メガネへのこだわりは、十人十色だ。ファッションの前に道具であるメガネは、人それぞれで求める要素がまったく異なるからだ。今回ご登場いただいたのは、ジャパンデニムを象徴するザ・リアルマッコイズの最高執行責任者である辻本氏。
氏のアイコンにもなっているメガネは、どれもクラフトマンシップに溢れた逸品であった。
掛け心地においては天然素材に勝るものはない。

時代や国を問わず、オーディオからクルマ、果ては焙煎機まで様々なプロダクトデザインに精通する辻本氏。氏のアイコンにもなっているアイウエアにおいても、強いこだわりや見識を持っている。
数あるコレクションの中でも、一際強い存在感を放っていたのが、メガネフレームの中でも最上級となる本鼈甲だ。さらに本鼈甲の中でも、もっとも数が少ないツメ甲からしか取れず、その中でも透き通るような美しさを持つ“白甲”と呼ばれる希少部位が使われた唯一無二の個体だ。
「この本鼈甲フレームは、老舗の眼鏡店で何十年も飾られていた、その店の象徴的なものだったんです。僕が手にするまで、何人も試したそうですが、本鼈甲のフレームとしてはかなり大きく、サイズの合う方がいなかったそうです。でも僕が掛けてみると、まるで誂えたようにフィットした。これは僕のことを待っていたんだと運命を感じて、購入に至りました。白甲と呼ばれる希少性の高い部位が使われており、その美しさも格別。ただ珍しいから良いというわけではなく、フレームと自分の顔のバランスがよかったというのが一番の理由。あとは天然素材ならではの掛け心地ですね。掛けているのを忘れて、寝てしまったこともあるくらい。ここぞという時に着用するハレの日の眼鏡なんです」

最高峰の白甲を用いた格式高い本鼈甲フレーム
老舗の眼鏡店で何十年も飾られていた本鼈甲のフレーム。本鼈甲の中でももっとも希少で、透き通るような美しさを持つ白甲が贅沢に使われている。最高峰の職人による手作業である。
天然素材ゆえに経年劣化や虫食いが起こるため、木箱に収納している。金具には18Kゴールドを使うなど、細部まで作り込まれている。同じ色目の甲を集める必要があり、高い技術も要求される。
(出典/「Lightning 2025年9月号 Vol.377」)
Text/T.Itakura 板倉環 Photo/S.Kai 甲斐俊一郎
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