世界を挑発し続けるアーティスト、バンクシーの作品消失の謎を追う『失われたバンクシーあの作品は、なぜ消えたのか』発売

株式会社青幻舎は、ジャーナリストのウィル・エルスワース=ジョーンズ著『失われたバンクシー あの作品は、なぜ消えたのか』を2025年8月下旬に刊行する。本書では、謎多きストリートアーティスト・バンクシーが30年以上にわたるキャリアの中で創造した、現在元の形で存在しない作品たちの運命を詳細に掘り下げる。

書籍概要

場所の文脈と不可分で、万人に開かれていたはずの表現が、広く価値を認められたがゆえに切り取られ、囲われてゆく。この皮肉な構造すら「バンクシー的」と言えるのか?
–宇多丸(RHYMESTER)

故郷であるイギリス・ブリストルを中心に、世界各地で30年以上にわたり作品を描いてきたバンクシー。壁、ドア、歩道、車両など、多種多様な「キャンバス」に描かれてきた作品は、一過性というストリートアートの特性に加え、その爆発的な人気ゆえ、今ではそのほとんどが描かれた場所から消えてしまっている。

本書では、バンクシーの重要作品50点を中心に、なぜ、そしてどのようにして、姿を消したのかに迫る。清掃員による徹底的な除去、建造物の解体工事、アートディーラーによる「保護(保管・販売)」を目的とした撤去、他のグラフィティアーティストとの確執による上描きなど、作品消失の背景を豊富な写真、具体的事例、関係者へのインタビューなどを通じて明らかにする。

また、本書の翻訳監修には、バンクシーの活動を初期から注目し続け、『バンクシー アート・テロリスト』『覆面アーティスト バンクシーの正体』(監修)などの書籍を手掛けてきた社会学者、東京藝術大学大学院国際芸術創造研究科教授の毛利嘉孝氏が務める。

バンクシー芸術の本質、作品の金銭的価値、ストリートアート本来の一過性の性質について読者に問いかける、ありそうでなかったバンクシーのガイドブック的一冊だ。

内容紹介

『失われたバンクシー あの作品は、なぜ消えたのか』中面

消えるダイヤモンド(The Disappearing Diamond)
アメリカ・デトロイトの荒廃した地域に描かれた《ダイヤモンド・ガール》。ファンが裕福な人に買われるのを防ぐため撤去しようと試みるも、最終的には誰かに持ち去られ、行方不明になっている。

『失われたバンクシー あの作品は、なぜ消えたのか』中面

80万ポンドの馬小屋(The £800,000 Stable)
イギリス・グレートヤーマスの模型村、メリベール・モデルビレッジにバンクシーがこっそり置いた馬小屋の模型は、コロナ禍で苦しむ村の観光客を50%増加させた。しかし、毎晩馬小屋を隠さなければならない恐怖に怯えたオーナーは、オークションに出品し、80万ポンドで落札された。

『失われたバンクシー あの作品は、なぜ消えたのか』中面

木の外科手術(Tree Surgery)
ロンドンのホーンジー・ロードに描かれた、枯れ木の背景に緑のペンキで葉が描かれた作品。Googleマップにも掲載されるほど注目されていたが、過剰なアクリルガラスと保護壁によってほとんど見えなくなってしまっている皮肉な現状があった。

『失われたバンクシー あの作品は、なぜ消えたのか』中面

沈みたくなければ泳ぐしかない(Sink or Swim)
ヴェネチアの運河の岸壁に描かれた《移民の子ども》。運河の水位上昇と船の波の影響で徐々に消えつつある。この作品を修復すべきか、それとも自然に消滅させるべきかという議論があった。地元の銀行によって保存の動きが出ていることが語られている。

著者プロフィール
ウィル・エルスワース=ジョーンズ(Will Ellsworth-Jones)
イギリス、サンデー・タイムズ紙の主任記者、同紙ニューヨーク特派員を務めたほか、テレグラフ紙、インディペンデント紙、サガ紙で編集部門の要職を歴任。著書『バンクシー 壁に隠れた男の正体(原題 Banksy: The Man Behind the Wall)』(パルコ出版、2020年)は世界8カ国で展開されている。

毛利嘉孝(もうり・よしたか)
社会学者。専門はメディア/文化研究。東京藝術大学・大学院国際芸術創造研究科長・教授、音楽学部音楽環境創造科教授。現代美術や音楽、メディアなど現代文化と都市空間の編成や社会運動をテーマに批評活動を行う。主著に『バンクシー:アート・テロリスト』(光文社新書)、『ストリートの思想』(日本放送出版協会)など。

書誌情報
発売:2025年8月下旬
書名:失われたバンクシー あの作品は、なぜ消えたのか
著者:ウィル・エルスワース=ジョーンズ
翻訳監修:毛利嘉孝
判型:B5変
総頁:144頁
製本:上製
定価:2,970円(本体2,700円)
ISBN:978-4-86152-989-4 C0071

>>購入はこちらから

この記事を書いた人
Dig-it 編集部
この記事を書いた人

Dig-it 編集部

ライフスタイル提案メディア

「Dig-it(ディグ・イット)」は、アナタが何かにのめり込むキッカケとなる読み物を提供するWEBメディアです。ファッション、クルマ、バイク、アウトドア、グルメ、ステーショナリー、ビューティなど、さまざまな分野のプロフェッショナルが執筆しており、アナタのよき趣味の先輩となってくれることでしょう。
SHARE:

Pick Up おすすめ記事

「アイヴァン」からニューヨークに実在する通りの名前を冠した新作アイウエアコレクション登場

  • 2025.11.21

ニューヨークに実在する通りの名前を冠した「アイヴァン」の新作コレクション。クラシックな要素をサンプリングしながらも現代の空気感を絶妙に捉え服と同等か、それ以上にスタイルを左右する究極のファッショナブルアイウエア。 Allen 2023年、NYに誕生した「ビースティ・ボーイズ・スクエア」。その付近で出...

【ORIENTAL×2nd別注】アウトドアの風味漂う万能ローファー登場!

  • 2025.11.14

これまでに、有名ブランドから新進気鋭ブランドまで幅広いコラボレーションアイテムを完全受注生産で世に送り出してきた「2nd別注」。今回もまた、渾身の別注が完成! >>購入はこちらから! 【ORIENTAL×2nd】ラフアウト アルバース 高品質な素材と日本人に合った木型を使用した高品質な革靴を提案する...

【UNIVERSAL OVERALL × 2nd別注】ワークとトラッドが融合した唯一無二のカバーオール登場

  • 2025.11.25

これまでに、有名ブランドから新進気鋭ブランドまで幅広いコラボレーションアイテムを完全受注生産で世に送り出してきた「2nd別注」。今回もまた、渾身の別注が完成! >>購入はこちらから! 【UNIVERSAL OVERALL × 2nd】パッチワークマドラスカバーオール アメリカ・シカゴ発のリアルワーク...

時計とベルト、組み合わせの美学。どんなコンビネーションがカッコいいか紹介します!

  • 2025.11.21

服を着る=装うことにおいて、“何を着るか”も大切だが、それ以上に重要なのが、“どのように着るか”だ。最高級のプロダクトを身につけてもほかとのバランスが悪ければ、それは実に滑稽に映ってしまう。逆に言えば、うまく組み合わせることができれば、単なる足し算ではなく、掛け算となって魅力は倍増する。それは腕時計...

今っぽいチノパンとは? レジェンドスタイリスト近藤昌さんの新旧トラッド考。

  • 2025.11.15

スタイリストとしてはもちろん、ブランド「ツゥールズ」を手がけるなど多方面でご活躍の近藤昌さんがゲストを迎えて対談する短期連載。第三回は吉岡レオさんとともに「今のトラッド」とは何かを考えます。 [caption id="" align="alignnone" width="1000"] スタイリスト・...

Pick Up おすすめ記事

スペイン発のレザーブランドが日本初上陸! 機能性、コスパ、見た目のすべてを兼ね備えた品格漂うレザーバッグに注目だ

  • 2025.11.14

2018年にスペイン南部に位置する自然豊かな都市・ムルシアにて創業した気鋭のレザーブランド「ゾイ エスパーニャ」。彼らの創る上質なレザープロダクトは、スペインらしい軽快さとファクトリーブランドらしい質実剛健を兼ね備えている。 日々の生活に寄り添う確かなる存在感 服好きがバッグに求めるものとは何か。機...

着用者にさりげなく“スタイル”をもたらす、“機能美”が凝縮された「アイヴァン 7285」のメガネ

  • 2025.11.21

技巧的かつ理にかなった意匠には、自然とデザインとしての美しさが宿る。「アイヴァン 7285」のアイウエアは、そんな“機能美”が小さな1本に凝縮されており着用者にさりげなくも揺るぎのないスタイルをもたらす。 “着るメガネ”の真骨頂はアイヴァン 7285の機能に宿る シンプリシティのなかに宿るディテール...

雑誌2ndがプロデュース! エディー・バウアー日本旗艦店1周年を祝うアニバーサリーイベント開催決定!

  • 2025.11.21

エディー・バウアー日本旗艦店の1周年を祝うアニバーサリーイベントを本誌がプロデュース。新作「ラブラドールコレクション」や本誌とのコラボなど、ブランドの情熱が詰まった特別な9日間を見逃すな! 来場者には限定のブランドブックを配布! 今回のイベントに合わせ、「エディー・バウアー」をもっと知ってもらうため...

【UNIVERSAL OVERALL × 2nd別注】ワークとトラッドが融合した唯一無二のカバーオール登場

  • 2025.11.25

これまでに、有名ブランドから新進気鋭ブランドまで幅広いコラボレーションアイテムを完全受注生産で世に送り出してきた「2nd別注」。今回もまた、渾身の別注が完成! >>購入はこちらから! 【UNIVERSAL OVERALL × 2nd】パッチワークマドラスカバーオール アメリカ・シカゴ発のリアルワーク...

決して真似できない新境地。18金とプラチナが交わる「合わせ金」のリング

  • 2025.11.17

本年で創業から28年を数える「市松」。創業から現在にいたるまでスタイルは変えず、一方で常に新たな手法を用いて進化を続けてきた。そしてたどり着いた新境地、「合わせ金」とは。 硬さの異なる素材を結合させるという、決して真似できない新境地 1997年の創業以来、軸となるスタイルは変えずに、様々な技術を探求...