「趣味の文具箱」編集長・清水のつぶやき<第3回>これが万年筆の本当の魅力だ!

好きな理由は言葉にできない。
好きな度合いが深いほど、好きを表す言葉はどんどん離れていく。
趣味の雑誌は、それでも言葉(やイメージ)でその趣味の楽しさを表現しようと努め、読者の「好き」に寄り添っていく。

雑誌「趣味の文具箱」は、文房具の楽しさや大切さを語り続けている。ここでは「万年筆の魅力」について、趣味の文具箱が語ってきた言葉を、4回に分けて紹介しよう。

第3回は「万年筆とインクが生む筆致の味わい」について。

インク出が良好な万年筆は、万年筆そのものの重さだけで書くことができる。つまり、ほとんど筆圧がいらないペンなのだ。指や手、肩などの無駄な力を抜いて、筆圧をかけないで書くと、筆致は自然さを帯び、字は見やすくなり、字面がきれいになる。悪筆と思い込んでいる人(ぜんぜん悪筆ではないのに、そう思い込んでいる人がとても多い)は、ぜひ万年筆を手にして欲しい。万年筆を握って、紙面にペン先を落としてみると、インクが自然に流れ出し、手指の力が抜けて体も心もストレスフリーになる。のびのびとした心地良さは文字にもはっきりと現れてくる。

紙面の上で湧き出るようにインクが奏でる筆致は、油性ボールペンにも鉛筆にもない万年筆ならではのもの。弾力のある金ペン先なら線の抑揚もやわらかく、細やかに変化する。また紙にのったインクが乾いた後には濃淡が生まれ、筆致に独特の味わいが加わる。

この記事を書いた人
清水茂樹
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清水茂樹

編集長兼文具バカ

雑誌「趣味の文具箱」編集長。1965年福島県会津若松市生まれ。文房具に関する雑誌の編集、オリジナル文具の開発を担当。2004年に「趣味の文具箱」創刊し、世界中の文具メーカーの取材を勢力的に続け、最新の文具情報を発信。筆記具や文房具の魅力と、手で書くことの楽しさを伝えている。
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