ガレージをメインにした趣味重視の生活空間。
家の前に真っ赤なヴィンテージカーが鎮座する、約150坪の土地に横長に広がる平屋。約4年前に憧れ続けたガレージ付きのマイホームを建てた岡田さんの自宅だ。
取材前のリサーチの段階で間取り図を見せてもらって何より驚いたのは、家の面積のほぼ半分がビルトインガレージに当てられていること。本誌の家取材では、旦那さんが乗り物好きでガレージが必須だったパターンはよくあるが、それにしてもこの間取りは潔い。
というのも、実は奥さんも現在草レースに向けてヴィンテージトライアンフを制作しているという根っからの趣味人。ガレージは夫婦の趣味が詰まった空間なのだ。
「アメリカのビルトインガレージの平屋に憧れて、工務店にアメリカの家の資料を見せながら設計してもらいました。僕が好きなモノって機能だけを見たら無駄なモノが多いんです。ヴィンテージのクルマやバイクは移動の手段としては手入れも必要だし、燃費も悪い。だけどそういう無駄があるモノに惹かれてしまう。家もどうせならご飯を食べて寝るだけじゃなくて、人が集まって遊べる場所にしたいと考えて作ったらこうなったんです」。
ガレージは休日になれば乗り物で繋がった友人や飲み仲間、近所の子供たちがフラッと遊びに来ることも珍しくない。夫婦がゆったりとした時間を過ごすだけでなく、訪れる人も笑顔になる場所。コロナウィルスの影響から一般的に日本人が家で過ごす時間が長くなった今、生活と遊びを両立する家は現代の趣味人の理想の生活の一例と言えるだろう。
こだわりのガレージを覗いてみよう。
平屋と一体で設計されたビルトインガレージは、家のエントランスからも外からもアクセスできる仕様。愛車は’64年式シボレーC-10。
40坪の面積を誇る大きなガレージだが、「狭いと居心地が悪いので」と、クルマを外に出してスペースを広々使っているのが岡田さんらしい。
昨年千里浜サンドフラッツに参戦した’50年式トライアンフはペイントのため現在はタンクを外した状態。普段は街乗りで草レースにもエントリーするマルチなマシンである。
バイクや漫画、トレーニングスペースがあるガレージは男の理想の遊び場だが、実は岡田さんの仕事スペースでもある。仕事場にしては誘惑が多すぎる……
愛車の整備はできることは自分でやるスタイルなので、基本的な工具は揃っている。ボール盤やプレス機などは、レザー小物の制作にも使っているのだとか。
壁一面に設置された本棚には漫画や雑誌がずらりと並ぶ(ほぼ漫画)。見た目重視のガレージであればパーツやアートなどで飾りたいところだが、乗り物と同様に趣味のひとつである漫画や雑誌で埋め尽くすのが岡田さんの自然体なのだ。手前の2台のバイクはフラットトラック用のレーサー。
愛用するヘルメットは、H-D純正のMcHAL社製クラブスター。1950年代から’60年代に生産された希少なモデルで、当時のペイントが綺麗に残っている。
ガレージは梁を剥き出しにして、天井を高く設計することで開放的な空間になっている。
ガレージ内に設けられた筋トレスペース。空手歴30年以上のベテランだけに、日々のトレーニングも欠かせない。
(出典/「Lightning2022年6月号 Vol.338」)
Text/Y.Kinpara 金原悠太 Photo/M.Watanabe 渡辺昌彦
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