プリントの意味を知らずに着ていない? 正しいプリントTシャツの選び方。

今年の夏は’90年代リバイバルブームを反映してプリントTシャツが熱い! 白Tがシンプルで洒落ているという意見も否定はしないが、白Tの代名詞であるジェームズ・ディーンも吉田栄作もイケメンだ。イケメンこそ白Tが似合うのであって、それ以外ならあえて白Tで勝負する必要なんてない。だからといって、無知識でプリントTに手を出すのもナンセンス。うんちくを語れずして、プリントTを着ることこそ最もダサいだろう。歴史や種類を押さえて、失敗しないプリントTシャツ選びをさあ、実践!

STEP_1 グラフィックTシャツの変遷で選ぶ。

プリントTシャツを選ぶなら、時代による特徴を抑えるのが先決。旧いTシャツはシンプルなデザインで単色プリントのものが多いが、時代が進むにつれてプリント技術の発展と共にどんどん表現の幅が増えていき、その時代の世相や流行を反映したグラフィックが続々と登場していく。時代背景から選んでみるのも一興。

~1950s

Tシャツを一枚で着るという文化は戦後に誕生。後に大学や軍が運動着として貸し出すための管理用として学校名や基地名、番号などを施したものがプリントTの起源となる。

1960s

アイビーファッションの影響もあり、通称ナンバリングTと呼ばれるデザインが人気を博した’60年代。海軍を起源とするリバーシブルTシャツもこの時代から多くなる。

1970s

フォトプリントや転写シートなどプリント技術の発達により、表現の幅が広がった’70年代。そのため企業ロゴをあしらった総柄ものなど、宣伝媒体の役割も担っていった。

1980s

’70年代後半から作られたロックTは’80年代に全盛を迎える。またハーレーTなどバイク系プリントも多く、当時人気のカルチャーは、Tシャツのプリントに直結していた。

1990s

これを読んでいる方々の中には、リアルタイムで着ていたであろうプリントも存在する’90年代。NBA人気によるバスケチームのグラフィックや、アート性の高いプリントも多く存在する。

STEP_2 プリント技法の種類で選ぶ。

お次は、プリント技法の代表的な種類を掘り下げてみよう。プリントTシャツが生まれる前はフェルトなどを使って文字を表現していたが、後にフロッキープリントなどの技法が誕生して以来、様々なプリントが開発されていった。プリント技術の違いからプリントTシャツを選んでみるのもなかなか面白い。

①ウールフェルト

プリントの起源となるのがウールフェルト。スポーツウェアの背番号や大学の体育の授業で貸し出すための管理番号として採用されていた。Tシャツに番号をレタリングするというアメリカならではの発想がなければ、今日の豊富なプリントは生まれなかったかもしれない。

②フロッキープリント

フェルトは一文字ずつ切り抜いて縫製するため、大量生産には向かない。そこでフェルトの質感に似せたフロッキープリントが台頭する。生地に接着剤を塗り毛羽(フロック)を静電気で接着する電着加工や、さらに簡単なシートタイプも誕生した。

③ペンキプリント

ペンキ塗料を使ったプリント。メリットはデザインをはっきりと表現できる点。ただし細かなデザインには向かず、経年変化によるひび割れや剥離も起きるデメリット(アジとも言う)を持つ。

④油性ラバープリント

ペンキプリントのデメリットを解消するべく’70年代頃に誕生した油性ラバープリント。細かいデザインにも対応し、伸縮性があるため剥がれにくいのが特徴。

⑤水性染み込みプリント

ペンキやラバープリントとは異なり、生地にインクを染み込ませるプリント技法。雰囲気はいいが、多色使いや細かいデザインなどには向かないというデメリットもある。

⑥油性顔料プリント

最も一般的なプリントである油性顔料を使った技法。多色使いや細かなデザインにも対応する万能な技法。企業のロゴTやロックTなど多くのグラフィックで使われる。

STEP_3 代表的なグラフィックの種類で選ぶ。

最後はヴィンテージTシャツの代表的なモチーフを紹介する。企業の宣伝用Tシャツや大学、軍隊のもの、キャラクターなど多岐にわたる種類があり、着るだけでなくコレクターアイテムとしても成熟したカルチャーであることがわかるだろう。グアムで行われている早朝マラソンでも、ゴールになっているマクドナルドの限定Tシャツを参加賞として配布していたことからも、アメリカにおけるグラフィックTシャツはノベルティの代名詞でもあり、無料で、限定的に配られる機会も多く、収集心を刺激するモノなのだ。

アドバタイジング

企業の宣伝用として作られたTシャツ。目的はロゴTと似ているが広告デザインとしてグラフィックが凝っているものが多い。

ナンバリング

アイビーファッションではおなじみのナンバリング。数字のみで構成されるレタリングは、まさにアメリカならではの発想。

カレッジ

大学などの学校名をプリントしたもの。体育の授業で貸し出すために使われたのが始まり。現在でも大学の生協で販売されている。

ミリタリー

軍の基地名や部隊名などが施されたTシャツ。士官学校のプリントはある意味ミリタリーでもありカレッジでもある。

ロゴ

企業ロゴだけをプリントしたものを指す。シンプルなデザインだけに宣伝効果も抜群。スポーツブランドなどに多く見られる。

ロック

アーティストのライブ会場などで販売されるロックT。人気アーティストの場合は高額で取引される。バンドTとも呼ばれる。

ハーレー

’80年代前後に台頭し始めたハーレーT(バイクT)。ハーレーのディーラーごとにデザインされたものが多く、デザインも様々。

イベント

写真は話題のLIVE AIDだが、音楽だけでなく様々なイベントを記念して作られたものを指す。

フォト

その名の通り写真を忠実にプリントしいたもの。印刷技術の向上により発展により’70年代に誕生。転写シートを使ったタイプも存在する。

だまし絵

まるで別の服を着ているようなプリントが施されたTシャツ。タキシードやマッチョボディなどユニークなアイデアばかり。

キャラ

コミックなどの人気キャラクターが描かれたもの。ミッキーマウスやスヌーピーなどはヴィンテージ市場では人気のプリント。

総柄

生地の全面にプリントが施されたデザインを指す。’70年代には企業ロゴが多いが、柄やフォトプリントなど種類も豊富。

メッセージ

その名の通り文章で構成されたプリント。背面にプリントされることも多く、中には強烈なメッセージや笑える文章も多い。

選挙

アメリカ大統領の候補選で配られる選挙Tシャツ。応援する大統領候補のプリントを着るというのがいかにもアメリカらしい。

「ヴィンテージTシャツ」を買う前に読むべき一冊。

さて、ヴィンテージTシャツの基本がわかったところで、早速店に向かうのもいいが、さらに細分化されたグラフィックデザインの種類や魅力を知っておいたほうが、探す楽しみも増すもの。その名も『ヴィンテージTシャツ(小社刊)』には、1930~’90年代のTシャツばかりを集めて収録。プリントが物語る各時代の世相と共に、アメリカのグラフィックの変遷も追ってみてはいかがだろうか。

(出典/「Lightning 2019年8月号」)

この記事を書いた人
サカサモト
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サカサモト

アメカジ系動画ディレクター

Lightning、2nd、CLUTCH Magazineの公式YouTubeチャンネル「CLUTCHMAN TV」のディレクター。元Lightning副編集長ということもあり、クルマ、バイク、ミリタリーなど幅広い分野に精通。現在はもっぱら動画作成機材に夢中。ニックネームは、スキンヘッドにヒゲ面をいう「逆さ絵」のような顔に由来する。
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