映画に登場するコーディネイトを真似たい、 そこから古着の道へ。

まだインターネットの無い時代、憧れた海外の情報を得るツールは映画だった。そのスタイルに、信念に憧れた若き日の自分がいまの自分を作り上げている。スクリーンに映る格好良い男たちから、ボクらは様々なことを学んだ。今回は「映画館に着ていくための服」を置くのがコンセプトの古着店「トラヴィス」のハラダユウキさんが影響を受けた映画のお話。

色に意味を持たせた作品。|パリ、テキサス(1984)

「TRAVIS」ハラダユウキさん|神戸のファッション専門学校を経て某ブランドの店舗店長を務める。2023年に東京・恵比寿に「TRAVIS」をオープン。現在、映画に関する様々なデザインなども手がける

「学生時代に観た犬童一心監督の『ジョゼと虎と魚たち』で妻夫木くんが着ていたモッズコートやネルシャツが欲しくて探したり、ガス・ヴァン・サント監督の『マイ・プライベート・アイダホ』のリヴァー・フェニックスに憧れて、あまり似ていないけれど赤いバブアーを買ったり、映画から影響されてコーディネイトしていました」

と話すのは「映画館に着ていくための服」を置くのがコンセプトの古着店「トラヴィス」のハラダユウキさん。ファッションの専門学校卒業後、ブランドの旗艦店の店長といった経歴を持つ根っからの洋服好きだ。ただそれ以上に、映画への愛と熱に溢れている。

「映画×洋服が自分のスタイルになり、着る服もあの登場人物みたいに、と考えるようになりました」

特にヴィム・ヴェンダース監督の『パリ、テキサス』は、主人公の名前を店名にするほど影響を与えた作品。序盤はトラヴィスがキャップや着替えの服などで赤をまとうが、後半に向かうに連れ徐々に全体が緑を基調とされていく。これが信号を意味し、登場人物の心境を表しているのではないか……。色に意味を持たせている映画として初めて気付けたのがこの『パリ、テキサス』だった。

「赤と緑は一番好きな色で、普段からコーディネイトに取り入れる組み合わせ。赤いキャップもトラヴィスからです」

店内には映画の登場人物が着るようなカラフルな古着が並ぶ。

「でも黒は着ない。明るい色を着た主人公のようにいたいから」

店内は床から天井まで、商品や映画作品に関するアイテムがびっしり。ハラダさんと映画の話に花を咲かせながら、じっくり選びたい
柱には、原田さんが尊敬して止まない小津安二郎やアキ・カウリスマキなどのイラストが描かれている

1989年公開の『バグダッド・カフェ』。ある縁をきっかけに携わることになり、登場人物の愛読書をベースにデザイン。グレーとマスタードの2色展開

この冬から取り扱いを開始したロンドンのブランド「SCRT」がウォン・カーウァイ監督作品『天使の涙』からインスピレーションを受けて製作したゲームシャツ
『パリ、テキサス』はストーリーが進むにつれて赤から緑へと変わっていく。ハラダさんが好きな色でもある。それを私服でも表現しているのだ
自分用に初めて作った『パリ、テキサス』のブートレグアイテム。古着ボディを活かした掠れたプリントで、公開当時に配布されていたものが今出てきたというイメージに。非売品

【DATA】
TRAVIS
東京都渋谷区恵比寿3-6-12
14時~20時(平日)、13時~20時(土日祝)
※変動あり、インスタグラムを要チェック
火曜休
Instagram:travis_yebisu

(出典/「Lightning 2025年2月号 Vol.370」)

この記事を書いた人
めぐミルク
この記事を書いた人

めぐミルク

手仕事大好きDIY女子

文房具、デザイン、ニッポンカルチャーなどのジャンルレスな雑誌編集を経てLightningへ。共通しているのはとにかくプロダクツが好きだということ。取材に行くたび、旅行するたびに欲しいものは即決で買ってしまうという散財グセがある。Lightningでは飲食、ハウジング、インテリアなどを担当。
SHARE:

Pick Up おすすめ記事

Why Banana Republic? 2nd編集部イチ押し「バナナ・リパブリック」アイテムと、ブランドの魅力を徹底解説

  • 2026.09.16

1978年にアメリカ・カリフォルニア州で創業したバナナ・リパブリック。クラシックとモダンが共存する唯一無二のスタイルや歴史を紐解くことで、我々が彼らのプロダクトを手に取るべき“理由”が見えてくる。(記事をご覧いただいた方への特典を最後に紹介しています) [caption id="attachment...

トラッドの相棒にドゥニームのジーンズを! ウエアハウスが1988年のクラボウデニムを再現

  • 2026.09.17

1980〜90年代に日本のセルビッジジーンズの先駆けとして一世を風靡したデニムブランド「ドゥニーム」。同ブランドの創業当時のレシピをもとに、再始動を手掛けたのが「ウエアハウス」だ。彼らの徹底的な研究・解析によって生み出された至極の1本は、まさにオーセンティックそのもの。そして、本当の意味での“良い色...

2ndとEDWIN両チームの世代の異なる4人が集結! EDWINと考えるトラッド学

  • 2026.09.15

本誌でも何度も紹介してきたEDWINのコンセプトショップ限定アイテムは、普遍的なデザインとそのクオリティの高さから2ndが理想とするトラッドスタイルともばっちりハマる。今回は初の試みとして、2ndとEDWIN両チームの世代の異なる4名で“EDWINで作るトラッド”を考えてみた。 20代らしくアクティ...

イタリア・パルマで誕生。世界屈指のベルト「Anderson’s」、その生まれる場所へ

  • 2026.09.17

1966年、イタリア北部に位置する美食の街・パルマで創業したベルトメーカー「アンダーソンズ」。装いを完成させる“名脇役的存在”のベルトをメインとする稀有な存在にして、世界的な評価を獲得する某ブランドのプロダクトはどのように生まれるのか。その魂が宿る自社工場に足を運んだ。 イタリア・パルマの地に宿る6...

ガレージ、インテリア、リフォームまで! 趣味人のための、物件案内。

  • 2020.01.20

好きなものと暮らす、理想の城を手に入れよう。 家は、ただ暮らすためだけの場所じゃない。 どこに住むか、どんな空間にするか、そこで何を楽しむか。 ガレージハウスやアメリカンハウス、趣味部屋、インテリア、リノベーションまで、 「Lightning」ならではの視点で趣味人の理想の住まいを紹介する。

#PR

Pick Up おすすめ記事

毎日に、最良の定番。B.V.D.の「GOLD」は昔ながらの良さと、いま欲しいバランスを兼ね備えたTシャツ

  • 2026.09.16

長く愛されてきた定番には、変わらない理由がある。B.V.D.の「GOLD」もそのひとつ。肌着として培ってきた心地よさをそのままに、今の気分で一枚でも着られるリラックスフィットが加わった。昔ながらの良さと、いま欲しいバランス。その両方を備えた、新しい定番のかたちを見ていこう。 変わらない着心地にゆとり...

70を超えるレザーブランドが集う! 「Leathers Day TOKYO 2026」が五反田TOCビルで9月26・27日開催!

  • 2026.08.30

雑誌『Lightning』と兄弟誌『2nd』『CLUTCH Magazine』の3誌による、レザー好きのための大規模イベント。4度目を迎える今年は、初の東京会場での開催が決定! 普段なかなか手に取って実物を見ることができないブランドや、このイベントでしか手に入らないアイテムが揃う特別な2日間。さらに...

2ndとEDWIN両チームの世代の異なる4人が集結! EDWINと考えるトラッド学

  • 2026.09.15

本誌でも何度も紹介してきたEDWINのコンセプトショップ限定アイテムは、普遍的なデザインとそのクオリティの高さから2ndが理想とするトラッドスタイルともばっちりハマる。今回は初の試みとして、2ndとEDWIN両チームの世代の異なる4名で“EDWINで作るトラッド”を考えてみた。 20代らしくアクティ...

Why Banana Republic? 2nd編集部イチ押し「バナナ・リパブリック」アイテムと、ブランドの魅力を徹底解説

  • 2026.09.16

1978年にアメリカ・カリフォルニア州で創業したバナナ・リパブリック。クラシックとモダンが共存する唯一無二のスタイルや歴史を紐解くことで、我々が彼らのプロダクトを手に取るべき“理由”が見えてくる。(記事をご覧いただいた方への特典を最後に紹介しています) [caption id="attachment...

【連載】ビートルズのことを考えない日は一日もなかった

  • 2024.02.05

80年代、私的ビートルズ物語。 ビートルズ研究と収集に勤しむビートルデイズを始めて早44年(Since1980)。 なにをするにもビートルズが基準だった『昭和40年男』編集長のビートルズ史を、 当時の出来事とともに振り返ります。