2025年に発売される「シュガーケーン」のスーパーヴィンテージ復刻シリーズ第二弾「1942年モデル」ディテール徹底解説。

超希少なヴィンテージをもとに、その魅力を完全再現するシュガーケーンの新企画“SCSC”。発売後に即完売となった昨年の第一弾に続き、2025年にリリース予定の第二弾が先日アナウンスされ、前号ではその概要をお届けした。今回は1942年前期モデルの寸分違わぬディテールの再現度の高さを解説する。

作り手に聞いた細部へのこだわり。

昨年5月に情報が解禁されたシュガーケーンの新プロジェクト“SCSC”。スーパーヴィンテージを寸分違わぬ再現度で復刻させる同プロジェクトでは、第一弾で1943年モデルと1946年モデルを展開し即完売となった。

そして、先日アナウンスされたばかりの第二弾では1942年前期モデルと1945年後期モデルがリリースされることが判明。弊誌でもその概要をお伝えしたが、今回はディテールをひも解くべく、シュガーケーンの企画統括を担う福富雄一さんに取材を行った。

「シュガーケーン」企画統括・福富 雄一さん|パタンナーとしての経歴を持ち、企画の統括のみならず自らサンプルを製作して改良を重ねる。ディテールからパターンに至るまでヴィンテージの再現を追求する職人

「1942年モデルに関しては、同年の4月から8月の期間にのみ製作されたもので、デッドストックの個体が世界に2本しかない超希少なヴィンテージをもとにしています。なぜそこまで期間が特定できるのかと言うと、隠しリベットが銅製から鉄製に変わるのが1942年4月以降であり、今回の個体は鉄製リベットであるため。そして同年8月以降に省略されるはずのシンチバックや股リベットがまだ付いているためです。

1942のコピーライトが入るデッドストックのフラッシャーを見てみると、銅製リベットが付くことを表している“COPPER RIVETS”の文字が“POCKET RIVETS”という言い回しに修正されていることが分かります。そんなスーパーヴィンテージを、デニム生地や縫製仕様だけでなく、黒メッキの鉄製バックルからスレーキのスタンプに至るまで“完全復刻”しました。

1942年モデル・1945年モデルともにオリジナルに準じたストレートシルエットで、生地もそれぞれモデル別に製作した大戦モデルらしい荒々しい質感を楽しんでいただけます。フラッシャー含め、まだ改良の途中で発売までに修正する点もありますが、SCSC第一弾に劣らない出来に仕上がっています」

SUGAR CANE SUPER “DENIM” COLLECTIBLES「1942MODEL」をオリジナルと比較!

デッドストックは世に2本しか現存しない1942年前期製モデル。シンチバックと股リベット等が省略される直前で隠しリベットが銅製ではなく鉄製。黒いバックルが1942年モデルの特徴。5万2800円

ここからは上の写真がオリジナル、下がシュガーケーンの「1942年モデル」になる。

隠しリベットが銅製から鉄製に変更され、他のパーツの流用ではなく専用のパーツになった直後の個体で、1942のコピーライトが入る専用フラッシャーを使用。

1942年の8月以降に省略される股リベットがまだ付いているというスペシャルなディテールも、その風合いにいたるまで完全再現。刻印入りの銅リベットを採用。

デッドストックとは言え、長い月日を経て酸化した鉄製トップボタンは、同モデルの専用パーツとして製作されたもの。ウエストベルトに入る拙いステッチワークも瓜二つだ。

元にしたデッドストックはW34・L34のゴールデンサイズ。表からは見えないが、40〜50年代特有のパッチ裏にスタンプが入る仕様まで踏襲している(冒頭の写真参照)

当時のデニムを綿から厳選して再現。1942年以前の個体に比べれば厚みがあるが、次頁で紹介する1945年モデルに比べると、ムラ感が少なくやや大人しい生地。

隠しリベットの裏側。1942年から鉄製に銅メッキが施された隠しリベット専用のパーツが使われるようになる。表側の丸みを帯びた形状から“UFOリベット” とも呼ばれる。

シャトル織機で織られたスレーキには、左右とも青いインクでナンバーがスタンプされる。次頁で紹介する1945年モデルとは異なり、ボタン裏は銅メッキのフィニッシュ。

1942年モデルにしか見られない黒メッキの鉄製バックルは、同年8月以降は省略される。金型製作からメッキの色味まで、何度も作り直して完成させたパーツ。

【問い合わせ】
シュガーケーン(東洋エンタープライズ)
TEL03-3632-2321
www.sugarcane.jp

(出典/「Lightning 2025年1月号 Vol.369」)

この記事を書いた人
パピー高野
この記事を書いた人

パピー高野

断然革靴派

長崎県出身、シティーボーイに憧れ上京。編集部に入ってから服好き精神に火がつき、たまの散財が生きがいに。いろんなスタイルに挑戦したい雑食タイプで、ヨーロッパからアメリカものまで幅広く好む。家の近所にある大盛カレーショップの名を、あだ名として拝借。
SHARE:

Pick Up おすすめ記事

「アイヴァン」からニューヨークに実在する通りの名前を冠した新作アイウエアコレクション登場

  • 2025.11.21

ニューヨークに実在する通りの名前を冠した「アイヴァン」の新作コレクション。クラシックな要素をサンプリングしながらも現代の空気感を絶妙に捉え服と同等か、それ以上にスタイルを左右する究極のファッショナブルアイウエア。 Allen 2023年、NYに誕生した「ビースティ・ボーイズ・スクエア」。その付近で出...

この冬買うべきは、主役になるピーコートとアウターの影の立役者インナースウェット、この2つ。

  • 2025.11.15

冬の主役と言えばヘビーアウター。クラシックなピーコートがあればそれだけで様になる。そしてどんなアウターをも引き立ててくれるインナースウェット、これは必需品。この2つさえあれば今年の冬は着回しがずっと楽しく、幅広くなるはずだ。この冬をともに過ごす相棒選びの参考になれば、これ幸い。 「Golden Be...

雑誌2ndがプロデュース! エディー・バウアー日本旗艦店1周年を祝うアニバーサリーイベント開催決定!

  • 2025.11.21

エディー・バウアー日本旗艦店の1周年を祝うアニバーサリーイベントを本誌がプロデュース。新作「ラブラドールコレクション」や本誌とのコラボなど、ブランドの情熱が詰まった特別な9日間を見逃すな! 来場者には限定のブランドブックを配布! 今回のイベントに合わせ、「エディー・バウアー」をもっと知ってもらうため...

【UNIVERSAL OVERALL × 2nd別注】ワークとトラッドが融合した唯一無二のカバーオール登場

  • 2025.11.25

これまでに、有名ブランドから新進気鋭ブランドまで幅広いコラボレーションアイテムを完全受注生産で世に送り出してきた「2nd別注」。今回もまた、渾身の別注が完成! >>購入はこちらから! 【UNIVERSAL OVERALL × 2nd】パッチワークマドラスカバーオール アメリカ・シカゴ発のリアルワーク...

今っぽいチノパンとは? レジェンドスタイリスト近藤昌さんの新旧トラッド考。

  • 2025.11.15

スタイリストとしてはもちろん、ブランド「ツゥールズ」を手がけるなど多方面でご活躍の近藤昌さんがゲストを迎えて対談する短期連載。第三回は吉岡レオさんとともに「今のトラッド」とは何かを考えます。 [caption id="" align="alignnone" width="1000"] スタイリスト・...

Pick Up おすすめ記事

スペイン発のレザーブランドが日本初上陸! 機能性、コスパ、見た目のすべてを兼ね備えた品格漂うレザーバッグに注目だ

  • 2025.11.14

2018年にスペイン南部に位置する自然豊かな都市・ムルシアにて創業した気鋭のレザーブランド「ゾイ エスパーニャ」。彼らの創る上質なレザープロダクトは、スペインらしい軽快さとファクトリーブランドらしい質実剛健を兼ね備えている。 日々の生活に寄り添う確かなる存在感 服好きがバッグに求めるものとは何か。機...

着用者にさりげなく“スタイル”をもたらす、“機能美”が凝縮された「アイヴァン 7285」のメガネ

  • 2025.11.21

技巧的かつ理にかなった意匠には、自然とデザインとしての美しさが宿る。「アイヴァン 7285」のアイウエアは、そんな“機能美”が小さな1本に凝縮されており着用者にさりげなくも揺るぎのないスタイルをもたらす。 “着るメガネ”の真骨頂はアイヴァン 7285の機能に宿る シンプリシティのなかに宿るディテール...

【UNIVERSAL OVERALL × 2nd別注】ワークとトラッドが融合した唯一無二のカバーオール登場

  • 2025.11.25

これまでに、有名ブランドから新進気鋭ブランドまで幅広いコラボレーションアイテムを完全受注生産で世に送り出してきた「2nd別注」。今回もまた、渾身の別注が完成! >>購入はこちらから! 【UNIVERSAL OVERALL × 2nd】パッチワークマドラスカバーオール アメリカ・シカゴ発のリアルワーク...

決して真似できない新境地。18金とプラチナが交わる「合わせ金」のリング

  • 2025.11.17

本年で創業から28年を数える「市松」。創業から現在にいたるまでスタイルは変えず、一方で常に新たな手法を用いて進化を続けてきた。そしてたどり着いた新境地、「合わせ金」とは。 硬さの異なる素材を結合させるという、決して真似できない新境地 1997年の創業以来、軸となるスタイルは変えずに、様々な技術を探求...

雑誌2ndがプロデュース! エディー・バウアー日本旗艦店1周年を祝うアニバーサリーイベント開催決定!

  • 2025.11.21

エディー・バウアー日本旗艦店の1周年を祝うアニバーサリーイベントを本誌がプロデュース。新作「ラブラドールコレクション」や本誌とのコラボなど、ブランドの情熱が詰まった特別な9日間を見逃すな! 来場者には限定のブランドブックを配布! 今回のイベントに合わせ、「エディー・バウアー」をもっと知ってもらうため...