日本の伝統アートである盆栽をモダンに演出する。
ランドローバーやポルシェなどの自動車メーカーから、国内外の有名ブランドまで、様々な企業と協業する注目のクリエイターである小島さん。日本の伝統的なアートである盆栽を、これまでになかった斬新なアプローチで演出している。そのきっかけとは?
「自分は幼少期に施設で育ったのですが、そこの園長先生が盆栽を育てていたのがルーツです。千葉の柏で生まれ育ち、親が古着好きだったこともあって、アメリカの服やカルチャーに多大な影響を受け、洋服店をオープンしたんです。
海外へバイヤーとして渡った時に、現地でまるでカリフォルニアロールのようにデフォルメされてしまった盆栽を見たんです。そこで日本の伝統的な芸術をしっかりとした形で、世界中に伝えたいと思ったんです。
自分の中で『伝統とは革新の連続』だという哲学があって、画一化された日本の盆栽の魅せ方に疑問を持ちました。だから伝統を守りながらも、もっとモダンな演出ができると思い、常に試行錯誤しているんですよ」
日本の美を再確認できるモダンな空間が広がる。
数々のブランドや企業と“盆栽のある空間” を表現しており、それは本拠地となるギャラリーでも体現。モルタルの無機質な壁に力強い盆栽が映えていた。
都内近郊にあるトラッドマンズボンサイのギャラリーには、芸術的な盆栽が管理されている。毎日、欠かさずに手入れしないとすぐにダメになってしまう。
先日、浅草で開催されたスニーカーウルフと行ったエキシビションである『SUPER TRAD』で展示した作品。鉢にはスニーカーウルフのアートワーク。
小島さんがもっとも得意とするのが、真柏と呼ばれる手法。木の一部をあえて枯れさせることで、生と死を表現。その分、緑の部分に栄養が行くため、青々とするのだ。
こちらも芸術的な真柏の盆栽に、スニーカーウルフのアートワークを落とし込んだ鉢が使われている作品。江戸文字とグラフィティアートを融合させた表現に盆栽がマッチ。
小島さんが生まれ育った街が松葉町ということからも松は特別な存在。数十年もかけて形成された松は、自他とも認める究極のヴィンテージだ。
存在感たっぷりの鉢は、日本の人気陶芸家夫妻が手掛けるロウライフファクトリー。小島さんとランドローバーのコラボレーションから生まれた企画で、数個制作された。
【問い合わせ】
トラッドマンズボンサイ
TEL03-.6822-3223
https://tradmans.jp
Instagram @ tradman_matubaya.inc
(出典/「Lightning2023年8月号 Vol.352」)
Text/S.Sato 佐藤周平 Photo/M.Watanabe 渡辺昌彦
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