など、試行錯誤の時間を大幅に短縮できる。

そして、待望のモバイル版『Firefly』がiOSおよびAndroidで提供開始された。特筆すべきは、スマートフォン上で『テキストから動画生成』や『画像から動画生成』が可能になった点である。生成された動画は、開始と終了の画像(キーフレーム)をもとにAIが自然なパン&ズームなどを適用して構成する。旅先でのスナップやスケッチから、その場でクオリティの高いアウトプットを生成できるという意味で、生成AIを『ポケットに入れて持ち歩ける』感覚に一歩近づいた印象を受けた。

Lightroomと未実装機能にも注目

Lightroomにも新機能が追加された。特定の部分を自動で検出し、その部分だけを修正するクイックアクション、不要な人物や部分を数回のタップで検出、削除可能な『不要な箇所の削除』などは素晴らしく便利そう。

また『反射除去』機能も、多くのシーンで役に立ちそうだ。ガラス越しの撮影などで発生した反射を自動的に除去できる。RAWファイルでなくても処理が可能となり、実用性が大きく向上した。

AIによる写真の選別支援機能はとても便利そう。目を開けている写真だけを抽出する、複数の顔をレタッチする、といった処理を自動化することで、大量の撮影データから使えるカットを効率よく見つけられるようになるという。これらの機能は「スニークス」として紹介され、現時点では正式リリース時期は未定。

実装時期と今後の展望

今回のアップデートで紹介された機能の多くは、2025年6月17日夜以降に提供が開始される予定である。一部の試験的機能(スニークス)を除き、Photoshop、Illustrator、Lightroom、Fireflyの各製品でアップデートが順次反映されていく見込みだ。

生成AIを利用する画像生成サービスは数多く存在するが、Adobeは自社サービスの作業効率を上げ、これまで行っていた作業と同一のクオリティを、簡単、便利に行えるというアプローチである。多くのクリエイターのツールととして存在するAdobeならではのアプローチだといえるだろう。

(村上タクタ)

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おせっかいデジタル案内人

「ThunderVolt」編集長。IT系メディア編集歴12年。USのiPhone発表会に呼ばれる数少ない日本人プレスのひとり。趣味の雑誌ひと筋で編集し続けて30年。バイク、ラジコン飛行機、海水魚とサンゴの飼育、園芸など、作った雑誌は600冊以上。
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