ストリート走行に性能を全振りしたコンパクト・ピックアップ。
実はピックアップトラックでスポーツ走行を楽しもうという人たちは昔から存在しているアメリカ。メジャーなレースであるNASCARにもピックアップカテゴリーがあるほどで、特に1980年代後半~1990年代には、メーカーもハイパフォーマンスなストリート仕様のモデルを発売したほどのブームがあった。
今回、2025年モデルとして登場するフォード・マーベリックLOBOもそんな仕様。ノーマルよりも低く身構えた車高に、走りに対応したパーツ類、さらに専用のグリルや内装などをインストールした仕様。一見してノーマルとは違う精悍なスタイリングになっていて、農場やカントリーロードが似合うピックアップトラックの面影は皆無。
もちろん、中身もアップデートされていて、エンジンこそノーマルのマーベリックと同様の直列4気筒2リッターだけど、ブレーキはフォード・フォーカスSTから流用されるデュアルピストンブレーキキャリパーや、ツインクラッチになるリアドライブユニットはブロンコ・スポーツから流用されるなど、しっかりと見えない部分は筋肉質になっている。
ピックアップでもストリートをキビキビと走りたい人たちに歓迎されるモデルになりそう。気になるデリバリーは2025年初頭からで、価格は約4万ドルから。コンパクトピックアップにしては高級なプライス設定になっている。
ちなみにフォード・マーベリックはフォードが発売するピックアップトラックの末っ子的存在。フルサイズのF-150、ミッドサイズのレンジャーを兄貴分に持っている。
車高はフロントで0.5インチ以上、リアは1.1インチローダウンされる。数値的にはわずかな差でも、全体のスタイリングはしっかりと「シャコタン」に見える。1インチの違いでも見た目が大きく変わるのがクルマのおもしろさ。
ノーマルの2025年式マーベリックはハニカムデザインのフロントグリルだが、LOBOは縦スリットのグリルになっているのも特徴。またフロントバンパーもボディ同色となり、スポーティなフロントマスクが個性になっている。
ボディサイドのグリルにはLOBOのエンブレムが付く。さり気ない主張がアメリカ車らしくないけれど……そこは大人っぽいデザインが得意なフォードらしさ。
ホイールはブラックアウトされたOZレーシングを履く。これはラリーカーなどがよく履いているデザインで、サイズは19インチとしっかりと「走り」を意識したチョイスになっている。
内装は2色のカラーステッチでアクセントを利かせたレザーシートで、座面にLOBOの刻印が入る特別仕様。アメリカはピックアップトラックでもレザーシートは珍しくないのだ。