カスタムの可能性を感じる過激なJeepのコンセプトモデルたち。

クルマには発売前に必ずコンセプトカーと呼ばれる実寸大のプロトタイプが作られる。もちろん、ほとんどの場合、コンセプトモデルは各国の法律や安全基準、それに生産効率などの理由から、まったく同じデザインで発売されることはないけれど、メーカーの「こうしたい。こんなクルマにしたい」という情熱を思いっきり反映させたコンセプトカーは見ているだけでおもしろい。

今回はジープがユタ州のモアブで行われた「イースター・ジープ・サファリ」に集結させたコンセプトモデルたちを紹介。これとまったく同じモデルが発売される可能性は低いけど、ジープ好きのカスタムのヒントにもなる。メーカーが忖度無く製作したコンセプトモデルはどれも過激なスタイリングと性能を高めたカスタムが特徴。もはや街乗りをメインに考えていない思い切りの良さがアメリカ的で実にわくわくさせる。

4WDのポテンシャルを最大限に活かしたコンセプトモデルたち。

ジープの強みといえば、登場以来、ファンから絶大な信頼を得ている悪路走破性。そんな走破性に重きをおいてカスタムされたコンセプトモデルたちは、さすがアメリカブランドらしく、なかなか派手でパンチがあるものばかり。マニュファクチャー自らが手を入れているだけあって大胆なモディファイもお手の物。さすがに一般ユーザーでここまでモディファイすることはハードルが高いけど、悪路走破性を高めるカスタムのアイデアとしてはお手本になるモデルばかり。7台のコンセプトモデルを紹介する。

1.Jeep Wrangler Magneto 3.0 Concept

Photo by Stellantis

メーカーがオフロードビースト(悪路の野獣)と表現するモデル。2ドアのラングラーをベースに、サイドのドアを取っ払い、ルーフも無いフルオープン仕様にするだけでなく、フロントのウィンドーを12度寝かせることで全高が低く見え、まるでルーフをチョップしたかのようなスタイルに。パワートレインは2パターンのセッティングがされた電動モーターで、スタンダードだと285馬力、マックスで650馬力を生み出す

2.Jeep Scrambler 392 Concept

Photo by Stellantis

ジープのスクランブラーはかつて1981年に登場したジープのピックアップトラック。そんな歴史をオマージュして、ジープの車格に合わせたコンパクトなピックアップトラックにモディファイ。エンジンは当時のスクランブラーには搭載されてなかったV8エンジンをチョイス。6.4リッターのHEMI V8エンジンは470馬力というモンスター。さらには空力も意識してフロントウィンドーを12度寝かせて低いスタイリングへと大改造。さらに軽量化なのか左右のドアは装備していない

3.1978 Jeep Cherokee 4xe Concept

Photo by Stellantis

ワゴニアの2ドアスポーツモデルとして、同じフルサイズボディで1974年に登場した初代チェロキー。その1978年式モデルをベースに、ラングラー4xeの2リッター、直4ターボエンジンと電動モーターをインストール。あえてボディカラーをベース車両の’70年代モデルを意識したものにするだけでなく、クラシカルなデザインながら17インチ化したディッシュホイールを履くなど、旧車の雰囲気を残しつつモダンなパフォーマンスに大改造している

4.Jeep Wrangler Rubicon 4xe Concept

Photo by Stellantis

pink-huedと呼ばれるピンクパープルの派手なカラーリングにその他パーツはすべてブラックアウトするというラングラー・ルビコン4xeコンセプト。空気圧を変えられるエアサスペンションキットをインストールし、タイヤーも37インチにビードロックホイールというマッシブな足周りに変更することで、通常のルビコンよりも悪路走破性をさらに高めたアップデートがされている。フロントにはウインチを装備するなど、あらゆるオフロードを制覇するポテンシャルを感じる仕上がり。

5.Grand Wagoneer Overland Concept

Photo by Stellantis

ジープの最高級モデルとして登場したグランドワゴニアのオーバーランド仕様。オーバーランドとはクルマで車中泊をしながら走って旅をするキャンプスタイルで、ルーフにレッドテイル・オーバーランド社のスカイロフトと呼ばれるカーボン製のテントを装備。ベースになっているモデルは、3リッター直6のハリケーンツインターボエンジン搭載モデル。これは6気筒ながらV8エンジン並みの510馬力を発生させるので、巨大なグランドワゴニアのボディにルーフテントを追加したとしても、ぐいぐいと引っ張ってくれる。

6.Jeep Wrangler Rubicon 4xe Departure Concept

Photo by Stellantis

左右のドアはチューブ状のパイプに変更されたオープンエアコクピット仕様になったラングラー・ルビコン。足周りは2インチリフトアップし、ビルシュタイン製のショックアブソーバーに換装。さらにヴィンテージブロンズの17インチホイールに37インチタイヤというセッティングでアップデートしている。エクステリアもチューブタイプのグリルガードやウインチを装備するだけでなく、ルーフにはLEDライトを装備するなど、悪路をどこまでも走り抜くスペックへと性能を高めている。もちろん雨の日なんて想定していない

7.Jeep Gladiator Rubicon Sideburn Concept

Photo by Stellantis

4ドアのピックアップボディになるラングラー・グラディエーターをベースに、2インチのリフトアップキットで車高を上げ、ショックはビルシュタイン製をチョイス。ホイールはHREの17インチに換装し、37インチタイヤをセットすることで、ボリュームのある足元へと変貌した。そのほかにもルーフにはLEDライト、フロントにはグリルの周囲を縁取るようなチューブ型のガードやウインチで武装し、過酷なオフロードトレイルも難なく走破するパフォーマンスにアップデートしている。エンジンは3.6リッターのペンタスターV6。

この記事を書いた人
ラーメン小池
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ラーメン小池

アメリカンカルチャー仕事人

Lightning編集部、CLUTCH magazine編集部などを渡り歩いて雑誌編集者歴も30年近く。アメリカンカルチャーに精通し、渡米歴は100回以上。とくに旧きよきアメリカ文化が大好物。愛車はアメリカ旧車をこよなく愛し、洋服から雑貨にも食らいつくオールドアメリカンカルチャー評論家。
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