モダンなデザインと経年変化の組み合わせが魅力の、ヴィンテージバブルランプ。
アメリカのヴィンテージクロージングから、英国のトラディショナルなスタイル、先鋭的なデザイナーズまで様々なプロダクトに精通する尾崎さん。大のヴィンテージ好きとしても知られ、そのアトリエにはミッドセンチュリーファニチャーから世界中の工藝品まで、有名無名を問わず、独自のセンスで集められた旧き良きものが一堂に会する。そんな中でも目立っていたのが、ランダムに吊られたジョージ・ネルソンのバブルランプである。
「’90年代にミッドセンチュリーブームがあった時にイームズやジョージ・ネルソンたちの存在を知り、10代だった自分にとっていつか欲しいという憧れの存在でした。大人になってからバブルランプを見つけたら買っていて、いつの間にかこんなに集まってしまったという感じです(笑)。
自分のこだわりは、ヴィンテージであること。’90年代のブームの時って、デザイン面やカラーリングばかり注目されて、お洒落カフェのようなイメージが強かったと思うんです。でも僕が惹かれるのは、半透明のプラスティックがエイジングされて、なんとも言えない雰囲気になったもの。
’50s的な文脈でのミッドセンチュリーが好きというか、アメリカの片田舎で使われていたような。モダンなデザインと経年変化が混ざりあった時、なんとも言えない調和に色気があると思っています」
美しくエイジングされたバブルランプが一堂に会する空間!
1952年にジョージ・ネルソンによってデザインされたバブルランプは、和のテイストを感じるが、実はスウェーデンのハンギングランプがイメージソースになっている。オリジナルはシルクであったが、非常に高価だったため、当時の米軍が開発した噴射式プラスティックを採用。上からSaucer、Cigar、Ballとネーミングされている。すべてヴィンテージ。
バブルランプ=ペンダントライトというイメージが強いが、実はほとんど出てこないフロアタイプもあり、ヴィンテージの世界ではコレクターズアイテムとなっている。置いてある棚もジョージ・ネルソンがデザインしたハーマンミラー社の名作であるCSSである。
アトリエの壁一面を用いた収納は、ジョージ・ネルソンがデザインした名作のひとつであるComprehensive Storage SystemことCSSである。そこにはネイティブアメリカンの民藝品からワークウエアメーカーのアドバタイジングまでディスプレイされている。
アトリエ内のソファスペースには、ジョージ・ネルソンがデザインした傑作であるネルソンベンチを置いている。現行では展開されていないヴィンテージならではのサイズで、背面には’50年代に使われていたハーマンミラー社のプレートが付く。
CSSの横には、同じくジョージ・ネルソンがデザインしたハーマンミラー社のベーシックキャビネットシリーズ。あえてフロントのスライドドアを付けていない。
実はソファの横に置いているテーブル兼収納もジョージ・ネルソンがデザインしたもの。植木鉢を入れられる個性的な作りとなっており、ガラス天板の下には、尾崎さんがアメリカを旅した時に買ってきた様々なアンティークを飾っている。
尾崎氏が手掛けるサンカッケーの看板商品となっているウォレットは、パーツ毎で売っており、様々な革やカラーリングを合わせられ、CSSのような発想である。
【DATA】
サンカッケー
http://sunkakke.jp/
(出典/「Lightning 2024年4月号 Vol.360」)
Text/S.Sato 佐藤周平 Photo/K.Hayashi 林和也
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