美大出身のオーナーが作り上げたハンバーガーショップと愛用品。|「No.18」長谷川敬洋さん

池袋駅から徒歩約10 分のところに、オリーブグレーの壁をまとわせてた店がある。ハンバーガーショップとは思えない洗練された内装デザイン。ここのオーナーは実は美大出身。そんなハンバーガーショップのオーナー、長谷川敬洋さんとはどんな愛用品とともに過ごしているのか、その一部を見せてもらった。

「No.18」長谷川敬洋さん|1982年生まれ。武蔵野美術大学空間演出デザイン学科で店舗設計を学び、元々好きだった料理と空間デザインとの親和性に気付き、料理の道へ。2014年 に「No.18」をオープンする

人と違ったモノが欲しくなるんです。

池袋でハンバーガーショップを営む長谷川敬洋さんは、インテリアが好きで椅子を作りたいと、高校3年生の秋、突然進路を変更し美大を目指したという、予想を超える行動力を発揮するユニークな方。それまで絵を描いたことがなかったそう。

「受験のために必死に絵の勉強をしましたね。その当時の画材とかもあったのですが、自宅を新築したときにどこかにいってしまったみたいです」

1年浪人して入ったのが武蔵野美大の空間デザイン学科。椅子だけでなく空間を作り出す方に魅力を感じ、空間づくりへと転向したのだ。

しかし、設計をしたあとは完成した空間を写真で見るだけ。これでいいのか? 何か違う。自分が作った空間がそのあとどのように使われて、どんなお客さんが訪れるのか知りたくなった。

店内に飾られているのはイラストレーターの白根ゆたんぽさんに描いてもらった「Hamburger Girl」。友人の飲食店で偶然出会い思い切ってオーダー。ステッカーとしても販売している
大学時代の友人で、いまは京都で陶芸家をしている佐野元春さんによるお皿を店で使用。少しざらっとした見た目が自然を感じ、とてもいい風合い。料理に合わせて使い分けている

「空間というのは、お客さんが入ってようやく完成だと思うんです。その風景を自分の目で見たい。それで飲食店をやりたいと思うようになりました」

元々料理好きで、学生時代から友人たちに料理を振る舞っていたこともあり、空間デザインではなく、ハンバーガーショップのオーナーへの道を選んだのだという。現在の店舗の内装は、大学時代の友人が手がけたもの。そこで自慢のハンバーガーを提供している。そんな長谷川さんが愛用するのはあまり人が使っていないもの。

最近ハマっている木彫りの熊。骨董市で見つけてからなんとなく惹かれて集めているという。左側の熊の目にはターコイズの ような石がはめられているからか、右の熊の20倍の値段が付けられていたそう

「いま流行っているものを購入してもすぐには使わず、何年か後に思い出してそのときの気分で使うことが多いです。ピンとくるものが、そのときの自分に合っているのかなと思っています」

5~6年前、久しぶりにバイクに乗りたくなりカフェレーサーっぽくないカフェレーサーにして欲しいと、このSRをフルカスタムしてもらった。少々不便なところもあるが、それも愛嬌だと思っている
今は使っていないヘルメット。他店のハンバーガーショップのステッカーの中には、実家が営んでいた「江戸屋茶店」のものも

帽子などのファッションアイテムも、ちょっと変わったデザインに惹かれる。

ナイキのAGC AIR MAGMA。1988年がオリジナルで、2010年頃に復刻されたもの。2足色違いで買い、現在2足目を履き潰し中。

1996年にリリースされたアディダス オリジナルス アディマティックの復刻版。

「実際に履くのはまだ先になりそうですね」

帽子が大好きでちょっと変わったデザインのものを見つけると購入してしまうそう。よくかぶっているのは、札幌を拠点にしたNo.18という生音ヒップホップバンドのライブで購入したデニムハット。

ガンゾのコードバンのウォレット。こちらは2代目で1年くらい愛用している。表面が衣類で磨かれてコードバンらしい美しい質感に経年変化しはじめた。

冬の時期、バイクに乗るときに着ているビヨンドクロージングのジャケット。

「ミルスペックを備えた一般向けのモデルなんですが、東京では暑いです。極寒地に行くときにおすすめ」

バイクを乗るときに掛けているADSRとアイヴォルのサングラス。「耳が少し奥の方にあるため、ストレートタイプのテンプルのものを選ぶようにしています」

【DATA】
No.18
東京都豊島区東池袋2-57-2 コスモ東池袋105
TEL03-6914-3718
営業/月曜11:00~15:00L.O.、水~日曜11:00~15:00L.O.、18:00~20:00L.O.
休み/火曜

(出典/「Lightning2023年3月号 Vol.347」)