ニューイングランド地方の伝統と格式を今に伝える古書街の老舗アメカジ店「MAINE」。

日本でも有数の古書街として知られる神保町にて30年以上にわたり質実剛健をキーワードに良質なアメカジスタイルを提案し続ける老舗「MAINE」。米ニューイングランド由来のどことなく上品なセレクションが旧きよきインポートショップを思わせる。そんなアメカジ好きに愛されるショップを紹介しよう。

基本姿勢は変わらない。ただ、時代に沿ったアップデートも忘れない名店。

アメリカ建国の母体となった英国13植民地の中でも最も古い歴史を誇り、英国移民たちの文化が色濃く残るニューイングランド地方。その最北部に位置するメイン州にあやかり、同店は’88年に設立された。学生時代にアルバイトから入社した古参の島倉氏は言う。

「MAINE」ディレクター・島倉弘光さん|学生時代からワークやミリタリー、アウトドアといったアメリカンカルチャーにどっぷり浸かり、学生アルバイトを経て入社。ヴィンテージ愛好家にして、休日はサーファーとしての顔も持つ

「由来となったメイン州フリーポートは、かつてメイド イン U.S.A.の宝庫だったと言われています。アメカジといえばワーク、アウトドア、ミリタリーが主軸ですが、我々のセレクトには、そんなメイン州ならではの文化、つまり英国移民が持ち込んだシェットランドニットやダッフルコートといった、やや上品なテイストが大きく影響していると考えています」

30年余り、東京のアメカジ文化を見続けてきた島倉氏は、やはり我々世代が屋台骨であると続ける。

「’90年代のヴィンテージブーム然り、今現在の30〜40代にとってアメカジはひとつの共通言語だったと。ウチに限らず各店がアメリカのファクトリーブランドを発掘したり、別注をかけていた時代、あの時期を通過した世代がいわゆるアメカジと呼ばれるスタイルを今なお牽引していると思うのです。我々も基本となる質実剛健というコンセプト自体はあの頃と何も変わりません。でも、時代とともにアップデートすべき部分は変化すべきとも考えています」

小川町にて設立された第一号店の雰囲気をそのまま伝える神保町店。

アメリカ東部のメイン州フリーポートから命名された第一号店は、’88年に隣町にあたる小川町にてスタート。その後、第二号店となった神保町店がオープンし、’90年代末頃までは2店舗体制で運営されていたという。こちらは当時の1号店の外観。

今なお続く神保町店のスタートは’90年頃のこと。一号店と今現在の店舗ディスプレイに見られるグリーンのロゴがこの頃にはなく、無垢のままだったことがうかがえる。

当時の写真に画角を合わせ、記念のワンカット。90年代末頃から白山通り沿いに位置するこちらの神保町店に一本化。

アメカジ発祥の地とも言われる上野にもほど近く、かつ明治や専修といった大学生たちの街ならではのB.D.シャツやシェットランドニットといった品のあるアイテムが並ぶ。

こちらも現在の店内を同じ画角でパチリ。今も変わらずアメリカンカジュアルの定番が並ぶ。

入社当初から島倉さんが使い続けるご愛用の名品たち……なんと今も継続展開中!

1980年に設立されたバギーのB.D.シャツをはじめ、メイン州に拠点を置くL.L.ビーンのトート、キング オブ デニムことリーバイス501は、どれも20余年以上の付き合い。しかも全て島倉さんが同店で手に入れたという思い出も一入の私的アーカイブばかり。そしてこれらは今も同店にて展開しているロングラー商品なのだ。

同店ゆかりのメイン州から。

’40年代に開発され、今なおメイン州の自社工場からハンドメイドで全世界に展開されるL.L.ビーンの定番ボート・アンド・トート・バッグ。7452円

もはや説明不要なデニムのシンボル。

リベット補強でワークウエアの新時代を築いた名門リーバイスの代名詞にして全ジーンズの祖501。レギュラーのリジッドはかなり新鮮かも。9180円

至高のオックスフォードを昔ながらの製法で。

かつてブルックス ブラザーズのB.D.シャツを製造していたハワード・グロスマン氏によって設立されたファクトリーブランド、バギーの定番B.D.モデル。各1万260円

アメカジがあの頃と同じように心をつかんで離さないように、同店もまたあの頃と同じように僕らを迎え入れてくれる。大人になったからこそ、あの頃のファッションをもっと楽しく着れるはず。そんなワクワクを感じに出掛けてみてはいかがだろうか。

【DATA】
MAINE
東京都千代田区神田神保町2-48
TEL03-3264-3738
営業/11:00~20:00
休み/なし
https://www.maine1988.com/

▼もっとアメカジの名店が知りたい人はこちら!

日本全国のおすすめアメカジショップ案内。【保存版】

日本全国のおすすめアメカジショップ案内。【保存版】

2022年09月08日

(出典/「Lightning 2019年4月号 Vol.300」)

この記事を書いた人
ADちゃん
この記事を書いた人

ADちゃん

ストリート&ミリタリー系編集者

Lightning本誌ではミリタリー担当として活動中。米空軍のフライトジャケットも大好きだけど、どちらかといえば土臭い米陸軍モノが大好物。そして得意とするミリタリージャンルは、第二次世界大戦から特殊部隊などの現代戦まで幅広く網羅。その流れからミリタリー系のバックパックも好き。まぁとにかく質実剛健なプロダクツが好きな男。【得意分野】ヴィンテージ古着、スケートボード、ミリタリーファッション、サバイバルゲーム
SHARE:

Pick Up おすすめ記事

グラブレザーと、街を歩く。グラブメーカーが作るバッグブランドに注目だ

  • 2025.11.14

野球グローブのOEMメーカーでもあるバッグブランドTRION(トライオン)。グローブづくりで培った革の知見と技術を核に、バッグ業界の常識にとらわれないものづくりを貫く。定番の「PANEL」シリーズは、プロ用グラブの製造過程で生じる、耐久性と柔軟性を兼ね備えたグラブレザーの余り革をアップサイクルし、パ...

「アイヴァン」からニューヨークに実在する通りの名前を冠した新作アイウエアコレクション登場

  • 2025.11.21

ニューヨークに実在する通りの名前を冠した「アイヴァン」の新作コレクション。クラシックな要素をサンプリングしながらも現代の空気感を絶妙に捉え服と同等か、それ以上にスタイルを左右する究極のファッショナブルアイウエア。 Allen 2023年、NYに誕生した「ビースティ・ボーイズ・スクエア」。その付近で出...

【ORIENTAL×2nd別注】アウトドアの風味漂う万能ローファー登場!

  • 2025.11.14

これまでに、有名ブランドから新進気鋭ブランドまで幅広いコラボレーションアイテムを完全受注生産で世に送り出してきた「2nd別注」。今回もまた、渾身の別注が完成! >>購入はこちらから! 【ORIENTAL×2nd】ラフアウト アルバース 高品質な素材と日本人に合った木型を使用した高品質な革靴を提案する...

上野・アメ横の老舗、中田商店のオリジナル革ジャン「モーガン・メンフィスベル」の凄み。

  • 2025.12.04

ミリタリーの老舗、中田商店が手掛けるオリジナルブランド、「MORGAN MEMPHIS BELLE(モーガン・メンフィスベル)」。その新作の情報が届いたぞ。定番のアメリカ軍のフライトジャケットから、ユーロミリタリーまで、レザーラバー垂涎のモデルをラインナップしているのだ。今回は、そんな新作を見ていこ...

時計とベルト、組み合わせの美学。どんなコンビネーションがカッコいいか紹介します!

  • 2025.11.21

服を着る=装うことにおいて、“何を着るか”も大切だが、それ以上に重要なのが、“どのように着るか”だ。最高級のプロダクトを身につけてもほかとのバランスが悪ければ、それは実に滑稽に映ってしまう。逆に言えば、うまく組み合わせることができれば、単なる足し算ではなく、掛け算となって魅力は倍増する。それは腕時計...

Pick Up おすすめ記事

グラブレザーと、街を歩く。グラブメーカーが作るバッグブランドに注目だ

  • 2025.11.14

野球グローブのOEMメーカーでもあるバッグブランドTRION(トライオン)。グローブづくりで培った革の知見と技術を核に、バッグ業界の常識にとらわれないものづくりを貫く。定番の「PANEL」シリーズは、プロ用グラブの製造過程で生じる、耐久性と柔軟性を兼ね備えたグラブレザーの余り革をアップサイクルし、パ...

着用者にさりげなく“スタイル”をもたらす、“機能美”が凝縮された「アイヴァン 7285」のメガネ

  • 2025.11.21

技巧的かつ理にかなった意匠には、自然とデザインとしての美しさが宿る。「アイヴァン 7285」のアイウエアは、そんな“機能美”が小さな1本に凝縮されており着用者にさりげなくも揺るぎのないスタイルをもたらす。 “着るメガネ”の真骨頂はアイヴァン 7285の機能に宿る シンプリシティのなかに宿るディテール...

今こそマスターすべきは“重ねる”技! 「ライディングハイ」が提案するレイヤードスタイル

  • 2025.11.16

「神は細部に宿る」。細かい部分にこだわることで全体の完成度が高まるという意の格言である。糸や編み機だけでなく、綿から製作する「ライディングハイ」のプロダクトはまさにそれだ。そして、細部にまで気を配らなければならないのは、モノづくりだけではなく装いにおいても同じ。メガネと帽子を身につけることで顔周りの...

「アイヴァン」からニューヨークに実在する通りの名前を冠した新作アイウエアコレクション登場

  • 2025.11.21

ニューヨークに実在する通りの名前を冠した「アイヴァン」の新作コレクション。クラシックな要素をサンプリングしながらも現代の空気感を絶妙に捉え服と同等か、それ以上にスタイルを左右する究極のファッショナブルアイウエア。 Allen 2023年、NYに誕生した「ビースティ・ボーイズ・スクエア」。その付近で出...

【連載】ビートルズのことを考えない日は一日もなかった

  • 2024.02.05

80年代、私的ビートルズ物語。 ビートルズ研究と収集に勤しむビートルデイズを始めて早44年(Since1980)。 なにをするにもビートルズが基準だった『昭和40年男』編集長のビートルズ史を、 当時の出来事とともに振り返ります。