「W100 Y-TIP」はホワイツブーツが認めた日本人によるフルハンドの“ジャパンメイド”ブーツ!

一世紀以上に渡り、世界最高峰のワークブーツを作り続けるホワイツ。その高い耐久性や品質、美しさは、確かな腕を持つクラフトマンたちによって生み出されている。その確かなモノづくりの中で、一人の日本人の職人によって作られるブーツがある。上質に辿り着きたい人に相応しい、手間とコストを掛けた極上の履き心地を追求した一足に刮目せよ!

【W100 Y-TIP(ダブル100 ワイチップ)】

W100 Y-TIP BLACK CX 14万8500円

ホワイツと言えば「ハンドソーンウェルテッド製法」。これは職人が一針一針手縫いによりウェルト(押縁)を縫い付ける手法のこと。完成するまでに非常に時間がかかり、職人の技術の高さが必要とされる。その反面、耐久性が高く、フィッティングしやすく、足当たりがソフトなので履き心地の良さが味わえる。その製法をさらに掘り下げ、一人の職人が編み出した独自のフルハンドによるテクニックを落とし込み作られるのが、このジャパンメイドのホワイツブーツだ。

ウェルト、レザーミッドソール、ラバーアウトソールを縫い付ける出し縫いは、独自の手縫いによる製法で行われている。誰もが不可能だと思った技法を実現した。

アッパーはクロムエクセルレザーを使用。茶芯が浮き出るよう経年加工が施されている。また、つま先にデザインされたスキンステッチもすべて手縫いだ。

 W100 Y-TIP TIMBER 14万8500円

ブラック、ブラウンのほかバーガンディもあり、カラーバリエーションは全3色展開。

一ヵ月で10足未満の極少生産には訳がある! 超絶技巧のハンドソーンウェルテッド製法。

米国ワシントン州スポケーンにあるホワイツのファクトリーにて修行した日本人の職人が、確かな継承技術と独創的な想像力を武器にこの“ジャパンメイド”のホワイツブーツを生み出した。「WHITE’S BOOTMAKER」の新城将也さんだ。手作業による物作りの奥深さや大切さを継承し、本場で学んだ靴作りの技以外の技術も我流で習得。その確かな靴作りが本国に認められ、ジャパンメイドのホワイツブーツを誕生の立役者となったのだ。

では、そんな多大な労力で作られるホワイツの“ジャパンメイド”ブーツの、気になる工程を追ってみよう。

1.チャネル起こし

足を通した際の履き心地や、靴の丈夫さに直結するチャネル起こし。これはハンドソーンウェルテッドを行うにあたり、ウェルト、アッパー、先芯、ライニングを中底に縫い付け、一体化させる為に必要な溝の事。この工程も手作業で象っていく。

また靴の土踏まず部分を極限まで絞り込むベヴェルドウエストとなっており、ビスポークの技法も取り入れている。見た目が引き締まり履き心地も向上する。

チャネル起こし後の中底は、ラスト(木型)に馴染ませるためゴムバンドで固定し一日寝かせる。

2.ハンドソーンウェルテッド

ウェルト、アッパー、先芯、ライニングを中底に縫い付け、一体化させる工程も、その名の通り一針一針丁寧に手縫いをしていく。また靴の先端はステッチが革に食い込むのを防ぐため、別糸を絡ませている。近代的なグッドイヤーウェルト製法に比べ、各段に手間が掛かる作業である。

3.ハンドソーイングアウトソール

ウェルト、中板、本底を手縫いで出しをかけていく。本底はゴム素材のため針を通すための穴を開けても収縮するので、糸を通す作業は困難を極める。その為、穴を開けるオールや手縫い針も自身で加工し自作した物を使用。その工夫によって本底ごと手縫いが可能となり、美しいステッチラインを実現。

4.接地面を考えたヒールベースの装着

ヒールベースの装着は、歩いた際の履き心地に影響するので手が抜けない工程。その為、サイズごとにヒールベースの適正位置が決められており、接地面のバランスを考慮。装着する前に仮置きを何度も行い、前後の接地面や捻じれ、踵の浮きを調整し歩行しやすいベストなバランスに形成する。

5.ヒールベースとコバ(本底縁)の磨き

本底全体の成型後に行われる磨きの作業。革表面の傷を無くし光沢が出るまで磨き上げていく。まず大まかに木ヤスリで表面を整えた後、ガラスで銀面を剥ぐ「スカウリング」と呼ばれる昔ながらの工程を行う。

最後にサンドペーパーで表面を平たんに仕上げていくことで輝く艶が生まれる。

6.ヒールベースとコバ(本底縁)のコテ当て

磨き作業の後、ステイン(コバインク)を染み込ませ、その上からワックスを塗り込み、熱したコテを当てていく。この工程を行うことで革の目を潰し、色落ちと革を重ねた部分の隙間が開くのを防いでいる。また本底の土踏まず部分には飾りゴテで装飾を施す。これはレザークラフトの応用だ。

7.革表面だけを掬い縫いするスキンステッチ

究極の手縫いと呼ばれる“スキンステッチ”。これは革裏まで糸を貫通させず、革の内部のみを縫い通す縫製技術で、革の表面上にあばら状の模様を浮きださせ、美しい立体感を与える装飾である。

これは手縫いでなければ出せない、独特の雰囲気が魅力といえよう。

ブーツメイキングに掛ける情熱が生んだ、100 WHITE’S BOOTS MFG.誕生秘話。

左/ WHITE’S PRESIDENT Eric Kinneyさん 右/WHITE’S BOOTMAKER 新城将也さん  ジャパンメイドブーツを仕立てる職人である新城さんと、ホワイ ツの代表を務めるエリックさん。エリックさんは新城さんに靴作りを教え込んだ師匠である。ジャパンメイドブーツの完成を祝い来日した際の写真

本来USAメイドであるホワイツのブーツに、なぜ“ジャパンメイド”のブーツが登場したのか? 端的に言えばその品質が本国に認められたからだ。そこには一人の日本人ブーツメーカー(靴職人)が習得した、高い技術力があった。

「一番大事にしていることは、『こだわり』ではなく、『工夫』です」とブーツメーカーの新城さんは語る。その工夫にはホワイツを履く人々に、より良い履き心地を提供したいという思いがある。こだわりだけに特化してしまうとそれは単なる自己満足に終わる。だからホワイツで修行したハンドソーンウェルテッド製法の技術に、より上質な履き心地を提供するために手間のかかる我流で身に着けた技を組み合わせ、ジャパンメイドブーツを生み出した。

製作に使う道具の中には、 緻密に作り上げるため自作したものや、師匠であるエリックさんから受け継いだものもある

「この一足を仕立てるのに膨大な時間を費やしているが、ひとつひとつしっかりと作り上げる工程を見てもらえれば納得してもらえると思う」とエリックさん。ブランドの代表となる以前は、No.1ブーツメーカーとしてホワイツの靴作りを牽引。そんな彼が、新城さんが持つブーツメーカーとしての素質を見抜き、師匠としてホワイツが守り続けたブーツメーカーの技術を伝承し、育て上げたのだ。

手作業で緻密に作り上げる 新城さんの職人技が活きる ジャパンメイドブーツ。その 品質の高さはエリックさんも 一目置く

この“100 WHITE’S BOOTS MFG.”と命名されたジャパンメイドブーツは、ホワイツが培ってきた100年以上の歴史に裏付けられたイマジネーションも込められている。言うなればブランドの理念というべきハンドソーンウェルテッド製法が確立される以前の、よりプリミティブな手仕事への原点回帰。細部まで職人の手仕事によって緻密に作ることで、ホワイツが継承してきた極上の履き心地を、より高みへと昇華させている。

◆

ホワイツが創業当時から守り続けているハンドソーンウェルテッド製法は、手間とコストを掛けてでもよい履き心地を提供し続けたいというブランドの理念。その精神を受け継ぎ、さらに履き心地を高めるため、あえて我流という手法を選び誕生したジャパンメイドで作られたブーツ。その為、1カ月で10足未満の極小生産となっている。しかしながら緻密に完成された一足は、上質に辿り着きたい人には相応しい一足となるだろう。超絶技巧の上で完成する、手作りならではの上質感を堪能せよ。

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2022年12月12日

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(出典/「Lightning 2021年2月号」)

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ADちゃん
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ADちゃん

ストリート&ミリタリー系編集者

Lightning本誌ではミリタリー担当として活動中。米空軍のフライトジャケットも大好きだけど、どちらかといえば土臭い米陸軍モノが大好物。そして得意とするミリタリージャンルは、第二次世界大戦から特殊部隊などの現代戦まで幅広く網羅。その流れからミリタリー系のバックパックも好き。まぁとにかく質実剛健なプロダクツが好きな男。【得意分野】ヴィンテージ古着、スケートボード、ミリタリーファッション、サバイバルゲーム
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