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iOS 26、iPadOS 26、macOS 26 Tahoe……流れるように美しいアップルの新OSは使いやすいのか?

この秋発表のiPhoneやiPad、Macに搭載されるiOS 26、iPadOS 26、macOS 26 Tahoeなど、『26』世代の新OSは、『Liquid Glass』という透明感があり流れるように美しいインターフェイスを持っている。先んじて、パブリックベータバージョンをそれぞれ1カ月半ほど使ってみたが、美しい表現には気持ちよさを感じるし、Liquid Glassならではの表現には使いやすさもある。しかし、アップデート時には、変更の大きさに、多くを占める一般ユーザーからは「使いにくい!」との声も上がるだろう。おそらくアップルも承知の上だと思うが、それでもアップルがこの変更を断行した背景を解説しよう。

正式公開は、おそらくまずはiPhone 17シリーズ発売の1週間ほど前にiOS 26が発表され、その後、新製品の発売とともに、watchOS 26、iPadOS 26、macOS 26 Tahoeが発表されていくスケジュールになるはず。本記事の執筆はパブリックベータ版に基づいているが、一般にはパブリックベータを試用しての感想は、利用規約で禁じられている。本記事は、特別な許可を得た上で執筆している。

バージョンの名前が、西暦の下2桁に

変更点は枚挙にいとまがないが、まず名称が変わったことを説明しておこう。

前OSは、iOS 18、iPadOS 18、macOS 15 Sequoiaと、バージョン番号がチグハグで、さらにiPhone 16などのiPhoneの名称の番号や、A18 Proなど、チップセットの番号ともズレており、非常に煩雑だった。

今回、(ほぼ)全OSでインターフェイスを共通化するにあたり、西暦下2桁を名称に付することになった。つまり、今回は26というわけである。

もしかしたら、iPhoneの名称もiPhone 26シリーズとしたり、チップセットも A26という具合に統一を図るのかもしれない(日本時間の今夜、深夜に答え合わせができるはずだ) 。

しばらく戸惑いはあるだろうが、最終的には分かりやすいと感じる変更だ。

『ぷよん』とした水まんじゅうのような心地よさ

Liquid Glassという新インターフェースは驚くほど美しい。

記事の画面キャプチャを見ると、各インターフェイスが透明になって、背景を反映することで、より複雑化し、見づらいように見えるかもしれないが、実際のところインターフェイスは厚みのあるガラスのしずくのように、背景を屈折、反射し、目まぐるしく色を変えるので、動かしてみるとインターフェイスは浮き立って見える。

結果として、従来より多くの情報が見えるのが、利用する上でのメリット。たとえば、写真.appであればインターフェイスを透かして画面全体に写真を広げることができるし、ミュージック.appなどでも同様だ。

右が、iOS 26。より隅々まで写真を表示することができ、広がりを感じる。

これが意図された最大のメリットだろう。

これは、空間コンピューティングを標榜するvisionOSにヒントを得たもので、透明感による奥行き表現をもって、多層的なインターフェイスを実現しているわけだ。

もちろん、これまでの多くのOSが『透明感』の表現にチャレンジしてきたわけだが、アップルはApple Siliconの卓越したGPU性能を活かして、複雑な『屈折、反射』を反映することで、情報の多層化と、見やすさを両立させている。

ぷよんと、実に動きが魅力的なのだ。静止画で見るのとはだいぶ印象が違うので、ぜひ、実際に触って体験して欲しい部分だ。

ちなみに、実はvisionOS 26にはLiquid Glassは採用されていない。visionOSはLiquid Glassの発想のヒントにはなっているのだが、visionOS 26には背景の屈折表現などは使われていないということだ。おそらくvisionOSにはまだ他の開発要件が山積みで、そこに対応するより優先することがあるのではないかと思う。また、演算能力を使うLiquid Glassを3D空間内で表現するには、マシン性能のさらなるパワーアップが必要なのかもしれない。

ホーム画面のカスタマイズは楽しい

Liquid Glass表現は、iOS 26で一番顕著に感じられる。

それは、『狭いディスプレイを可能な限り活用したい』『iPhone自体を一枚のガラスの板のように見せたい』という意図から、iOS 26で一番積極的に使われているためだろう。

また、iOS 26とiPadOS 26はダークモードの他に、『クリア』というアイコンすべてを透明にする機能、『色合い調整』というその透明のアイコンに好きな色を混ぜてソーダ水のように色のついた透明表現を選ぶこともできる。

当然のことながらアイコンの視認性は低下する。吹き出しが描かれていたとして、それが純正のメッセージ.appなのか、LINEなのか、Facebook Messengerなのか、mixiなのかは判別しにくい。他にもEvernoteや、PayPay、Slackなど特定の色、または色の組み合わせがアプリやブランドを想起させるものは多いが、それらがすべて透明になってしまうと、戸惑うに決まっている。

しかし、『クリア』と『色合い調整』にはその使いづらさを上回る気持ちよさがある。いつも手元にあるiPhoneが涼しげな物体になるのは非常に楽しいので、見た目を気にする若い世代などにも人気を博すのではないかと思う。実は、筆者もアプリ名を消して、アイコンを透明にして使い続けてしまっている。アプリは置いてある位置で記憶しているから、案外困らないものだ。

その他、フォルダを開いた時や、ダッシュボードを開いた時など、すべて透明感をもって表現されるので、iPhoneの操作自体が楽しいものになる。

マルチウインドウ採用は、iPadの利用価値を高める

iPadOS 26で衝撃的なのは、これまでかたくなに否定していたウインドウ表現が可能になったことだ。

iPad Pro 13インチや、外付けディスプレイの利用など大画面を利用するシーンでは便利に違いない。ただし、macOSより角Rやインターフェイスに取られる面積が大きいので、マルチウインドウのメリットはまだ限定的ではある。あまりたくさんのウインドウを表示しても見やすくはない。

そのあたりの表現の違いも『指で操作する』ことを前提としているiPadらしさは残っており、Macを使い慣れているせいか、Split ViewやSlide Over、ステージマネージャーなどよりは使いやすく感じる。今のところ、設定でそれらを選択できるようになっているが、ずっとこのまま選択可能なのだろうか? 気になるところだ。

いずれにして、複数のアプリを好きなサイズで開きながら操作できるのはとても心地よい。どうしてもインターフェイスに多少の面倒さがあったSplit ViewやSlide Over、ステージマネージャーより、筆者は非常に好ましいと思うのだが、このあたり、iPhoneやiPadで育った世代はどう思うのか聞いてみたいところだ。

伝統のmacOSも、さまざまなデザイン変更を受ける

macOS 26 Tahoeも変更点が多い。

伝統あるmacOSで、保守的なユーザーも多いだろうから、ローンチされると違和感を訴える人も多いのではないかと思う。

まず、すでに話題になっていたが、最初に用意されるMacintosh HDのグラフィックが変わった。もちろん、実際のハードウェアとしては、とっくの昔にHDDを使わなくなっているのだからSSD的なものになるのは当然なのだが、地味かつパースを抑制した表現になっているので、好き嫌いは出るだろう。

ゴミ箱のデザインも変わっている。一番古いブリキ缶の表現から、Mac OS Xでメッシュのゴミ箱になって、3度目の大変更となっている。今度は半透明のプラスチックなのだろうか? 『ゴミ箱を空にする』を選ぶと中身が空になるのは従来通りだが、中に溜まるゴミが妙にカラフルで、リアルなのは煩雑な気がする。従来のように白い紙でいいと思う。

ウインドウやアイコンは全体的に角Rが大きくなった。これはハードウェアの角Rと合わせるためらしいが、Macの場合、ウインドウの角を掴んで広げたりする操作をよく使うので、角が丸まっているのは掴みにくい印象を与えるような気がする。

まぁ、慣れなのかもしれないが、ドキュメントや写真ファイルの角が全部丸まっているのは、開いた時と異なる表現なので、違和感がある。

また、初代Macintoshからの伝統であるウインドウ最上部のメニューバーも透明になって、広いディスプレイだと存在感が希薄になる。

iPadOS 26でマルチウインドウが使えるようになったりと、両者のインターフェイスは引き続き接近する方向にある。

しかし、どこまで進んでも『指とApple Pencilで直接操作する』『マウス、トラックパッド、キーボードで離れて操作する』という操作系の違いを反映したインターフェイスの違いは残していくようだ。つまり、操作系の違いを残しながら使い勝手は接近させていくということなのだろうか?

あと、古参ユーザーには、タグを選んでフォルダを色付けできるようになったのは懐かしくも嬉しいのではないかと思う。これはクラッシック OSや、Mac OS X自体の機能の復活だが、色で作業を分けていた人は多いだろうから、嬉しいアップデートだと思う。急ぎの案件は赤いフォルダ、その次は黄色……というような使い方を復活できる。

デザイン的には歴史に残る大きな飛躍。多少の痛みはあるかもしれないが……

以上のように見た目のアップデートは大きく、戸惑うユーザーの方も多いのではないかと思う。

対して、チップセットが変更されるとか、OSの根幹部分の仕組みを変更するとかいうわけではないので、おそらく内部構造的には大きな変更は行われていないように思う。つまり、見た目の変更の大きさの割には、トラブルなどは少ないのではないかと思う。

しかし、デザイン面での変更が大きく、一部辻褄が合っていないような部分はあるから、そのあたりはマイナーアップデートで修正されていくだろう。

Apple Intelligenceについては、Visual Intelligenceや、作文ツール、ChatGPTの呼び出しなど、OSとしての利便性は向上している。巨大なクラウドAIをアップルが回すより、必要なところを借りてくればいいという判断なのだろう。対して、ローカルAIは進化しているのだから、それでいい。たしかにSiriにはもうちょっと賢くなってもらいたいが(笑)

根幹部分とインターフェース部分の変更を同時に行うと、混乱が生じ、トラブルも増すだろうから「今回は外見のフェーズ」と受け取るのが良さそうだ。

筆者はトータルでは利便性が向上していると思うし、クラッシックOSから、Mac OS X、macOSと来たMacの系譜、スキューモーフィズムから、フラットデザイン……と進化してきたiOS、iPadOSの系譜を合流させて、一緒に使って違和感のないものにしようという壮大なチャレンジなので、歓迎したい。

使い勝手としては大きなジャンプだが、長い目で見ると、どこかで必要な跳躍だったと、何年かあとに振り返る変更になるのだろう。

(村上タクタ)

この記事を書いた人
村上タクタ
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村上タクタ

おせっかいデジタル案内人

「ThunderVolt」編集長。IT系メディア編集歴12年。USのiPhone発表会に呼ばれる数少ない日本人プレスのひとり。趣味の雑誌ひと筋で編集し続けて30年。バイク、ラジコン飛行機、海水魚とサンゴの飼育、園芸など、作った雑誌は600冊以上。
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