パッパラー河合の、あの時のあの愛用ギターを一気見せ!

爆風スランプのギタリストにして、ポケットビスケッツなどのプロデュースでも知られるパッパラー河合。ステージを所狭しと駆けめぐり、笑顔で汗だくになりながら、楽しそうにギターを弾く男。数々の伝説を残してきたギタリストはどんなギター遍歴を歩んできたのか? コレクションと共にその歴史をひもとく。

ギターで世界が広がった

パッパラー河合|昭和35年、千葉県生まれ。1982年に爆風スランプを結成、84年にメジャーデビュー。ギタリストとしての活動の他、ポケットビスケッツの作曲や、YURIMARI、ぱふゅ〜む(現・Perfume)のプロデュースなど、多彩な活動を行っている

2022年に放送されたアニメ『ぼっち・ざ・ろっく!』は、ひとりぼっちでギターテクを磨く人見知りの少女が、バンド活動を始めてギタリストとして成長するさまを描き、話題を呼んだ。ギターを持てば、世界が広がる。諸兄のなかにもこうした思いを思春期に抱いた人がいるだろう。昭和50年男にとっての“最も楽しそうにギターを弾くギタリスト”パッパラー河合もギターで世界を広げたひとりだ。

「若い頃はギターは高くてなかなか買えませんでしたから、後になって思い出を取り戻すためにギターを買い直したりすることがありますね。うん、それは今でも(笑)」

プログレ少年最初の曲は「虹と雪のバラード」

そんな河合のギター遍歴は、小学5年生までさかのぼる。

「札幌オリンピックのテーマ曲『虹と雪のバラード』(トワ・エ・モア)をどうしても弾きたくて、母親の実家にあった白いギターを手に取ったんですよ。白いギターって、土居まさるさん司会の『TVジョッキー』(71〜82年/日本テレビ系)で賞品になっ ていて、流行っていたんです。ただ、いざ弾こうとしたら、弦が1本しかなくて(笑)。それでも弾いたんですよ。弾けるもんです」

自分のギターを持ったのは、中学に入った時だった。

「親にねだって、柏(千葉県) の楽器屋さんでフォークギターを買ってもらったんです。確か1000円、4500円、1万円というラインナップで、真ん中の4500円のものを買ってもらった。どこのものかはわからないけど、悪くないギターでしたよ。さすが4500円!」

そのギターでフォークを練習するかたわら、彼の運命を変える音楽に出会う。プログレッシブロック、いわゆるプログレ。プログレッシブの名のとおり、先鋭的な音楽で、ジャズから現代音楽まで多様なジャンルを取り入れ、変調、転調も繰り返される。プレイヤーにとっては技巧が必要なロックである。

「もう完全にどっぷりハマってね。中学を卒業する頃には立派なプログレ少年です」

ピンク・フロイド、キング・クリムゾン、イエス、ジェネシス、エマーソン・レイク・アンド・パーマー(ELP)…片っ端から耳 を傾けていく日々を経て、高校生になった河合は軽音部に入る。ここで初めてエレキギターを入手する。

「そこで友達からクイーンのブライアン・メイ・モデル、グレコのBM-900を買ったんですよ。その友達が突然『これからはブライアン・メイの時代じゃない』とわけのわからないことを言い出して(笑)。ギターにローランドのジェット・フェイザーと小さなアンプを付けてくれて4万5000円だったかな」

後にクイーンの日本語カバー「女王様」で活躍することを考えると運命的な出会いだが、このギターで練習したのは…。

「ギター少年なら必ず通るジェフ・ベック。プログレ少年としては、キング・クリムゾンのロバート・フリップもやるんだけど、難しいのと、ポップな曲がなかった(笑)。『21世紀のスキッツォイド・マン』とかをコピーするんだけど、難しかったなぁ」

変わったバンドなら変わったギターを持とう!

河合の音楽熱はますますヒートアップしていき、バンドマンになりたいと考えるようになる。

「親からは、大学へ行ったらバンドをやっていい、と言われたので、大学入った年の4月には、高校時代からの先輩のバンドに入ってライブをやってたんです」

バンドの名前は「スーパースランプ」。そのライブの客席に高校からの遊び友達がいた。後のサンプラザ中野くんである。

「中野はバンドをやっていなかったんですよ。それが、ライブを観て『オレもやりたい』と。当時アマチュアバンドをやる人間は楽器を弾きたいやつばかりで、ボーカルがいなかった」

かくしてボーカルを手に入れたスーパースランプは、ほどなくコンテストへ出場する。

「当時はコンテスト流行りで、ヤマハがやっていた『イーストウエスト』に出よう、と」

イーストウエストは76年から86年まで開催されたアマチュアバンドのコンテストで、サザンオールスターズ、シャネルズ、子供ばんど…これを足がかりにプロデビューするバンドが多かった。

「あれよあれよという間に予選を通過して、本戦の中野サンプラザへ…そこで『プロになれるぞ!』と(笑)」

アナーキーな曲の数々と、観客を魅了するパフォーマンスでこの年決勝に進出したスーパースランプは、翌年には同コンテストで準グランプリを獲得する。

「でも、プロから声がかからないんです。準優勝してからも1年くらい何も変わらなかった。その時に爆風銃(バップガン)にいた連中から声をかけられるわけです」

爆風銃はスーパースランプが準優勝した際に優勝したファンクバンド。同様にプロデビューできずにいた爆風銃のベース・江川ほーじん、ドラムのファンキー末吉と、スーパースランプの中野、河合がプロを目指して合体したのが爆風スランプだ。

「オレたちはプログレやテクノだったり、奇っ怪な音楽をやっていて、彼らはファンク。でも別ジャンルの音楽が合わさったら、おもしろいんじゃないか、ということになったんですね」

より多彩になった音楽性とテクニック、そして独特のパフォーマンスで、爆風スランプはライブシーンの人気をさらう。

「とにかく伝説を作りたいってことで、小麦粉をまいたりして…。当時はもっとすごいことをやっていた方々がいらっしゃいましたけど、プロになりたかったから、ライブハウスの方の迷惑にならないように、節度をもって暴れていました(笑)」

一風変わったバンドーー 河合の持つギターも変わった。

「変わったことをやるんだから、変わったものを持たないと、とグレコのエクスプローラーモデルを予備も含めて2つ買いました。いわゆる稲妻形のモデルで、ギタースタンドにも立てづらい(笑)。結構使っていたんだけど、どこかへいっちゃったんだよねぇ…」

この記事を書いた人
昭和50年男 編集部
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昭和50年男 編集部

昭和50年生まれの男性向け年齢限定マガジン

昭和50(1975)年生まれの男性に向けて、「ただ懐かしむだけでなく、ノスタルジックな共感や情熱を、明日を生きる活力に変える」をテーマに、同世代ならではのアレコレを振り返ります。多彩なインタビューも掲載。
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