昔から思い描いていた、理想のアメリカンハウスの暮らしを手に入れた!

いくらアメリカンなライフスタイルといえど、仕事とプライベートの両方を実現させている人となると数は少なくなるだろう。だがここで紹介する山口春樹さんは、自宅はもちろんのこと、自らの美容室までアメリカ色に染め上げることで、常に好きなものだけに囲まれた、充実の暮らしを送っている。そんな山口さんのライフスタイルを覗かせてもらった。

長年の夢を形にした、ブラックミュージックカルチャーにインスパイアされた空間。

ヘアアーティスト・山口春樹さん|千葉県の鴨川市にて、’60年代のアメリカンな雰囲気を纏った美容室、Y’s Factoryを経営。数々のコンテストで優勝した実績を持ち、ブラックヘアー系のハードパーマもお手のもの

一流ヘアアーティストとして活躍しながら、自身の〝好き〟を形にした充実のライフスタイルを送っている山口さん。

「若い頃からとにかくブラックミュージックが好きで、アメリカにもちょくちょく足を運んだり、ドレッドヘアにしたりしながらカルチャーをずっと楽しんできました。愛車のインパラもそうなんですけど、こんな家を建てたい、こんなクルマに乗りたいというのは昔から変わっていません。そういった長年の夢を、昨年ようやく叶えることが出来たんです」

ではそんな自宅にはどんなこだわりがあるのだろう。

広い庭でこうしてサボテンを育てるのが夢だったと話す山口さん。自身でデザインしたロックガーデンは、カバードポーチから見える景色もポイント。また津波の心配がなく家が密集していない、そしてアメリカ車が入れるところもこの地を選んだ理由のひとつ

「自分は良いなと思ったらすぐ買っちゃうくらいランプ好きなんですよ。それこそ個人輸入してしまうくらい。だからそこを主役に家具を配置しました。黄色っぽい灯りが好きなので、ゴールドやベージュ、ブラウン系でまとめながら差し色にレッドを持ってくる感じですかね。

庭は自分が見てきたアリゾナ州のセドナをイメージしたロックガーデンになっています。ヤシの木などの配置はもちろん、ライティングも全て自分でデザインしましたし、ガビオンにもこだわりがあったので、カゴだけ作ってもらって、石は全部自分で詰めました。カバードポーチからの眺めもお気に入り。

今は毎日が慌ただしくて家でくつろげる時間はわずかですけど、好きなものに囲まれた暮らしは最高に幸せですね」

愛車は’68年製のシボレーインパラ。2年間かけてレストアした一台は、総剥離してから塗装をやり直し、エンジンを載せ替え。さらにパーツも全て新品に交換している
休日は家族で房総半島の海沿いをよくドライブして楽しんでいるそう
インパラを格納するのは、リビングからの眺めが最高なガレージ。奥にはロフトと休憩スペースに加え、工具一式も完備
もともとお気に入りのモノも何か手を加えないと気が済まないという山口さんは、ちょくちょくここで作業する時もあるとのこと
リビングからはガレージに格納したインパラも、ミカモ石を5t以上使って仕上げたロックガーデンも、全てが見渡せる。こだわりの天然無垢の床も雰囲気も抜群だが、夜はさらにムーディーな空間に
繊細なガラス細工と真鍮の骨組み、温かみのある光とのコントラストが美しい60年代シェードランプ。横に添えたヴィンテージのマッチ瓶もグッド
どの部屋へ行くにも経由必ず経由する吹き抜けになっているリビングは自宅の主役。テーブルやソファ、チェア類はランプの温かい色味に合わせ、ベージュやブラウン、ゴールドで統一している
アメリカのビールメーカー、Stroh’s Beerのプールバーランプ。もとはビリヤード台を照らす照明で、差し色の赤が部屋の程よいアクセントに
’60年代のステンドグラスのライトは、イエローとレッドという色味に惚れ込んで購入。プールバーランプに合わせたカラーバランスも秀逸だ
昔ながらのアメリカの書斎をイメージして作った空間。’70年代の趣あるソファーの上にあるポスターは、もちろん自身の愛車、’68年製のインパラ
ロックガーデンのライティングも、もちろん山口さん自身のデザインによるもの。陽が沈むと、昼間とはまた違った趣ある光景が目の前に広がる
涼しくなってきた季節に、ゆっくり腰掛けてカバードポーチから眺める景色は至福のひとときとなる

仕事場も自分色に染め上げれば、四六時中アメリカン!

美容室の雰囲気も同じく黄色がかった温かみのあるライトにブラウンやゴールドを合わせ、赤を差し色持ってきているが、自宅よりもライトな印象。どちらも独自のセンスが光る内装に仕上がっている

昨年念願のアメリカンハウスを完成させた山口さんだが、その数カ月後にオープンさせたのが、自身のこだわりが詰まった美容室、ワイズファクトリーだ。

「ヘアアーティストの仕事は老若男女幅広く対応しているのですが、ブラックカルチャー好きが高じて、ドレッドやハードパーマなど特殊なヘアスタイルも手がけています。そちらでは今まで数々のコンテストで優勝してきたので、遠方からわざわざ来てくれるお客さんもいますね。

なので内装もそのスタイルに合わせ、’60年代のミッドセンチュリーアメリカンをテーマにネオンサインを入れたり、ブロードウェイにあるような看板をレイアウトしました。今まで行ってきたいろいろな州の良いなと思ったところを、絶妙にミックスして馴染ませています」

外観はまだ未完成ながら、アメリカンな雰囲気がプンプンと漂う。カウンターは’60年代テイストが最も色濃く、オープン日を記した手作り看板は映画館をイメージしたもので文字の変更も可能
待合スペースに飾られたTシャツは昨年末に開催されたHot Rod Custom Showで優勝した一台をプリントしたもの。また上部に飾った角は房総半島に生息する鹿で、お店唯一の日本のアイテム
レジスターは1920年代の真鍮製。盗難防止のために60kgもの重さがあるにも関わらず、丁寧に磨き直した逸品

これでも十分個性的だが、同じ建物に自らのプライベートジムも併設しているというから驚きだ。

「筋トレは趣味で25年以上ずっと続けてるんです。ただ営業はしておらず、仲間内で好きに使っているだけなので、イメージとしてはアメリカの田舎にある天井の高い掘立て小屋みたいな、決めすぎない感じですかね。

でも器具は全部バラして赤に塗装して組み直していたりと、こだわりもあります。赤は燃えるものがあって気合いも入りますし、アメリカ国旗にもある色なので、そういったところで雰囲気を演出してみました」

プライベートジムは1階に胸と肩のトレーニング器具、2階にストレッチマットとその他部位の器具が揃う他、完成はまだまだだがプライベートバーも完備
全ての器具は、一旦分解してから赤に塗装し、再び組み立てたというこだわりっぷり
アンバーガラスに’50年代特有のひび割れ模様が入ったシャンデリアなど、美容室にもこだわりのランプがズラリ
バリカンの手入れをする山口さん。ブラックヘアーにしてみたいという人は、一度彼のところ を訪れて損はなし。もちろん通常のヘアスタイルもお任せあれ

【Specification】
山口春樹 邸
エリア_千葉・鴨川
間取り_4LDK + ガレージ
敷地面積_376㎡
延床面積_136㎡
住宅形態_新築
住居年数_1年半
築年数_1年
家族構成_夫婦+子供1人
総工事費_非公開

(出典/「Lightning2023年9月号 Vol.353」)

この記事を書いた人
Lightning 編集部
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