日本の伝統的な手法とストリートな感覚を絶妙にミックス。
三軒茶屋にフラッグシップストアを構えるモデスティインダストリー。インポートショップやドメスティックブランドのスタッフを務めていたロンさんと、美大のテキスタイル専攻で染織を学んだ実弟の2人で手掛けている。そのスタンスは独特で、自分たちの気に入った古着の欧米のクロージングに、1点ずつ日本の伝統的な染色技法で新たな息吹を吹き込んでいるのが特徴だ。
「ベースとなる古着は、自分たちがリアルタイムで通ったものや今の気分に合うようなものをピックアップしています。自分も弟もアメリカの洋服やカルチャーに多大な影響を受けているので、デニムとミリタリーは欠かせない要素ですね。
日本において染めは、襤褸と同じようにひとつのものを長く使うためにも用いられているアップサイクルでもありました。アメリカの古着でも長く使うためにリペアやリメイク、カスタムが施された個体がありますが、そんな感覚を日本の伝統的な染色技法で表現しています。
具体的には柿渋を塗った和紙を筒状にして、目糊(糯米粉と米糠)に、染料を混ぜた色糊で染める筒描き染めや捺染を得意としているのですが、伝統に縛られすぎず、自分たちの自由な感覚を大事にしているんです」
定番のアメカジアイテムが新鮮に映るハイセンスなカスタム。
メイドインカナダの変わった’90年代のリーバイスのGジャンを一回抜染してから、筒描き染めでアートワークを施している。染めとは思えない直線的なデザインや絶妙なグラデーションがおもしろい。3万3000円
アイアンクロスをモチーフにした和洋折衷のアイデアがおもしろい。ベースはアメリカ製の501で、38インチというビッグサイズをリメイクしてテーパードシルエットにアップデートした。2万7500円
デカタグの付いたリーバイスのGジャンに、プリズナーのようなボーダーを染めで施した。大きめなサイズも◎。3万800円
パンチの効いた芸術的なMA-1は、アルファがベース。あえてグレーのベースにこだわり、色糊でナイロンを染めた。3万8500円
メイドインUSAのリーバイスのGジャンをカットオフし、染めでファイヤーパターンを表現。星のアートワークも絶妙だ。2万2000円
センス溢れるオリジナルTシャツは、プリントではなく、もちろん染めで表現している。上、中/各1万4300円、下/1万2100円
まるでどこかの軍隊で使われていそうな完成度の高いカモフラ柄は、なんと染めで構築。ベースはリップストップ生地を使った無地。2万2000円
ポロラルフローレンのジーンズをベースに、一度染めてからバラのアートワークを施した力作。穿かない時は、飾っておきたいくらいのクオリティ。2万2000円
【DATA】
Sally’s Journey
東京都世田谷区三軒茶屋1-9-13
TEL03-5787-5683
https://modestyindustry.com
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※情報は取材当時のものです。
(出典/「Lightning2023年7月号 Vol.351」)
Text/S.Sato 佐藤周平 photo/K.Hayashi 林和也