【フェアレディZ図鑑】セスナ機をイメージして10年以上前に仕上げた、地上の戦闘機

百台あれば百通りのスタイルが存在するZ。イベント会社に勤め多忙を極める瀬賀寛之さんの愛車は、まるで戦闘機のような、セスナ機をイメージしたZ。そんなZとの出会いを聞くと、語られたのは人と人とのつながりや縁など、人間味あふれるエピソードだった。

人と人との縁がつないだ、Zとの出会い。

瀬賀寛之さん|イベント会社で企画運営の仕事に携わる瀬賀さん。多忙な日々を送るが、その息抜きがクルマ。最近は仲間と畑を借りて農作物の収穫を楽しんでいる

マットグレーにオールペンされた1973年製のZ。ボンネットに打ち込まれたリベットや車体に描かれたグラフィック。ひと目見ただけで、誰もがこう思うだろう。まるで戦闘機のようだ、と。

左ハンドルの240Z。オーナーの瀬賀さんは、約10年前にこのクルマを前オーナーから譲り受けた。当時からこのスタイル。それをそのままずっと乗り続けてきた。実は瀬賀さんは19歳の頃からハコスカに乗っていたほどの旧車好き。そのハコスカには今でも乗り続けている。そしてハーレーのスポーツスター883やヤマハのRZR250Rという2ストロークの旧いバイクも所有している。

このスタイルは前オーナーがセスナ機をイメージして10年以上前に仕上げたもの。後付けのオーバーフェンダーに収まるワタナベはフロント8.5J、リア9.5J

ここまでクルマやバイクに情熱を傾けているのには理由があった。瀬賀さんは40歳になった時、ある決心をした。やりたいことは、もう後回しにしない。

イベントの企画運営を仕事にしていることもあり、土日など関係なく、仕事一本やりだった人生。でも、その考えはもうやめた。ウィークデイは仕事にまい進する。だけど土日は地元の友達やクルマ関係の仲間と過ごす。すると仕事はより一層充実した。そうすることで人間関係の輪も広がり、それでつながる縁もあった。

このZもそうだ。前オーナーとは仕事で知り合い、瀬賀さんが10代の頃からハコスカに乗り続けていることを知り、この人にならとZを譲った。そのハコスカも、元は父親が乗っている姿を見て、それに憧れ、免許を取って頑張って手に入れたクルマだ。

人間関係と同様にクルマも大事にする。戦闘機のようなZだが、ハンドルを握る時は遊覧飛行のように大切に乗る。景色と風を楽しみながら。

19歳の時に父親が乗っていたハコスカに憧れて手に入れた昭和46年式のスカイライン2000GT。ハコスカは46 年、本人は47年、Z は48年式。「3兄弟のようなものです」と瀬賀さんは微笑む

10年以上同じスタイルで乗っています。

ミリタリーの雰囲気を感じさせるボディに打ち込まれたリベット。これは何かを留めるためではなく、あくまでビジュアル上の演出。見た目のインパクトは抜群。

L24、2399㏄のエンジンはノーマルのまま。キャブのみウェーバー45φに変更している。メインテナンスは簡単なことなら自分でやる。

あえてコックピットと呼ばせてもらうが、ステアリングをモモに変更しただけで、ノーマルの状態を維持している。

シートは破れもなく、大切に扱われていることがわかる。

サイドにもリベットが打たれている。ペイントされたグラフィックは経年により色落ちしており、いい雰囲気になっている。こちらも前オーナーが仕上げたもの。

凝ったデザインののミラー。おそらくバイク用。北米仕様のZなので、フェンダーではなくドアミラーとなる。クルマの雰囲気にマッチするが、視認性はあまりよくないそうだ。

(出典/「Lightning2023年5月号 Vol.349」)