2ページ目 - パッパラー河合の、あの時のあの愛用ギターを一気見せ!

シグネチャーモデル、ヤマハ MG‐K

ほどなく、爆風スランプはレコード会社から声がかかり、84年にシングル「週刊東京『少女A』」とアルバム『よい』でデビューを果たす。

「デビューするという時に、初めてESPに自分仕様で作ってもらったモデルが印象深いですね。ボディをショッキングピンク、ピックガードを黄色にして、ヘッドの形を変えてね。ライブで使いたかったので、トーンはいらねえや! って取っちゃった(笑)」

語弊があるのを承知で説明すると、トーンポットを取るということは、音の明るさの調整を捨てる、演奏の勢いに勝負をかけるギターになる。まさに初期爆風スランプのライブの雰囲気が伝わってくる一本だ。

「ちなみに、1stアルバムはムーンのテレキャスターで作りました。ムーンはシェクターのパーツを取り寄せて作る会社で、デビューする直前にお茶の水の宮地楽器で買いました。色は自分で黄色く塗っちゃった。後にヤマハでメンテナンスをお願いしたら、ヘッドにヤマハのシールを貼られちゃったんですよね(笑)」

その後、「大きな玉ねぎの下で」が入った2ndアルバム『しあわせ』(85年)以降レコーディングで使っていたのが、ヤマハのセッションⅡ–603Pだった。

「初めてヤマハに提供してもらったギターで、4枚目の『JU NGLE』(87年)くらいまでメインギターとしてレコーディングにも、ライブにも使っていましたね。それであまりにもいいという話から、MG–Kにつながるんです」

そう、ヤマハMG–Kといえば、パッパラー河合のシグネチャーモデル、つまり名前を冠したギターだ。シグネチャーモデルが作られるのはギタリストとして、大きな栄誉である。

「オレが使っていたのは、市販品のプロトタイプ。小ぶりで軽いんですよ」

まさに、武道館の端から端までギターを持って走り回っていた河合にピッタリのモデルだ。ネック上のフレットの間も狭く、 通常のエレキギターが21〜22フレットのところ、このMG–Kは25フレット(市販品は26フレット)ある。

「オレ自身もしばらく弾かないと感覚がわからなくなるくらい狭い。ただ、軽いから女性には弾きやすかったみたいで、当時ピンクサファイアという女性バンドのギターの子が使っていたらしいんですよ。何せ雑誌で『私が使っているのはパッパラー河合モデル(笑)』って答えていましたからね。なんだよその“(笑)”ってのはよ!(笑)」

時期によって変わるメインギターがもつ歴史

しかし、これだけ多くのギターを、河合はどうやって使い分けてきたのだろうか?

「確かにレコーディングではいろんなギターを使ったりしますが、わりとその時々によって、メインのギターを変えるタイプなんですよ。『怪物くん』(97年)、『ハードボイルド』(98年)あたりでレコーディングのメインにしていたのが、フェンダーの76年製ストラトキャスターでした。リズムもフロントでジャカジャカと刻めるから、気に入って使っていました。96年くらいからメインで使っているのはヤマハのパシフィカですね。軽くていい音が出るから気に入っているんです」

ギターを取り出す度に、河合の口からその時々の思い出が飛び出してくる。

「ポケットビスケッツのレコーディングで使いまくったのは、ヤマハのSG–3000。アルバムはほぼこれでやりました。あと、アコースティックでメインにしていたのが、ヤマハのAPX–20Cですね。これは『進め!電波少年』(日本テレビ系)で猿岩石のユーラシア横断ヒッチハイクの応援にインドへ行って、彼らの前で歌った時のギターです」

名曲「旅人よ〜The Longest Journey」(96年)を生み出したギター。一本一本がその伝説を語りかける。最後に、旺盛な活動を続ける今、気になっているギターを挙げてもらった。

「この前、ヨッちゃん(野村義男)と一緒になった時に、ゴールドトップのレスポールを弾いていて、すごくいい音を出してたんですよ。それで“レスポールもいいなぁ”と思い出して、選んで買ったのがグレコの78年製EG–800。これをライブで使いこなせるようにしたいなぁと画策しています」

新たなギターと共に、またひとつの歴史が紡ぎ出されようとしている。

あの時のあの愛機を紹介!

1.グレコ BM-900|高校時代、初めて手にしたブライアン・メイ・モデル

ブライアン・メイはピック代わりに6ペンスコインを使い、父と作ったギター「レッド・スペシャル」を操ったことで知られる。そのレプリカモデルがこちら。「これは、後から買い直したものですけどね」

2.グレコ EG-800J|ジェフ・ベックをコピーしていた高校時代の思い出

「ジェフ・ベックはストラトキャスターのイメージもあるし、レスポールならギブソンのオックスブラッドが本物だけど、コピーだからこそいいんですよ(笑)。大人になって、いいなと思ってつい買っちゃいました」

3.ESP スナッパー|ライブパフォーマンスに特化したカスタムモデル

ESPは1975年創業のギターメーカー。Charのシグネチャーモデルを作っていたことでギター少年の憧れに。当初は渋谷に店を構えており、河合もそこでライブに特化したカスタムを作ってもらったという。

このヘッドがいちばん大変だったって(笑)」
「暴れるのがメインだったんでボリュームだけ」

4.ムーン テレキャスター タイプ|1stアルバム『よい』を作った

「ムーンのギターは、わりとフュージョン系のギタリストが使うイメージでしたね」。ESPのメンバーを中心に、1978年に創業。当初は高品質で知られた米シェクターからパーツを取り寄せて作っていた。

5.ヤマハ セッションⅡ-603P|80年代後半のメインギター

ストラトキャスターをヤマハがリファインして作り出したセッションシリーズの一本。「80年代後半のメインギター。ピックガードにあるサインは、太田裕美さんとご一緒した際にいただいたものです(笑)」

6.ヤマハ MG-K(プロトタイプ)|ギタリストの夢、シグネチャーモデル

1988年発売。軽量コンパクトなので、取り回しのしやすい一本。MGではもう一本、B’zの松本孝弘のシグネチャーモデル(MG-M)が同時期に登場。MG-Kは後に後継機種のMG-KⅡも発売された。

(市販品は)フレット、フレット間も狭いのがポイント

7.フェンダー 1976 ストラトキャスター|時を経てヴィンテージに!

フェンダーの定番、ストラトキャスター。「1976年製のものですが、買った80年代にはヴィンテージじゃなかった(笑)。本当はボディがクリーム色だったんだけど、年が経つほどに黄色くなった。おもしろいですよね」

8.ヤマハ パシフィカ|最も愛用したゆえの悩み

「使いすぎてフレットが削れちゃって、打ち替えようか悩んでいるんですよ。新たに買ってみたんですけど、音が全然違う。だから、フレットを替えたら、音も変わっちゃうんじゃないかと思って、悩むところなんですよ」

ボディに謎のサインが…「ご一緒した際にもらった石野真子さんです(笑)」

9.ヤマハ SG-3000|ポケビの曲で大活躍した逸品

ポケットビスケッツのプロデュース時に大活躍したというSG-3000は、芯のある太い音で多くのファンをもつ逸品。「ちなみにSG-1000の青は高中正義さんが使っていたことで有名ですよね」

10.ヤマハ APX-20C|猿岩石の名場面に登場

やや小ぶりで、薄めのボディが特徴。「1990年から使ってきて、世界中いろんな所へ持っていきましたね 。ボディの後ろには猿岩石の二人のサインが入っていますが、少し薄れてきちゃいました」

「ピッキングでボディがすり減って、パテで埋めています」

11.グレコ EG-800(1978)|新たなメインギターに!?

「当時、日本製のギターは海外製より安く買えたけど、すごく質のいいギターぞろいなんですよ」という1978年製EG-800。「オレが学生の頃、クリエイションの竹田和夫さんがグレコのCMやっていて、あこがれたなぁ(笑)」

(出典/「昭和50年男 2023年5月号 Vol.022」)

この記事を書いた人
昭和50年男 編集部
この記事を書いた人

昭和50年男 編集部

昭和50年生まれの男性向け年齢限定マガジン

昭和50(1975)年生まれの男性に向けて、「ただ懐かしむだけでなく、ノスタルジックな共感や情熱を、明日を生きる活力に変える」をテーマに、同世代ならではのアレコレを振り返ります。多彩なインタビューも掲載。
SHARE:

Pick Up おすすめ記事

日本屈指のインディアンジュエリーブランドが放つ、美しき馬蹄のシルバージュエリー。

  • 2025.12.24

日本屈指のインディアンジュエリーブランド・ファーストアローズがこの冬新たにリリースした「馬蹄」を象った「ホースシュー」シリーズ。奇しくも2026年は午(うま)年。ファッション面だけでなく、来年こそは飛躍を願う人にとって最高の開運アイテムとなるはずだ。 新作「ホースシュー」シリーズを一挙紹介! 1. ...

「ORGUEIL」が提案する、凛冬を彩る大人のガーメンツ。

  • 2025.12.26

凛とした寒さが日に日に増し、コーディネートが重くなりがちな季節。クラシックなデザインと丁寧な作り込みのORGUEILのクロージングが、いつものスタイルを格上げしてくれる。さりげなく上質で存在感のある一着が、冬の日々を彩ってくれるはずだ。 Aniline Steer Oil A-1 Jacket 19...

上質な馬革をシンプルに愉しむ。石炭(COAL)を運ぶために使われていたコールバッグという選択肢

  • 2025.12.27

きめ細かく美しい銀面を持つことで知られる馬革。軽くて強靭、上品な質感、そして使うほどに味わい深い経年変化で、多くのレザーファンたちを魅了し続けてきた。そんな馬革をシンプルに愉しませてくれるのがINCEPTIONのコールバッグだ。 ヴィンテージをベースに、実用性を加味し再構築。 19世紀末から20世紀...

オリジナル建材で古民家をスタイリッシュにリニューアル! ビフォーアフターを大公開!!

  • 2025.12.28

2025 年の夏の時点では床だけが施工されただけの古民家を再び訪れると、当時とはまったく違う姿になっていた。カントリーベースはこの家にどんな魔法をかけたのか? 何でもない空き家が宝物なる材料と技術 [caption id="attachment_887933" align="alignnone" w...

アメリカンヴィンテージやヨーロッパのアンティーク品や建築物からインスパイアされた「ホリゾンブルー」のジュエリー

  • 2025.12.28

宝飾品と呼ぶべき繊細で美しいジュエリーを世に送り出し、国内外で人気を集めるHorizon Blue Jewelry。アメリカンヴィンテージだけでなく、ヨーロッパのアンティーク品や建築物など様々なものからインスパイアされた逸品は、大量生産できないため入手機会の少ない希少な存在だが、ここでは今後発売する...

Pick Up おすすめ記事

デニム界の異端児・ラングラー、製造期間は約1年のみの“幻の名作”がついに復刻

  • 2025.12.27

ロデオ・ベンをデザイナーに迎えてカジュアルウエアに参入したという歴史やカウボーイカルチャーとの結びつきなど、独自の発展を遂げてきたラングラー。膨大なアーカイブの中から、王道から希少な隠れ名作まで全6型が復刻を果たした。 幻の名作が華麗なる復刻を遂げた。 アメリカ三大デニムブランドのなかでも特異な歴史...

憧れの平屋が実現できる! かつてスクリーン越しに憧れたアメリカンハウスで暮らす

  • 2025.12.31

かつてスクリーン越しに憧れた、夢が詰まったアメリカンハウス。到底叶わないと思っていたその景色が、実は日本でも実現できるそうなんです。新婚ホヤホヤの編集部員、パピー高野とジョージが、アメリカンスタイルを得意とする、埼玉県を中心に海外スタイルのお家を手掛ける注文住宅・輸入住宅の専門店「古川工務店」の住宅...

オリジナル建材で古民家をスタイリッシュにリニューアル! ビフォーアフターを大公開!!

  • 2025.12.28

2025 年の夏の時点では床だけが施工されただけの古民家を再び訪れると、当時とはまったく違う姿になっていた。カントリーベースはこの家にどんな魔法をかけたのか? 何でもない空き家が宝物なる材料と技術 [caption id="attachment_887933" align="alignnone" w...

上質な馬革をシンプルに愉しむ。石炭(COAL)を運ぶために使われていたコールバッグという選択肢

  • 2025.12.27

きめ細かく美しい銀面を持つことで知られる馬革。軽くて強靭、上品な質感、そして使うほどに味わい深い経年変化で、多くのレザーファンたちを魅了し続けてきた。そんな馬革をシンプルに愉しませてくれるのがINCEPTIONのコールバッグだ。 ヴィンテージをベースに、実用性を加味し再構築。 19世紀末から20世紀...

映画で観た欧米のクラシックな世界観をモダンに昇華。“好き”が詰まった空間で暮らす!

  • 2025.12.30

衣食住は、私たちが生活するうえで必要不可欠な要素である。なかでも日々の生活と最も密接に結びつく住居には、ひと際こだわりたいもの。自分のお気に入りの空間を作るための選択肢のひとつに、リノベーションがある。 “三人四脚”で作り上げた理想の居住空間 兵庫県芦屋市。豊かな自然と落ち着きのある街並みから関西で...