公道を走れるオープンホイールのスポーツカー「Birkin 7 バーキン・セブン」。

ドライビングプレジャーを追求した走りを楽しめるのがスポーツカー。その楽しみをさらに追求した一台として人気をほこるのが「セブン」である。『フルカウント』代表の辻田氏を虜にした、公道を走れるオープンホイールレーサーに迫る。

『フルカウント』代表の辻田氏が語る「セブン」の魅力とは?

【1996 Birkin 7】/『フルカウント』代表・辻田幹晴さん。ジャパンデニムシーンを代表する、デニムブランドのパイオニアのひとつとして、世界中から支持されている「フルカウント」の主宰。若きころから数々の外車を乗り継ぎ、今年念願であった「セブン」を購入し、運転の楽しさを日々体感中

かつて英国のロータス・カーズが生産・販売していた「セブン」は、公道を走れるオープンホイールのスポーツカー。『フルカウント』代表の辻田氏が現在の愛車として選んだモデルは、ロータス・セブンの意匠を受け継ぐ南アメリカのバーキン社が生産した『バーキン・セブン』だ。

足元は暖房が効くので暖かいけれど、上半身の防寒は必要と辻田氏。天候のことも考えながら乗るのもまた一興と思える魅力が「セブン」にある

軽量なボディと、小排気量ながら小気味よく回るエンジンの組み合わせは異次元の走りを実現しており、「ハンドルを握るのが楽しい」と辻田氏は語る。

「カーナビもETCも、エアコンもカーステレオもない。キャブ車だから普段からの調子を気にかけなければならないし、けっして快適とはいえないですが、それを忘れるぐらい運転の楽しさが味わえるクルマです。若い頃から外車が好きでいろいろと乗り継いできたのですが、だんだんと快適なクルマばかりになっていたので、このバーキン・セブンは逆に新鮮。これを普段の足にしようと思っています。

取材時は納車からまだ3日目と、ほぼカスタムしていない状態であったが、自分仕様への構想にも余念がない様子。

「ナチュラルタンのレザーでシートを張り替えたり、ヘッドライトを小振りなものに変更したりして、自分なりの一台に仕上げていく予定です」

スポーティな走りで、クルマ本来の運転の楽しさ「セブン」とは?

英国のロータス・カーズが生産していたスポーツカー。ロータス以外にも様々なメーカーが生産を担っており、そのうちのひとつがバーキン社。ロータス創業者であるコーリン・チャップマンの妻、ヘーゼル・チャップマンが、コーリン没後に南アフリカで会社を設立し、セブンのシリーズ3の生産を続けている。ゆえにこのセブンは「バーキン・セブン」と呼称される。

シャシーはレーシングカーと同じく鋼管を使ったスペースフレームとなっており、高い剛性を誇る。またフロント320㎏、リア310㎏という、車両重量630㎏という軽量さを実現しており、ライトウエイトスポーツらしい快音を響かせて駆け抜ける走りが魅力だ。

小排気量ながら軽量アルミボディでスパルタンな走行が魅力の希有な車両。

ここからは、「セブン」のスパルタンな走りを生み出す軽量ボディを細かく見ていこう。

エンジン

排気量1600㏄のOHVエンジンを5速マニュアルで思いのままに操ることで、箱車とは一線を画する走りを魅せてくれる。車両重量630㎏という軽量さと相まって、スパルタンな走りを見せる。

マフラー

マフラー部分は純正マフラーからオリジナルデザインのマフラーへと換装されている。スタイリッシュな見た目と、野太いアイドリング音と軽やかに吹け上がるエンジン音が魅力だ。

エンブレム

ノーズコーンにはバーキン・セブンのエンブレムバッジがデザインされている。ブリティッシュレーシンググリーンと呼ばれる独特の色合いは、陶磁器と同じ方法で焼き発色さている。

コクピット

乗り込む際はフォーミュラーマシンのようにハンドルを外して乗り込まなければならないほどタイトなコクピット。最低限の計器類やスイッチ類しかない、シンプルなコンソールも特徴だ。

回転数

納車時にエンジンの回転数をチューニング。前オーナー時は4000回転でシフトチェンジを行う仕様であったが、辻田氏の好みにより、8000回転という高回転領域まで回るエンジンに仕上げた。

シート

フォーミュラーマシンのような細長いコクピットは、体を滑らせながら乗り込まなければならない。現状は純正のレザーシートだが、辻田氏はナチュラルタンレザーでシートを張り替える予定。

真冬に「セブン」に乗るときはどんなファッション?

フルカウントのボアコートは、WW2時代のスウェーデン軍のボアコートがモチーフ。ライニングにはプリマロフトを採用し重厚感のあるデザインと現代の機能性を両立させる。二重構造であるビーチクロスとフェイクファーを組み合わせた保温性抜群の、ブラウンズビーチのフライトキャップはオープンカーなので顔回りの防寒対策は欠かせないのだ。

快適なだけなら燃費もメンテナンスも、乗り心地も良いものがごまんとあるにも関わらず、あえて不便なクルマを選ぶ。そこには、マシンとしてのクルマの面白さを感じる、交通手段として以上の価値がある。そんなクルマ選び、ちょっとあこがれませんか?

(出典/「Lightning 2020年2月号 Vol.310」)

この記事を書いた人
ADちゃん
この記事を書いた人

ADちゃん

ストリート&ミリタリー系編集者

Lightning本誌ではミリタリー担当として活動中。米空軍のフライトジャケットも大好きだけど、どちらかといえば土臭い米陸軍モノが大好物。そして得意とするミリタリージャンルは、第二次世界大戦から特殊部隊などの現代戦まで幅広く網羅。その流れからミリタリー系のバックパックも好き。まぁとにかく質実剛健なプロダクツが好きな男。【得意分野】ヴィンテージ古着、スケートボード、ミリタリーファッション、サバイバルゲーム
SHARE:

Pick Up おすすめ記事

「アイヴァン」からニューヨークに実在する通りの名前を冠した新作アイウエアコレクション登場

  • 2025.11.21

ニューヨークに実在する通りの名前を冠した「アイヴァン」の新作コレクション。クラシックな要素をサンプリングしながらも現代の空気感を絶妙に捉え服と同等か、それ以上にスタイルを左右する究極のファッショナブルアイウエア。 Allen 2023年、NYに誕生した「ビースティ・ボーイズ・スクエア」。その付近で出...

着用者にさりげなく“スタイル”をもたらす、“機能美”が凝縮された「アイヴァン 7285」のメガネ

  • 2025.11.21

技巧的かつ理にかなった意匠には、自然とデザインとしての美しさが宿る。「アイヴァン 7285」のアイウエアは、そんな“機能美”が小さな1本に凝縮されており着用者にさりげなくも揺るぎのないスタイルをもたらす。 “着るメガネ”の真骨頂はアイヴァン 7285の機能に宿る シンプリシティのなかに宿るディテール...

スペイン発のレザーブランドが日本初上陸! 機能性、コスパ、見た目のすべてを兼ね備えた品格漂うレザーバッグに注目だ

  • 2025.11.14

2018年にスペイン南部に位置する自然豊かな都市・ムルシアにて創業した気鋭のレザーブランド「ゾイ エスパーニャ」。彼らの創る上質なレザープロダクトは、スペインらしい軽快さとファクトリーブランドらしい質実剛健を兼ね備えている。 日々の生活に寄り添う確かなる存在感 服好きがバッグに求めるものとは何か。機...

今っぽいチノパンとは? レジェンドスタイリスト近藤昌さんの新旧トラッド考。

  • 2025.11.15

スタイリストとしてはもちろん、ブランド「ツゥールズ」を手がけるなど多方面でご活躍の近藤昌さんがゲストを迎えて対談する短期連載。第三回は吉岡レオさんとともに「今のトラッド」とは何かを考えます。 [caption id="" align="alignnone" width="1000"] スタイリスト・...

この冬買うべきは、主役になるピーコートとアウターの影の立役者インナースウェット、この2つ。

  • 2025.11.15

冬の主役と言えばヘビーアウター。クラシックなピーコートがあればそれだけで様になる。そしてどんなアウターをも引き立ててくれるインナースウェット、これは必需品。この2つさえあれば今年の冬は着回しがずっと楽しく、幅広くなるはずだ。この冬をともに過ごす相棒選びの参考になれば、これ幸い。 「Golden Be...

Pick Up おすすめ記事

今っぽいチノパンとは? レジェンドスタイリスト近藤昌さんの新旧トラッド考。

  • 2025.11.15

スタイリストとしてはもちろん、ブランド「ツゥールズ」を手がけるなど多方面でご活躍の近藤昌さんがゲストを迎えて対談する短期連載。第三回は吉岡レオさんとともに「今のトラッド」とは何かを考えます。 [caption id="" align="alignnone" width="1000"] スタイリスト・...

【ORIENTAL×2nd別注】アウトドアの風味漂う万能ローファー登場!

  • 2025.11.14

これまでに、有名ブランドから新進気鋭ブランドまで幅広いコラボレーションアイテムを完全受注生産で世に送り出してきた「2nd別注」。今回もまた、渾身の別注が完成! >>購入はこちらから! 【ORIENTAL×2nd】ラフアウト アルバース 高品質な素材と日本人に合った木型を使用した高品質な革靴を提案する...

時計とベルト、組み合わせの美学。どんなコンビネーションがカッコいいか紹介します!

  • 2025.11.21

服を着る=装うことにおいて、“何を着るか”も大切だが、それ以上に重要なのが、“どのように着るか”だ。最高級のプロダクトを身につけてもほかとのバランスが悪ければ、それは実に滑稽に映ってしまう。逆に言えば、うまく組み合わせることができれば、単なる足し算ではなく、掛け算となって魅力は倍増する。それは腕時計...

今こそマスターすべきは“重ねる”技! 「ライディングハイ」が提案するレイヤードスタイル

  • 2025.11.16

「神は細部に宿る」。細かい部分にこだわることで全体の完成度が高まるという意の格言である。糸や編み機だけでなく、綿から製作する「ライディングハイ」のプロダクトはまさにそれだ。そして、細部にまで気を配らなければならないのは、モノづくりだけではなく装いにおいても同じ。メガネと帽子を身につけることで顔周りの...

スペイン発のレザーブランドが日本初上陸! 機能性、コスパ、見た目のすべてを兼ね備えた品格漂うレザーバッグに注目だ

  • 2025.11.14

2018年にスペイン南部に位置する自然豊かな都市・ムルシアにて創業した気鋭のレザーブランド「ゾイ エスパーニャ」。彼らの創る上質なレザープロダクトは、スペインらしい軽快さとファクトリーブランドらしい質実剛健を兼ね備えている。 日々の生活に寄り添う確かなる存在感 服好きがバッグに求めるものとは何か。機...