Tシャツで“染め”と聞くと、’70sのタイダイをイメージするのが一般的。しかし、このブランドは違う! 日本の伝統的な染色技法を使い、モダンな感覚をデザインとして表現している。
“日本の染め”で唯一無二のプロダクトに。
「日本古来の染めは伝統工芸という一面もありますが、自分が惹かれたのは襤褸(ぼろ)と同じように、ひとつのものを長く使うために染めを用いていたことでした。これは現代の古着にも通ずるのではないかと思ったのがきっかけですね」
そう語るのは三軒茶屋にあるサリーズジャーニーのオーナー、ロンさん。都内屈指のホットドッグ店であり、オリジナルブランドのモデスティインダストリーを展開する。これまでアパレル業界で培ってきたセンスや知識、経験に、美大出身で染織を専攻していた実弟による染色が融合し、唯一無二のプロダクトを輩出する。
「基本的には新旧問わず、自分たちが気に入ったウエアに染色を施したプロダクトを展開しています。すべて弟が伝統的な手法を用いて仕上げているため、思っている以上に時間とコストが掛かっているんですよ」
京友禅などでも用いる伝統的な“筒描き染め”という手染め仕上げ。
このブランドが得意とする筒描き染めとは、まず柿渋を和紙に塗って燻した渋紙を筒状にする。そして京友禅などでも用いられている染色材料である目糊(糯米粉と米糠)に、染料を混ぜた色糊を使い、手作業にて描き、染色する技法だ。
唯一無二の存在感。オリジナルTシャツを拝見!
フラワー柄は色糊を使い、友禅染にも用いられる筒描き染めにて染色。圧倒的な存在感。1万6500円
アブストラクトなモダンアートのようなパターンは、筒描き染めにて染色して形成した。1万1000円
可愛いスマイルマークも筒描き染めを応用。1点ずつ表情が異なる。胸には刺繍入り。1万5400円
青写真の技法をうまくアレンジしてデザイン。さり気なくワンポイントのプリントを入れた。1万1000円
色糊を手作業でランダムに染色させたスタンプ柄。2つと同じものがない一点モノのプリント。1万1000円
まるでシルクスクリーンを使ったかのようなターゲットデザインは、ハンドによる筒描き染め、1万2100円
ハードになりがちなスパイダーウェブも色糊による筒描き染めであれば、どこかマイルドに。1万1000円
筒描き染めと同様の工程を踏むが、筒ではなく、型を使用するので捺染と呼ばれる手法を駆使。1万3200円
愛犬のゴールデンレトリバーのフォトプリントに、ブランドアイコンを組み合わせたデザイン。1万4300円
センターに絞り染めでアートワークを施したシンプルなデザイン。そこにブランドロゴが入る。6050円
スパイダーウェブを多色使いにし、よりクリエイティブな1枚に。筒描き染めを応用した。1万3200円
【DATA】
Sally’s Journey
東京都世田谷区三軒茶屋1-9-13
TEL03-5787-5683
営業/12:00~20:00(短縮営業中)
休み/月曜
http://modesty.shop-pro.jp
※情報は取材当時のものです。現在取り扱っていない場合があります。
(出典/「Lightning 2021年7月号Vol.327」)
Text/S.Sato 佐藤周平 Photo/K.Hayashi 林和也