【フェアレディZ図鑑】アメリカで手に入れた280Zと過ごす沖縄旧車ライフ。

沖縄で生まれ育ち、アメリカ人が運転するのを見て子どものころから憧れていた左ハンドルのフェアレディZ。現在沖縄でインテリア業を営む仲間久雄さんも、そんな憧れを実現したひとり。夢を実現するためにこだわって変更したり、そのままにしたり、そんな仲間さんの一生の愛車を見せてもらった。

アメリカで出会った、左利きの帰国子女。

仲間久雄さん|沖縄でインテリア業を営む仲間さん。かつてはクルマに携わる仕事をしており、ちょっとした作業なら自分で行っている。コルベットC3などアメリカ車のオーナー経験もあり。若いころには510ブルーバードに乗っていた仲間さん。今はガレージで510のバンをコツコツとレストア中。当時と同じようにエンケイのディッシュホイールを履かせたいとか

1989年カリフォルニア州サンフランシスコ。そこで出会った一台のZ。このZに出会うため、仲間さんはアメリカに渡ったのかもしれない。生まれ育った場所は沖縄。子供の頃に見た、アメリカ人が乗っていた左ハンドルのフェアレディZ。それはよくある光景なのかもしれないが、仲間さんは強く憧れた。そして心に決めた。絶対に左ハンドルのZに乗るんだ、と。

乗るなら本物が欲しい。だからアメリカに買いにいった。最初は240Zを探したが、中古車店にあったのはフルノーマルの280Z。でも、なんだか気になった。手持ちの4000ドルを支払い、そのZは仲間さんのものになる。

そこから仲間さんは、憧れを現実の物にする。オールペン、ホイール、そしてインジェクションをソレックスのキャブレターに変更。それに合わせてマフラーもステンレスのデュアルに変えた。バンパーや車高はそのまま。それはすべてこの形にするためだ。

もし左ハンドルではなく右ハンドルのZだったら、Gノーズ仕様にしていたと仲間さんは語る。それだけこのスタイルには強いこだわりをもっている。

今となっては長い付き合いとなる280Z。昔は走り回り、カーショーにも出たことがあったが、近ごろはガレージにいることも多い。だけど手放すことは考えたことすらない。叶うなら、もう一度レストアをしたいと願っている。

すべてこの形にするために、こだわり抜いたスタイル。

エンジンは2.8Lのノーマル仕様。キャブはソレックス44φに変更している。1977年モデルのため、公認をとるのはかなり大変だったそうだ。

車体色と同じ爽やかなブルーのレカロシート。こちらは友人からもらったものを装着している。内装はシンプルに仕上げるのが好みとのこと。

ダッシュの割れもなく、クリーンな状態を維持している室内。改造はステアリングをモモに変更し、1DINのオーディオを追加している程度だ。

「たまたま履いただけ」というホイールは車体色に映えるBOYDS(ボイド)ビレットホイール。懐かしくも新鮮で、このクルマだからこそ似合う。

日本のZはフェンダーミラーだが、北米で販売されたZはドアミラーが標準となる。クロームの輝きが、よりアメリカンな雰囲気を醸し出している。

マフラーもZを日本に持ってきてから変更したパーツのひとつ。タコ足は交換しておらずノーマルのままだが、心地いいサウンドを聞かせてくれる。

(出典/「Lightning2023年5月号 Vol.349」)