昭和初期の古民家をリノベーション和洋折衷したジャポニズムハウス。|「からくさ」代表・和歌 成介さん

人気ブランドや飲食店を手掛けるからくさの代表、和歌成介さんが新たに手掛けるセカンドハウスは、なんと昭和初期の日本家屋と明治時代の蔵のリノベーション物件。そこに自身の敬愛するアメリカの息吹を吹き込み再生させている。古民家とアメリカンのヴィンテージアイテムの意外な融合。その空間を案内してもらった。

「からくさ」代表・和歌成介さん|1974年生まれ。兵庫県出身。日本体育大学在学中に古着の世界に入り、その後ヴィンテージショップを立ち上げる。現在はアパレルから飲食店、IT まで手掛ける(株)からくさの代表。大のクルマ好きとしても有名

アメリカンヴィンテージと古民家の意外な相性。

昭和初期に建てられた母屋は、呉服店として使われていた。千葉の内房エリアの伝統的な日本家屋で、戦後はGHQが物資を配給する場所として使っていた歴史のある建物だ

「これまで会社としてもプライベートとしても様々な物件を改装してきましたが、古民家は初めての経験。この建物は、何十年も人が住んでいない状態でしたが、その歴史を聞くと地域の人たちがコミュニケーションを取るために使われていた場所でもありました。

そのことを聞いて、解体するのではなく、外観や骨組みはできるだけオリジナルの状態を残しつつ、モダンな空間にリノベーションしようと決めました」

ここは明治27年に建設された蔵。母屋が呉服店だったので、布が多く収納されており、市場価値の高い藍染の布などが出てきたそう。できる限り外観を残しつつリノベしている

そう語る和歌さんのセカンドハウスは、昭和初期に建てられた母屋と明治時代の蔵がある物件。500坪を超える広大な土地には大きな広場があり、ここは地元の人々憩いの場でもあった。

取材した際は工事中で一部しか撮影できなかったが、アメリカンヴィンテージに精通する和歌さんならではの創意工夫が随所に落とし込まれており、サウナやコンテナハウス、ジャグジーも併設され、これまでにない古民家の新しいカタチになる予感。

別荘だけでなく、1組限定のプライベートヴィラとしても貸し出す予定なので、今後の動向に要注目。敷地内には大のクルマ好きである和歌さんらしい愛車も停まっており、その中でも目を奪われたのが、’74年のファーストイヤーであるジープチェロキー。古民家とアメリカ旧車のマリアージュが実に官能的であった。

和歌さんの愛車のひとつが1974年製のジープチェロキー。ワゴニアの2ドアスポーツモデルという立ち位置で発売されたレア車である

古民家にもなじむ、和歌さんの愛用品。

呉服店の蔵だったことから、リノベーションする際に整理をしていると多くの襤褸などが発掘されたそう。これはほんの一部で、日本らしい藍染の生地が多数あった。

もともとヴィンテージショップのバイヤーとして活躍していたので、多くの古着を所有。チャンピオンのリバースウィーブは、ミリタリーものをピックアップ。

まるで使い込まれたヴィンテージのようだが、実はジャクソンマティスの新品。親交のあるデザイナーの渡邊さんは、ヴィンテージを深く理解しており、絶妙なバランス感覚に感銘を受けたそうだ。

ターコイズカラーが好きなので、ロレックスの文字盤を大胆にカスタム。ブレスはブルースカイフォークとサンクの個人別注。

以前はハーレーのナックルヘッドやダイナを所有していたが、これは1982年製のショベルヘッドのFXBスタージスで純正度の高い車両である。

和歌さんがリノベーションを手伝う際に寝泊まりしているのが、1996年製のボナンザ・レイジーデイズ。中にはベッドもあり、モーターホームの正しい使い方を実践している。

(出典/「Lightning2023年3月号 Vol.347」)