ダートトラックで世界の頂点を目指す男・大森雅俊選手に注目!

アメリカで発祥し、未舗装のオーバルコースを周回して速さを競うシンプルかつエキサイティングなモーターサイクルスポーツ、ダートトラック。土煙を上げ、猛スピードでリアタイヤを滑らせながらコーナーを曲がるその姿は、観る者を熱狂させる。そんなダートラックに魅せられ、世界のトップを目指すひとりの日本人がいる。ダートトラックライダー、大森雅俊。今季、初めて開催されるFIMダートトラック世界選手権へのキップを手にし、虎視眈々とチャンピオンを狙う大森選手に、その熱き想いを伺った。

FIM初のダートトラック世界選手権に参戦!

ダートトラックライダー 大森雅俊さん|1989年茨城県出身。14歳からダートトラックを初め、18歳 から海外レースに参戦。そのテクニックが評価され、AMA・ FIMのナショナルゼッケンを持つ唯一の日本人ダートトラックライダー。今年、FIMダートトラック世界選手権に、スペインのホンダワークスチームよりフル参戦する ※AMA=全米モーターサイクル協会 FIM=国際モーターサイクリズム連盟

この日は大森さんの練習日。埼玉県川越の入間川の河川敷にあるオフロードビレッジにお邪魔し、練習の合間をみて話を伺う。

「昔は、練習というとがむしゃらに走っていたんですが、今はもっと考えるようになりました。走って、『もっとこうすればよかった』『こうできたんじゃないか』というような課題を持ち帰り、考えるんです」

前日に雨も上がり、この日は快晴。路面状況をチェックしながら、自らの課題を課して走り込んでいくという大森さん。ただいまオイルを抜いている最中。2時間に1回はオイルを交換するとか

大森選手が操るマシンは、練習機とはいえコンペティションモデル。ハイパフォーマンスを紡ぎ出す反面、エンジンの寿命も短いため、練習も、走行時間や距離ではなく、当然「内容」を求めるものとなる。「毎日ステップアップできなければ、バイクをやめる」。大森さんは、若かりし日に、自らそう誓ったという。その覚悟が、いまでも体に染みつき、練習にも現れている。

本誌でもお馴染みファーストアローズの伊藤一也さんと大森さんは、共にこのコースでダートを練習するレース仲間。この日もマシンや世界戦の話で盛り上がっていた

大森さんがダートトラックを始めたのは14歳の時。友人の兄がもてぎでダートをやっており、練習に誘われたのだ。これが、大森さんの人生の転機となる。バイクを操る難しさ、疾走する気持ちよさ、ドリフトしてゆくカッコよさ、焼けるオイルの匂い……そのすべてに魅了された大森少年は、この日よりバイク漬けの日々を送ることとなる。とはいえまだ14歳。金もなく、親の援助も得られない。放課後はバイク店に行き、手伝いをさせてもらった。

練習前のマシンチェックに余念がない大森さん。ちなみにこのマシンは、現在売り出し中(ページ下参照)

「あの頃は何もなかったですね。バイクを手に入れても、パーツもないし、壊れれば自分で直すしかない。すべて独学ですよ。ある日タイヤが欲しくて、専門ショップに廃タイヤをもらいに行ったんです。でもくれない。粘ってたら、『目をつむってるから持ってけ』って(笑)。燃料は家のクルマから抜いてました」

当時から、とにかく負けるのが嫌いだった。小学生のライダーに負けたこともある。負けた時はいつも、その理由を自分に問い続けた。いつしか、大森さんの生活は、バイクしかなくなっていた。

「もてぎの全日本に出場するようになり、『とにかく俺はバイクで稼いでいく』と決めました。友人と遊んだり、彼女を作るような“青春”をしている暇はなかったですね」

夢は「世界で一番速いライダーになること」という大森選手。ドイツ、イタリア、フランス、チェコの世界選手権全4戦をどう走るか、今から楽しみだ

その時に自らを奮い立たせるために誓ったのが、前述の覚悟なのだ。17歳で渡米し、AMAのチャンピオンシップに出場、その後FIMに呼ばれ、世界ランキング6位となる。「すべての階段を着実に昇ってきた自負がある」という大森さんの次なるステップが、今年開催されるFIM初のダートトラック世界選手権。昨年12月にチームから声がかかり、スペインのホンダワークスチーム「HONDA ART BOX TEAM」から参戦することが決まった。

「ダートトラックには、スピードや駆け引き、マシンコントロールなど、すべての二輪競技の魅力が詰まっています。リアを滑らせてドリフトして抜いていく迫力と派手さが、ダートトラックの面白さです」

6月のドイツを皮切りに始まる世界選手権。表彰台の最も高い場所に初めて日本人が立つ日も近い。

大森さんやファーストアローズ伊藤さんが練習を行うのは、 埼玉県川越にある「オフロードビレッジ」(http://www.w estpoint.co.jp/offroadvilla ge/

これが大森選手の練習マシンだ!

この日、大森選手が練習に使用していたマシンがこちら。排気量は450cc、タイヤは前後19インチに換装(純正はフロント21インチ、リア19インチ)。フロントブレーキとフェンダーが付いていないのがダートマシンの特徴だ。ステアリングステムでフロントフォークの寝かし具合なども調整可能。ホイールリムを半分だけオレンジにペイントしているのも◎。

ドミノのハイスロットルキットを装着し、ハンドルもドミノ。絶妙な高さで気に入っているのだとか
ダートトラックの必需品、ホットシュー。レーシングブーツに合わせて作られるステンレス製のスリッパ。別名「鉄スリッパ」とも

大森選手の“チャンピオンマシン”SUZUKI RMZ450がFor Sale 中!

大森選手がレースで実際に使っていたマシン、SUZUKI RMZ450が、なんと購入できる! これは、大森選手がFEVHOTS(Far East Vintage Hotshoe Series)でチャンピオンになった時に乗っていた紛れもない「チャンピオンマシン」。各部に手が加えられた、まさに“戦うバイク”なのだ。価格は80万円(税別)。下で紹介する大森選手応援サイトでゲットできるぞ!

目指せ日本人初のチャンピオン!みんなで大森選手を応援しよう!大森雅俊選手応援購入サイト、オープン!

今年開催される、FIM初のダートトラック世界選手権に、スペインのホンダワークスチームからフル参戦しチャンピオンを目指す大森選手。そんな彼の“夢” を、一緒に応援するプロジェクトが発足した。数量限定の応援グッズや、大森雅俊モデルのスペシャルグッズなど、ここでしか手に入らないアイテムをゲットして、大森選手を応援しよう! お馴染みファーストアローズの“大森スペシャル” や、人気漫画『キリン』の作者・東本昌平先生のオリジナルイラスト、上で紹介したレース仕様車両など、激レアアイテムが盛りだくさん。これにより集まった資金は、すべて世界戦全4戦でのレース参戦費用に充てられる。応援したい人は、下記QRコードを読み取ってサイトに飛ぶべし!

FIRST ARROW’ s の大森選手応援アイテムに注目!

1.大森選手のゼッケン“70” を唐草模様で彫り込んだチャーム付きのチェーン(50㎝)2万5000円×10 / 2. “70” を唐草模様で彫り込んだチャームトップ1万円×20/ 3. “70” を象ったイーグルのハートフェザー付きフェザーペンダントトップ3万円×10 / 4. “70” を象ったイーグルのハートフェザーペンダントトップ8000円×20 / 5.すべてセットにした大森70スペシャルネックレス10万円×1セット

※QR コード以外でサイトを確認する場合は、応援購入サイト「マクアケ(http://www.makuake.com/)」の検索から“大森雅俊” とご入力ください。
※プロジェクトの実施期間は〜6月10日までとなります。

(出典/「Lightning 2020年5月号 Vol.313」)