キャンプ遊びが捗るサイドカー付き軍用バイク!
撮影場所に見慣れないサイドカー付きのバイクでトーレーラーを牽引して現れたのは、長野県在住の上嶋さん。車名を聞くとウラルというロシアのバイクだという。
ウラルはあまり聞き馴染みがないかもしれないが、実は世界で稼働しているサイドカー付きオートバイの中でトップシェアを誇るロシアのメーカーだ。
元々は第二次世界大戦中にドイツのBMWで製造したモデルをコピー製造したIMZ M72というバイクを源流に持つ。このM72が北の大地で独自進化を続けた結果、現在のウラル・ギアアップとなったというわけだ。
リアホイールからドライブシャフトを通じてサイドカー側のタイヤにも駆動力を伝達するパートタイム二輪駆動となっているのが最大の特徴。悪路や雪道など、どんな場所でも走れる走破性の高さが魅力だ。
さて、最も気になるトレーラーだが、こちらは上嶋さんのアイデアで、ウラルの後輪やフェンダーを流用して製作した逸品。まるで標準装備のような違和感ない仕上がりだ。ウラルのフレーム側も加工し、一般的なボールカブラーで連結。移動時はキャンプ道具を満載して走り、現場では荷台を拡張しテントを張ることができるよう工夫されている。
フラットツイン独特の排気音を響かせて、悪路も走破できるウラルは、道無き道を征く冒険旅行の相棒に最適な一台というわけだ。
乗車定員3名と荷物を大量に運べるワークホース。
トレーラーは上嶋さんの設計でスチール製のフレームにアルミのボディを搭載。フェンダーやホイールはウラルのスペアパーツを取り寄せて組み立てており、完成度はかなり高い。
トレーラーはスチールのフレームに軽量なアルミボディを搭載した上嶋さんのオリジナルで、内部にキャンプ道具を大量に搭載可能。荷物を降ろした後は、スライド式のフロアを後部に延長し、テントを設営できる仕組み。どんな場所でも快適に就寝可能だ。
サイドカーには燃料の携行缶を搭載するためのホルダーが備わるが、上嶋さんはジェリ缶型の収納ボックスを装着し、簡単な工具やバーナーなどの小物を収納するのに活用している。
フロントフォークは一般的なテレスコピック式ではなく、サイドカーに最適なアールズフォークを採用。以前はドラムフレーキだったが、’07年モデルはディスク式でキャリパーはブレンボ製。
サイドカーは普段トノカバーをかけてあるため、1名乗車時はこちらにも荷物を搭載可能。ちなみに空荷の際はサイドカー側がリフトしやすいため、中にダンベルを積んでリフトしにくくしているそうだ。
リアホイールの右側からサイドカーのタイヤまでドライブシャフトが伸びているのが見える。サイドカーはフレームにもサスペンションが備わるが、ボディはゴムを介してフレームにマウントされるため乗り心地も良い。
エンジンはBMWと同じ空冷フラットツインを踏襲。排気量は750ccで、バックギアも標準で装備する。ちなみに’07年はケイヒン製のキャブレターを採用するが、この後のモデルではインジェクションに進化している。
2007 URAL GEAR UP/ウラルはサイドカーまで一体の専用フレームで、ドライブシャフトが備わるため、構造上サイドカーを外しての走行はできない。そのため日本では三輪自動車となり、大型二輪免許ではなく普通免許が必要となる。
(出典/「Lightning 2024年7月号 Vol.363」)
Photo/D.Katsumura 勝村大輔
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