三式戦闘機「飛燕」のレプリカが期間限定で一般公開された!

第二次世界大戦中に日本が実戦投入した戦闘機のうち、液冷エンジンを搭載する唯一の戦闘機が飛燕だ。この飛燕の1/1レプリカモデルが一般公開された。はたして、当時の面影はどこまで再現できているのか。

飛燕レプリカ製作の背景。

当時、日本が開発製造した戦闘機の多くが空冷エンジンを搭載していたのに対して、飛燕は液冷エンジンを搭載しており、日本が実戦投入した戦闘機では唯一の液冷エンジン搭載機となる。

開発から生産までカワサキが手がけ、エンジンはダイムラー・ベンツ社のDB601エンジンをベースとして、カワサキが国産化した。この飛燕の1/1レプリカが3月1~3日の期間限定で公開されたのだ。

飛燕のレプリカ製作を企画したのは二輪用アフターパーツメーカーの「ドレミコレクション」で、立体造形・看板製作を主な事業とする日本立体が製作を担当した。

では、なぜ二輪用アフターパーツを開発販売するドレミコレクションが飛燕のレプリカを企画したのか。

ドレミコレクションは2017年、パプアニューギニアのジャングルで発見された飛燕をインターネットオークションで落札しているのだ。

落札した飛燕の復元を検討するものの、機体の腐食が激しく復元が現実的でないうえに、希少な実機をそのまま保存したほうが歴史を知る遺産としての意味が濃いと判断し、レプリカの製作に踏み切ったのだ。

こうして構想1年、製作期間2年の歳月をかけて、今年レプリカが完成したのである。今回の公開は、完成したレプリカのお披露目会というわけだ。

機体の構造とコックピット。

公開された機体はアルミ製で、外板はリベット止めされている。エンジンは搭載しておらず、プロペラは電動で動くが飛行はできない。寸法は全幅12.00m、全長8.75mで、運搬用に胴体、主翼、尾翼などに分割することができる。

実際、昨年9月に、製作途中の機体をイベント会場で展示した際には分割して搬入しており、組み立てには約3時間半かかっている。なお、レプリカといっても、すべての部品が複製品というわけではない。

コックピットに装備されている操縦桿や射爆照準器は当時の実物を使用しているのだ。そして今回、なんとこのコックピットに搭乗することができた。

飛燕には、主翼の付け根付近と胴体に足掛と手掛が格納されており、搭乗する際にはこれらを引き出す。このレプリカにも足掛と手掛が装備されているのだが、関係者ではない我々取材陣は用意されたタラップを使って搭乗した。

思ったより広い。筆者は戦闘機に搭乗するのは今回が初めての経験なのだが、戦闘中は強烈なGがかかるだろうから、体をある程度固定するために胴体の内壁が体に迫っているようなイメージを抱いていた。ところが、体の動きにかなり余裕があるのだ。

尾輪式のため目線はかなり上で、格納庫に保管されている今回は、まるで天井を見上げているよう。たとえればジェットコースターで発進直後に“カタカタ……”と頂点に向けて登っていく時のような目線の感覚だ。

つまり、離陸時や着陸時に滑走路を前進する際には、パイロットからは正面がほぼ見えないことになるのだ。離陸する時、こんな視界の悪さで滑走路を疾走していったのか……。

実物の操縦桿も握ることができ、慎重に触れると、手のひらだけが戦時中にタイプスリップしたような感覚を覚えた。

この機体はレプリカであり実機ではない。ただ、柵の中の見るだけの展示物ではなく、実際に搭乗できて当時の部品に触れることもできる。面影や雰囲気を体感するという点では、博物館の実機以上の効果があるかもしれない。

今回は、完成直後のお披露目会だったが、ドレミコレクションは5月くらいを目途に、本社がある岡山で公開の開始を計画している。

レプリカが製作された格納庫。垂直尾翼にデザインされた“D”の文字は、ドレミコレクションの頭文字。公開された飛燕のレプリカは今後はレンタルも予定している
プロペラは電動で可動する。着脱式で、プロペラを取り外して運搬することができる
キャノピーは開閉式で、コックピットに搭乗することができる。実機では座席にパラシュートを装備する
座席に座った状態から計器類を見る。手前に見えるのが実物の操縦桿だ
レプリカといっても、実物も使用されており、そのひとつが射爆照準器である
機体の外版はリベット止めされている。空気抵抗を低減させるため、ヘッド部が平らなリベットを使用する
飛燕の固定機関砲と、エンジンのピストン・コンロッド・スリーブも展示された。いずれも実物だ

2017年にドレミコレクションが輸入した実物の飛燕。エンジン、胴体、翼などが分解された状態となっている
レストアを企画したドレミコレクションの武 浩代表(右)と、製作を担当した日本立体の齊藤裕行代表(左)
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