柔らかい灯りでサイトの雰囲気を盛り上げる、コールマンのランタンの価値は?

  • 2023.11.26

キャンプの必需品ランタン。数あるなかでもコールマンの製品は歴史も旧く、デザインや機能性に優れることから、ヴィンテージコレクターも数多い。最近注目の「ヴィンテージキャンプ」スタイルに興味ある人は必見だ。

手入れすれば旧くとも使えるのも大きな魅力。

「イレクターズ」代表・大前成忠さん|ヴィンテージのラン タンやキャンプギア、釣具を扱う「イレクターズ」代表。ヴィンテージ好きのキャンパーが集う「イレクターズキャンプ」を主催

最近ではソロキャン、ブッシュクラフト、グランピングなどスタイルによって細分化されるなど、もはやブームを超えてひとつの趣味として定着したキャンプ。なかでも最近は、ヴィンテージギアを使って楽しむ「ヴィンテージキャンプ」なるジャンルも人気を集めているという。

そんなヴィンテージギア好きのキャンパーなら必ず持っているとっても過言ではないのが「コールマンのランタン」だろう。120年の歴史を誇るアメリカの老舗アウトドアブランド、コールマン。その長い歴史の中で数々の名品を生み出してきたが、その中でも特に有名なのが創業初期から販売してきたランタン。

「時代によって3〜4回ほど機関部にモデルチェンジがありますが基本的な点火の仕組みは変わっていないので、手入れさえすればば数十年前のものでも問題なく使えます。最近は軽量で高性能なLEDランタンもありますが、見た目もそうですが、明かりの雰囲気が全然違いますから」

そう、話すのは大阪市でヴィンテージのコールマンを扱って20年以上という「イレクターズ」の大前成忠さん。そんな大前さんにヴィンテージコールマンの魅力と最近の事情について伺った。

ヴィンテージランタンを楽しむための基礎知識。

製造年月はタンクの底面をチェック!

基本的にコールマンのランタンはタンクの底面に製造された場所と年月の刻印が入る。こちらは1979年11月にカンザス州ウィチタで作られたモノ。モデルや年代によってはタンク側面だったり刻印がないもの、製造年のみもある。

ワンマントルかツーマントルか?

ランタンは主に綿素材で作られたマントルが炎の熱で反応することで発光するが、主にこのマントルがひとつのワンマントルか、ふたつのツーマントルに分けられる。明るさに大きな差はないので好みのスタイルでどうぞ。

初心者には「クイックライト」がオススメ

時代によって複数の機構のタイプが存在するコールマンのランタンのなかでメジャーなのが「インスタントライト」と「イージーライト」。「イージーライト」は高年式ながら消耗品にゴムなどが使われていることから(インスタントライトは鉛)、消耗パーツの入手が難しいというデメリットも。ビギナーはメンテしやすい「インスタントライト」がオススメだそう。例外も多数あるが火の大きさを調節するバルブが丸ければ「インスタントライト」、凹凸があれば「イージーライト」の可能性が多い。「イージーライト」の場合、しっかりと手入れされているか未使用に近いモノを入手するのがポイント。

グローブやケースといった周辺グッズもいろいろ!

ランタンの雰囲気を決めるグローブ(ガラス、古いモノだと雲母)もできればオリジナルが望ましいが、割れたり曇っていたら社外品に交換もできる。また、ヴィンテージの場合ケース付きということがほとんどないので、移動や保管時も気をつけたい人はケースも揃えることをオススメする。

狙うのは値頃な美品かバースデーランタンか。

コールマンのランタンはオイルライターのジッポーのように主に底面に製造年と月が刻印されていることから(ないものや側面のものも)、ヴィンテージの楽しみ方のひとつに誕生年と月を合わせた「バースデーランタン」がある。

「それもあってか’60~’70年代が人気。逆に’50年代以前だと安く手に入ることもあります」

ちなみに、コールマンのランタンは内部機関の違いで「エアオー」(~1900代年初頭)、「クイックライト」(1900~’30年代)、「インスタントライト」(’30~’70年代後半)、「イージーライト」(’80年代~)と年代別に4タイプに大別される(諸説あるのであくまでも目安として)。

「オススメはシンプルでパーツ類も未だに豊富な『インスタントライト』です。『イージーライト』は消耗パーツにゴムが使われていて、パーツが入手しづらいものあってイージーライトならなるべく新品に近いモノを選ぶことが長く楽しむポイントになります」

モデルも多数あるが、代表モデルといえば「200A」(’51~’84年)だろう。ただ、人気モデルのうえ、世界的にキャンプ熱が高まる現在、価格は高騰する一方。バースデーモデルも捨てがたいが、そこにこだわらずいい出物を狙うのが得策といえるかも?

アウトドアの王道ブランド、コールマンの傑作プロダクツといえばランタン。戦前までは電気のない田舎暮らしで、戦後はアウトドアでの必需品として愛されてきた。当初より基本構造はほとんど変わらない完成された機構とデザインも人気の秘訣。近年はLEDランタンが主流となっているが、やはりホワイトガソリンを燃料にマントルを用いた灯りは心落ちつくものがある。柔らかい灯りとともにゆっくりとキャンプを楽しみたいなら、ぜひとも手に入れておきたい

市場価格を知る!

近年、世界的にヴィンテージランタンの人気が高まっており、今や平均2~ 5万円台というところ。バースデーランタンとして人気の1960 ~’70年代の人気モデルやレアモデルだと10万円を超えるものも少なくない。ただ、現行品が2万円弱ということを考えれば、モデルを選ばなければ十分お買い得といえそうだ。ただし、個人売買などは整備されていないジャンク品もあるので注意が必要だ。

1973年2月 200A

ジーンズでいえばリーバイスの501的存在となる定番モデル200A。カラーも定番のレッド(グリーン、ゴールドはレア)だが年代がいいうえに未使用品!バースデーモデルに当たる人、早い者勝ちです! 8万8000円

1925年8月 LQ427

1925年から2年間しか作られなかったものの、突き出たポンプが特徴的でヴィンテージシーンでは人気の高いモデル。機構は「クイックライト」。グローブはオリジナルのマイカ(雲母)製が付く。5万5000円

1980年1月 222

コールマンカナダが手がけたコンパクトモデルのピーク1。こちらの明るい緑、茶色のほかにも黒や暗い緑などのカラバリも存在した。箱付き。2万9800円

1982年1月 222

「ピークワン」の茶色モデルで通称・茶ピーク。バックパッカーブームの影響を受けて小型化したもののあまり売れなかったという悲劇のモデル。コンパクトなタイプがいいという人にはオススメ。3万9820円

1964年5月 476.74060

カタログ通販で知られたシアーズの別注モデル。ツーマントルの220タイプをベースに、黒いベンチレーター、レッドのタンクという別注カラーが特徴。4 万9800円

1961年12月 228E

代表的モデル220の兄弟シリーズで、基本は同じだがベンチレーターが大きく「ビッグハット」と呼ばれるモデル。グローブはオリジナルとなるコーニング社のパイレックスグローブ。3万3000円

1966年4月 476.74060

カタログ通販で知られるデパートのシアーズの別注モデル。タンクのブルーが特徴。初期型と後期型に分けられるが、こちらのように星形のバルブホイールが付くのは初期型。タンクにシアーズのシールが付く。ASK

1976年1月 621A

カナダ工場製のモデルで、ブラウンカラーが知られるがこちらはレアなブルー。テーパードしたグローブのフォルムも特徴的。イージーライトシリーズだが、初期の頃なので耐久性も高い。3万9600円

1958年 252A

米軍に納入されていたモデルで通称「GIランタン」と呼ばれる。点火にはコツがいるが、普通のガソリンでも使用できるところがさすが軍モノ。ブッシュキャンプや軍幕テントを使う無骨系好きにはたまらない一品。ASK

1949年3月 242C

コールマン初のワンマントルランタン。クイックライトシリーズ。定番モデル200Aの前身となったモデルで、200Aと同じガラスグローブが付く。メッキタンク。2万9700円

アメリカや日本だけでなく、アジア諸国でもヴィンテージランタンの人気が高まり、価格は10年前に比べると数倍以上に値上がっている。今後多少落ち着くとも予想されるが、人気のモデルは見つけた時が買い時と言えそうだ。

【DATA】
イレクターズ
大阪府大阪市北区豊崎1-4-5
TEL 090-8572-8121
営業/12:00~20:00
休み/火水曜
www.instagram.com/erectors_op

※情報は取材当時のものです。

(出典/「Lightning2023年10月号 Vol.354」)

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