色に意味を持たせた作品。|パリ、テキサス(1984)
「学生時代に観た犬童一心監督の『ジョゼと虎と魚たち』で妻夫木くんが着ていたモッズコートやネルシャツが欲しくて探したり、ガス・ヴァン・サント監督の『マイ・プライベート・アイダホ』のリヴァー・フェニックスに憧れて、あまり似ていないけれど赤いバブアーを買ったり、映画から影響されてコーディネイトしていました」
と話すのは「映画館に着ていくための服」を置くのがコンセプトの古着店「トラヴィス」のハラダユウキさん。ファッションの専門学校卒業後、ブランドの旗艦店の店長といった経歴を持つ根っからの洋服好きだ。ただそれ以上に、映画への愛と熱に溢れている。
「映画×洋服が自分のスタイルになり、着る服もあの登場人物みたいに、と考えるようになりました」
特にヴィム・ヴェンダース監督の『パリ、テキサス』は、主人公の名前を店名にするほど影響を与えた作品。序盤はトラヴィスがキャップや着替えの服などで赤をまとうが、後半に向かうに連れ徐々に全体が緑を基調とされていく。これが信号を意味し、登場人物の心境を表しているのではないか……。色に意味を持たせている映画として初めて気付けたのがこの『パリ、テキサス』だった。
「赤と緑は一番好きな色で、普段からコーディネイトに取り入れる組み合わせ。赤いキャップもトラヴィスからです」
店内には映画の登場人物が着るようなカラフルな古着が並ぶ。
「でも黒は着ない。明るい色を着た主人公のようにいたいから」
【DATA】
TRAVIS
東京都渋谷区恵比寿3-6-12
14時~20時(平日)、13時~20時(土日祝)
※変動あり、インスタグラムを要チェック
火曜休
Instagram:travis_yebisu
(出典/「Lightning 2025年2月号 Vol.370」)
Text/M.Matsumoto 松本めぐみ Photo/N.Suzuki 鈴木規仁、N.Hidaka 日高奈々子
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