昭和に大ヒットした「なめ猫」。令和の今、ブーム再び?
’70年代から’80年代にかけて、暴走族や校内暴力といった非行に走る少年たちが深刻な社会問題になった。当時は「ツッパリ」とも呼ばれ、マンガなどのキャラクターではコミカルに描かれることもあった。ツッパリは後のチーマーなどに続く不良ムーブメントの先駆けともいえる存在だった。
そのような中、’80年に登場したのが〝なめ猫〟だ。可愛らしい子猫がツッパリの恰好をする。そのギャップが若い女性の心を掴んで大ブレイク。あっという間に社会現象にまで広がっていった。生みの親であるプロデューサー・津田覚氏が4匹の子猫を拾ったことからはじまったなめ猫だが、実は『全日本暴猫連合 なめんなよ』が正式名称。略して『なめ猫』というわけだ。
その人気がどれくらいすごかったかというと、人気の火付け役となった写真集の売上は動物の写真集としては異例の50万部超え。関連グッズの中でも一番人気のあった免許証は累計売上1200万枚を超えた。当時の小学生は大げさではなくクラス全員が免許証を持っていたほど。あまりの人気に海賊版も出回っていた。ちなみになめ猫による経済効果は1000億円といわれている。
ここで紹介したアイテムはすべて当時の物だが、その人気は現在もとどまることを知らない。キャンペーンポスターをはじめ、グッズやアパレル、さらにはLINEスタンプまで展開され、昭和に沸き起こったムーブメント同様に令和のヤング達もその可愛さに〝胸キュン〟しているのだ。
なめんなよ特別会員証
見どころは、会員証裏面。「人間に媚びて餌をもらうべからず」など“なめられない” ための猫の心得が書かれていた。他には「決して飼い猫になるべからず」。昭和のツッパリは猫だって硬派なのだ。
なめ猫カード
暴走族、バンド、袴姿など、様々なコスプレをしたなめ猫のプロマイドカード。今なら合成で済ませちゃうかもしれないが、当時はすべてセットを組んで撮影していた。
『なめんなよ大写真館』
なめ猫の写真集。ツッパリのコスプレばかり注目されがちななめ猫であるが、この写真集では月光仮面やアロハシャツなどのコスプレも披露している。ツッパリ姿じゃなくても可愛いんだな、これが!
なめんなよ腕章章。
暴走族なら特攻服に腕章は欠かせない。もちろんなめ猫の腕章も販売されていた。ちなみに猫サイズではなく、人間用の大きさ。この腕章をつけたチャリンコ暴走族の小学生が河原を暴走していたとか?
なめ猫免許証証
売上1200万枚にも及ぶ大ヒットとなった免許証。有効期限の部分の「なめられたら無効」や「死ぬまで有効」の文章はあまりにも有名。免許の条件等には「マタタビを吸って運転しない事」など、細部までネタが細かい(笑)
なめ猫缶ペンケース
勉強道具もなめ猫! 特に缶ペンケースは、当時の小学生の必須アイテムだった5段ふで箱の人気を駆逐する勢いで大ブレイクした。「なめんなよ」を「Don’t Pelorian!」と英訳しているのもセンスあり。
なめ猫缶バッヂ
グッズの定番といえば缶バッチ。もちろんなめ猫もたくさんの種類が販売されていた。お気に入りのバッチをカバンにつけるのは、今も昔も変わらない。バッジはコレクションアイテムとしても優れていて、つい集めちゃうんだな。
(出典/「Lightning2022年10月号 Vol.342」)
Text/S.Yasuda 安田真悟