アメリカやカナダでしか買えない日本メーカーのピックアップトラック。

ピックアップトラックといえば日本では昔から商業車的な意味合いが強くてあまり身近ではないという人も多いけど。今の日本ではその大半が軽トラック。乗用車として使えるモデルはほとんどない。所変わってアメリカだと、ピックアップトラックはライフスタイルに根付いているクルマだったりするので、いわゆる巨大なボディのモデルがメジャーだ。

今でも乗用車よりもピックアップトラックの方が販売台数が多いのがアメリカ。一人一台だったり趣味用にクルマを持つことも珍しくないお国柄だけに、日本とはひと味違うピックアップトラック文化があったりする。

そんなアメリカでは日本メーカーもこの市場は見逃せないとピックアップトラックを投入していることは、アメリカに行ったことある人や、コアなクルマ好きでないと知らないかも。もちろんそれらのモデルは日本では未発売。並行輸入でしか手に入れることはできないけれど、人とは違うクルマを乗りたいのであれば日本未発売の逆輸入ピックアップという選択肢もおもしろいかもね。

ピックアップがもっとも売れる国は車種の選択肢も豊富。

アメリカ映画を観ていると、ピックアップトラックが普通に登場することがリアルな日常で、都会であろうが田舎であろうが実に多くのピックアップトラックが走っている。

若者にとって荷物がたくさん詰めて遊びにも使えるピックアップトラックは、免許を取って初めて所有したクルマという人も多い。

映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』で主人公マーティの憧れのクルマがトヨタのハイラックスピックアップだったなんていうストーリーも実にリアルで、そのころ(映画は1985年)よりも遙か前からアメリカには日本のクルマメーカーは、日本では販売していないピックアップトラックをリリースし、本家アメリカブランドの牙城を崩そうとしていた。

今回は現在アメリカでチョイスできる国産メーカーのピックアップトラックを紹介。

おもしろいのは、どれも日本の市場はまったく考えていないアメリカナイズされたモデルばかり。つまりボディも大きければ排気量も大きい。

そんな「郷に入りては郷に従え」的なモデルたちをおさらいしてみよう。もし日本で乗るなら、アメリカ車感覚で乗ることができるっていうのも強みのひとつ。

2023 TOYOTA TACOMA

1995年から販売されるUSトヨタのミッドサイズピックアップ。それまでアメリカで販売していたハイラックス・ピックアップの後継モデルとして登場した。現行モデルで3代目となるロングセラーモデルである。

現在は2.7Lの直4(159馬力)と3.5LのV6エンジン(278馬力)がラインナップし、2駆と4駆の設定がある。キャビンは4ドアのダブルキャブと後ろのドアが小さく、ちょっとした居住スペースを設けたアクセスキャブの2種類が存在。

V6モデルには6速マニュアルの設定があり、これはピックアップトラックでスポーツ走行も楽しみたい人に向けた仕様。ピックアップトラックといえどもユーザーの間口を広げたラインナップがトヨタらしさかも。

ミディアムサイズのピックアップトラックでは北米市場でもっとも販売台数の多いモデルで、いまやアメリカのスタンダードな車種として君臨している。

2023 TOYOTA TUNDRA

トヨタが誇るフルサイズピックアップであるタンドラ。それまで販売していたフルサイズのトヨタT-100ピックアップの後継モデルとして2000年モデルがデビューイヤーだった。現在は第3世代まで続くモデルで、アメリカンピックアップたちとしのぎを削っている。

堂々たる車格はアメリカのフルサイズピックアップとひけを取らない(ショートベッドモデルで全長約5933mm)し、デザインも男らしいピックアップならではの面構え。搭載されるエンジンはi-FORSEと名付けられた3.5L V6ツインターボ(389馬力)とi-FORSE MAXと呼ばれる3.5L V6ハイブリッド(437馬力)という力持ちである。そこに組み合わされるのは10速ATというから、もはや乗用車と変わらないスペック。

気になるキャビンはダブルキャブ(リアのシートスペースが狭い4ドア)とクルーマックス(完全な4ドア)があり、ベッドもショートベッド、ロングベッドが用意されている。

タンドラは2004年からはNASCARのピックアップトラックシリーズに参戦するなど、もはやアメリカではメジャーなフルサイズピックアップの車種として君臨している。

2023 NISSAN FRONTIER

もともとは1998年モデルからコンパクトピックアップとして存在したフロンティアは、2005年モデルからミディアムサイズへと巨大化。やはりアメリカ市場ではひと回り大きな車格がスタンダードだったこともあり、現在もミディアムサイズを踏襲し、3代目モデルが現行モデルとなっている。

搭載されるエンジンは3.8L V6(310馬力)で2駆と4駆が存在。組み合わされるトランスミッションは9速ATだ。キャビンは観音開きのドアを装備したキングキャブと4ドアのクルーキャブの2種類。キングキャブにはお世辞にも広いと言えないリアシートが装備される。

ショートホイールベースのモデルでも全長5300mmと、日本車で考えればかなり大きなボディになっているのがアメリカモデルらしさである。

2024 NISSAN TITAN

2003年に初代モデルがデビューしたUSニッサン初のフルサイズピックアップ。ショートホイールベースモデルでも6m近い全長と、2mある車幅という堂々たるボディは他のアメリカメーカーのピックアップトラックとなんら変わらない大きさ。

すでに2024年モデルが発表されていて、これが第2世代モデルに当たる。搭載されるエンジンは5.6LのV8(400馬力)に9速ATという組み合わせで、現在は日本ブランドでは唯一V8エンジンを搭載するピックアップモデルとして君臨している。

タイタンは2種類のホイールベースと、2駆と4駆がラインナップ。キャビンは4ドアのみの設定になっている。

2023 Honda Ridgeline

ミディアムサイズの車格にショートベッドという組み合わせでUSホンダが北米市場に投入したのがリッジライン。デビューは2006年式で、それまでホンダは北米市場にこれといったピックアップトラックを投入していなかったことから、発売当初はちょっとした話題になったモデル。

初代モデルは乗用車然としたクロスオーバーモデルの延長線上にあるデザインで登場し、USホンダらしい異端児的なピックアップトラックとして存在した。現在ではモデルチェンジした2世代目で、いわゆるピックアップトラックらしいフォルムに戻っている。

搭載されるエンジンは3.5L V6(280hp)で、組み合わせるトランスミッションは9速AT。キャビンは4ドア(全長約5300mm)のみという設定になっている。

現行モデルのリッジラインはタテにもヨコにも開閉できるデュアルアクションテールゲートを搭載し、ベッドを多用するオーナーにうれしい機能を搭載している。

ミツビシやスバル、それにいすゞでも海外モデルとしてピックアップトラックは存在しているけれど、北米市場では販売していない。マツダもアメリカのピックアップ市場からは撤退してしまっているので、今は日本のメーカーでは3社だけがアメリカ市場でしのぎを削っている状況。

日本でもアメリカくらいピックアップトラック熱が高まればいろんなモデルが日本でも登場するんだろうけど、なかなかそうはならないのがお国柄。最近ではトヨタのハイラックスピックアップくらいで、目新しいモデルは日本では存在しない。北米やアジアでは今でも根強いピックアップ重要があるけれど、日本ではどうしてもコアなカテゴリーになってしまう。アメリカ車や逆輸入車しか選択肢が無いのはちょっと残念だよね。

この記事を書いた人
ラーメン小池
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ラーメン小池

アメリカンカルチャー仕事人

Lightning編集部、CLUTCH magazine編集部などを渡り歩いて雑誌編集者歴も30年近く。アメリカンカルチャーに精通し、渡米歴は100回以上。とくに旧きよきアメリカ文化が大好物。愛車はアメリカ旧車をこよなく愛し、洋服から雑貨にも食らいつくオールドアメリカンカルチャー評論家。
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