世界最古の服飾工業パーツ“ファスナー”を使ったアクセサリーに注目!

我々が日常的に使っているメタル製品のひとつ、ファスナー。そのルーツを辿ると、現在目にするようなカタチではなく、なんとも無骨な荒々しいものであった。そんな服飾工業パーツに惚れ込み、それをアクセサリーへと昇華させたブランドを尋ねた。

歴史に埋もれた珍奇な服飾工業パーツに美しさを見た。

インダストリアルといったテイストに注目が集まる昨今のトレンド。しかし歴史に埋もれ世間一般にはあまり知られないインダストリアルプロダクツがある。それはファスナーやボタンなどの服飾工業パーツだ。

知られざる魅力的な服飾工業パーツの世界。ファスナーの誕生は19世紀末の1890年代。ヨーロッパの万博で登場した歴史を持つという

煌びやかな世界であるファッションでも、生地などはデザイナーがゼロから作ったりするが、ファスナーやボタンなどの服飾工業パーツは既存のものが使われることが多いという。なぜ自分たちでそのパーツを作らないのか? そこに疑問を持ち、この世界を開拓していったのが、アンバージェイドの代表、井上氏である。

「アンバージェイド」代表・井上典聖さん|アパレル業界を経てジュエリーの世界に転身。煌びやかなジュエリーより、錆びや傷、凹みなど無骨なものが好み。そのため自身のブランドを「インダストリアルジュエリー」と呼ぶ

「元々服飾関係で働いていたのですがその旧態前なシステムもあり、そして僕自身、ヴィンテージ古着が好きだったこともあり、その世界最古のファスナーのデザインを自分で作りだしたいとの思いから独立。アンバージェイドを立ち上げるに至りました」

井上氏が自身の作品を収納しているサンプルケース。米軍のプラグケースを利用している。アンバージェイドのインダストリアルなデザインが引き立つ見せ方だ。井上氏のファクトリーにはこのような製品が転がっている

そんな稀有なブランドが作り上げるアクセサリーには、男心を惹きつける魅力がある。表面の荒々しさや素材のくすみ、そして工業パーツとは思えない得も言われぬような珍奇なデザイン……。

「この世界に興味を持つほど惹かれていきました。アンバージェイドのアイコンでもある世界最古のファスナー『ザ・オリジナル』はまさにその見本ですね」

M.P.Z. 1万6000円

最古のファスナーのひとつといわれる「メールポーチジッパー」。郵便用の袋に使われていたが、そのサイズは大人の手のひらほど巨大。その形状をペンダントヘッドに落とし込む。素材はシルバー925とブラス(真鍮)だ

The Zip 6万3720円

1890年後半に登場した、ファスナーの起源で最古の形状のひとつと言われる「ザ・オリジナル」。その形状を、シルバー925を使いブレスレットに。伝統工芸士が経年変化に使う灰汁を使い、迫力のあるエイジングを施した。

Quick Release Belt 4万2120円

英国の消防士が使用しているクイックリリースベルト。バックルが開き素早い着脱が可能。そのギミックにインダストリアルデザインを加えて再構築。ベルトに付けられたファスナーの飾りは1つ4000円で追加可能だ。

Hook& Eye 予価7万5600円

O.C.ホワイト社が1920~40年代に生産していた、デスクランプのアーム部分をモチーフにしたカラビナ。ブラスとシルバー925を使い、井上氏自身の手で作られていく。重厚なインダストリアルデザインの見た目通り、重い。

The Zip Pendant 1万6200円

「ザ・オリジナル」と呼ばれるファスナーのエンド部分がモチーフだ。ブラスとシルバー925をレイヤーしたデザインや、シルバーのみを使いくすみ感を全面に出したものなど、様々な表情を持つ。

Time Locker 7万5600円

ハンドメイドで製作されているパドロック(南京錠)もインダストリアル製品のオマージュが落とし込まれている。それは「バルジュー72」という名作クロノグラフのムーブメント形状。分解構造にもなっている。

Change-Button Pendant シルバー1万260円、ブラス4860円

ヴィンテージのカバーオールなどに使われるチェンジボタン。その造形美も井上氏の心に突き刺さる。世界中から集めたチェンジボタンのキャストを取り、ペンダントヘッドとして再構築している。

The Zip Ring 3万2400円

シンボリックな形状の「ザ・オリジナル」のエンド部分のデザインをリングに落とし込んだ逸品。伝統工芸士が使う灰汁と硫黄を使い、独特なくすみを金属表面に落とし込んでいる。なおこの形状はブランドアイコンでもある。

井上氏のファクトリーに飾られるヴィンテージファスナーの額装資料。1905年に開発されたシーキュリティと呼ばれるフック&アイ形式ものから、そのフックが省略された1912年のフックレスNo.1など様々だ

【商品問い合わせ】
HIGH LIGHT
TEL03-3770-5501
http://high-light.jp

※情報は取材当時のものです。現在取り扱っていない場合があります。

(出典/「Lightning 2017年12月号 Vol.284」)

この記事を書いた人
ランボルギーニ三浦
この記事を書いた人

ランボルギーニ三浦

ヴィンテージ古着の目利き

全国的に名を轟かせていた札幌の老舗ヴィンテージショップに就職。29歳で上京。Lightning編集部、兄弟誌・2nd編集部で編集長を務めた後、現在は、Lightning副編集長に。ヴィンテージ、古着の知識はその道のプロに匹敵。最近はヴィンテージのロレックスが最大の関心事で、市場調査も日課のひとつ。ランボルギーニ三浦の由来は、もちろんあの名車。
SHARE:

Pick Up おすすめ記事

革に銀!? カービングに鉱石を使って色彩を与える独自の技「ジ・オーア」の革ジャンとレザーアイテム

  • 2026.03.30

伝統的なレザー装飾技法であるカービングに鉱石を使って色彩を与える、アツレザーワークス独自の技、“The Ore(ジ・オーア)”。技術を磨き上げた匠が生み出す唯一無二のオリジナリティを紐解く。 伝統技法が交差する唯一無二の手仕事。 代官山にあるアトリエを拠点に、クラフトマンの繊細な手仕事が光るレザープ...

こだわりの最上級へ。リングを複数繋いで作られるブレスレットは、究極の贅沢品

  • 2026.03.17

創業から29年にして新たな局面を迎え、“地金から新たな素材を作り出す”という手法に行き着いた「市松」。『自在地金屋 無双』をその名に掲げて作られたブレスレットは、一点一点手作りでサイズのブレが生じるためリミテッドモデルとして製作。放たれるただならぬオーラは、職人の工夫と根気によるものだ。 誠実に地金...

待望のカスタムオーダーが再始動!シルバージュエリーはメイドインジャパンにこだわりたい

  • 2026.04.01

ネイティブスピリットを宿したシルバージュエリーで多くのファンを魅了してきたARIZONA FREEDOM。2026年春夏シーズンより、待望のカスタムオーダーがついに再始動。既存のデザインをベースに組み合わせ次第でこれまでにない自分だけのオリジナルのシルバーを形にできるのが最大の魅力だ。熟練した職人に...

【VAN×2nd別注】スポーティなレタードカーティガンでひと味違うアイビースタイルを。

  • 2026.02.03

これまでに、有名ブランドから新進気鋭ブランドまで幅広いコラボレーションアイテムを完全受注生産で世に送り出してきた「2nd別注」。今回もまた、渾身の別注が完成! >>購入はこちらから! 【VAN×2nd】トラックカーディガン[レタードワッペンセット] 日本にアイビーの礎を築いたブランド、「VAN(ヴァ...

Pick Up おすすめ記事

別荘暮らしには憧れが詰まっている。1500万円以下から手に入るログハウスという選択肢

  • 2026.03.31

いくつになっても秘密基地のような存在にはワクワクさせられる。だからこそ“別荘”という響きに今なお心ときめくのかもしれない。趣味に没頭するのも何かに挑戦するのもいい。家族とまったり過ごすのも悪くない。BESSの家は、いい大人が目論むあれこれを叶える理想の空間だ。 編集部パピー高野が別荘暮らしを体験! ...

理想を詰め込んだ名門・麻布テーラーの至極のブレザースーツ。まさにこれが長く愛用できる“一張羅”だ 

  • 2026.03.16

チープシックとは、ただお金をかけずにファッションを楽しむことではない。自分にとっての“一張羅”とも呼べる一着を持ち、長く愛用することこそがその真髄である。理想のデザインを具現化し、身体にも馴染む。パーソナルオーダーの名門・麻布テーラーで“とっておき”を仕立てよう。 麻布テーラーのオーダーメイドでチー...

待望のカスタムオーダーが再始動!シルバージュエリーはメイドインジャパンにこだわりたい

  • 2026.04.01

ネイティブスピリットを宿したシルバージュエリーで多くのファンを魅了してきたARIZONA FREEDOM。2026年春夏シーズンより、待望のカスタムオーダーがついに再始動。既存のデザインをベースに組み合わせ次第でこれまでにない自分だけのオリジナルのシルバーを形にできるのが最大の魅力だ。熟練した職人に...

【Tricker’s × 2nd別注】英国の伝統と歴史が宿る質実剛健なカントリーブーツをネイビーで

  • 2026.03.18

これまでに、有名ブランドから新進気鋭ブランドまで幅広いコラボレーションアイテムを完全受注生産で世に送り出してきた「2nd別注」。今回もまた、渾身の別注が完成! >>購入はこちらから! 革靴の名門「トリッカーズ」とのコラボが実現。ストウ ネイビーカーフ 革靴の聖地として名高い英国・ノーサンプトンにて1...

今季のテーマは“Preppy in the Sun”! 春の到来にピッタリな「ゴールデンベア」のラインナップを紹介

  • 2026.03.18

デイリーなアメリカンカジュアルウエアを得意とする「ゴールデンベア」。“Preppy in the Sun”をテーマに掲げる今季のコレクションでは爽やかな風吹く春の到来を告げる、涼しげなラインナップを展開する。 フレンチリネンの着心地とオレンジが活きる春 主役は淡いオレンジのシャツ。フレンチリネンを1...