アメリカで見つけたカヤックのフィッシングスタイル。
トップウォーターフィッシングを続けていく上で、アメリカをインスパイアし進化していったのはルアーだけではない。釣りのスタイルそのものも時代とともに変わってゆく。
「以前は、フロートチューブに乗って釣りをしていたんですよ。釣りをするフィールドも、野池など小規模なエリアが多かったので、小回りがきいてじっくりできるフロートチューブが、トップウォーターフィッシングにはちょうど良かったんです」
フロートチューブとは、浮き輪のような浮力体に乗り、足に装着したフィンで漕いで水面を移動するフィッシングツールである。しかし、日本のバス釣りを取り巻く環境が、釣りのスタイルそのものの変化を生んでいくこととなる。
「’90年代後半になると、ブラックバスが在来種を食べて日本本来の生態系を壊すなど、外来魚を排除する議論が盛んになってきた。そうなると、小規模な野池など釣りが禁止になるフィールドが増えたんですよ。状況的に大きな川やダム、湖などで釣りをするしかなくなっていったんです。
でも、それだとフロートチューブで移動するのは大変で……。そこで目をつけたのがアメリカではすでに釣りでも使用されることが多かったカヤックを使って釣りをするスタイルでした」
バスフィッシングに対する風当たりが強くなる中、逞しくも松井さんのトップウォーターフィッシングは進化を遂げたのである。
トップウォーターフィッシングはカヤックを使うのが最高に面白い。
カヤックに乗り水面にルアーを走らせてブラックバスを釣る。写真を見ていると、実に優雅で楽しそうではあるが、始めるとなると少し敷居が高い気もする。
「それがそうでもないんですよ。手軽すぎて、これ以外の釣りができなくなりますよ(笑)。それこそ、このままの服装で行って、カートップしてあるカヤックを下ろして、乗ってすぐに釣りができますから。釣り場に着いて5分で水面に出られるんですよ」
積み下ろしに関しても船体の重量が16㎏ほどと聞けば、大変ではないことが理解できるだろう。実際のところ、松井さんも軽々と頭の上に抱え上げ、店前まで運んで見せてくれた。ただ気になるのは安全性について。
「必ずライフジャケットを着用すしてください。あとは、天気予報を見て風の強さなどの状況から判断して決して無理に出ないこと。これを守っていれば、安全に楽しく釣りができます。仮に転覆してしまったとしても、トップウォーターフィッシングは岸の近くを釣るので、岸までカヤックを引っ張って少し泳げばいいから心配はいりません」
アメリカという原点を辿ってより楽しさを増したブラックバスのトップウォーターフィッシング。今後もアメリカをインスパイアしながらますます楽しさを増していきそうだ。
【DATA】
BASS POND
東京都目黒区目黒本町3-6-19
TEL03-3711-5035
営業/12:00〜22:00
休み/火曜
https://www.basspond.co.jp
(出典/「Lightning2023年5月号 Vol.349」)
Text/S.Yasuda 安田真悟 Photo/S.Kai 甲斐俊一郎
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