最高の贅沢を味わう、室内からの眺めにこだわった庭づくり。

自宅を新築する際、通常ならば庭とリビングは分けてデザインを考えるものだ。しかし室内からの景観もインテリアとして捉え、門から部屋の中まで全てをひとつの空間として創り上げたらどうなるだろうか。そこには季節や時間帯で変わり続ける” 観る” 楽しみが詰まっていた。

「WARRIORS」代表・サトウ ノリカズさん

タクティカルギアブームを巻き起こした中野のミリタリーショップ、WARRIORS を経営。そのセンスあるセレクトは自宅のインテリアを見れば一目瞭然。

庭の緑や自然光の変化を感じる、情緒ある時間。

庭から建物に向いたときに見える窓への庭や空の反射は佐藤さんの狙い。写り込みによって植栽のボリューム感や奥行きがさらに増して感じられる。また普段からよく庭に椅子を置いており、夜は小さなランプだけを灯して星空を楽しんでいるとのこと

井の頭公園に程近い地に位置するサトウさんのご自宅。一歩敷地内に足を踏み入れれば、全てが計算し尽くされた美しい配置の植栽に思わず目を奪われてしまう。

二階から見下ろしても玄関から見渡しても楽しめる景観はデザインセンスの成せる業

「ここは目の前に借景の桜の木があって、その並びに緑が広がるロケーションなんですが、この土地を初めて訪れたときに、瞬間的にどんな建物が合うのかがイメージできたんです。建坪率が40%と厳しいのを逆手にとって、抜けのあるスペースを作ってゆったりとした庭のある理想の家ができそうだなと。庭や2階からの眺望も思い描けたので、あとはそれをどうやって具現化するかだけでした」

門を開けても玄関までの道筋がはっきり見えるので、視認性も非常に高い

ただそうなると庭に対する比重は大きくなるし、家もそれに合わせたデザインにしなければ全てが台無し。そこで取り入れたのがガーデンデザイナーによる造成とCGによるシミュレーションだ。

「LAのケーススタディハウスのような家にしたかったので、ガーデナーはボヘミアンズの菊地さんにお願いしました。気に入っている庭の写真をいくつか見てもらったら、偶然にもその中の一枚が以前担当されたところだったのもあり、お任せするならここ一択でしたね。希望も取り入れてくださり、理想的な仕上がりになりました。ガーデンとリビングはデザインを調和させたかったので、自ら設計の基礎を考え、床材、壁材などの素材も全てコーディネイトし、家具も含めた詳細な設計図をCGで作成して完成したんです」

自宅で過ごす時間が長いため、リビングから見た景観は最も重要視していた部分。そこでどうしても作品性のある庭にしたかったと語るサトウさん。もちろん出来栄えには大満足

ミッドセンチュリーモダンなリビングにも注目。

セルジュ・ムーユのランプや’60年代のアンティークメタルウォールスカルプチャーなど、個々のインテリアにもかなりのこだわりが。キッチンのコンクリートパネルとウッドの相性も◎。

インテリアは田村奈穂が手がけたAmbientecのテーブルランプや、サンタ・マリア・ノヴェッラのポプリなど、新しいものと伝統的なものを程よくミックス。

(出典/「Lightning 2021年9月号 Vol.329」)

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