『OLD MOUNTAIN』代表・辻ノ内氏の’46年WLとホットロッドの六輪生活をインタビュー! 

ガレに端を発するアウトドアブランドとして人気を確立し、今やその枠を超えた幅広い展開で注目を集める『OLD MOUNTAIN』。ブランドのルーツとも言える代表・辻ノ内氏のモーターライフ、そして今年8月に出雲にオープンした新たな旗艦店=オールドシアターについてお話を伺った。

ブランドの軸にあるガレージライフ。

「十代の頃からバイクをいじることが好きで、ガレージで何かを作ることが軸にあって、バイク用のカーミットチェアをブラスやレザーでカスタムすることからオールドマウンテンは始まっているから、ブランドの原点はガレージなんです」

キャメルレザーを使用するチャアや真空管アンプなど、他に類を見ない個性的なアウトドアギアに始まり、アパレルやインテリア、無人島のグランピング施設経営、そしてオープンしたばかりの旗艦店『オールドシアター』など、幅広い展開に注目が集まるオールドマウンテンだが、そのルーツは代表である辻ノ内氏のガレージライフにある。

本誌で紹介するモーターフリークたちの「若い頃から乗り物好き……」は、決して珍しいことではないが、辻ノ内氏の話を聞けば、当時仲間内の乗り物のカスタムをプライベートで何十台も手がけていたようだ。つまり、とりわけ“いじる”ことが好きな乗り物好きだったわけだ。

そして、プロのカスタムバイクを研究するべく雑誌などを読み漁り、感銘を受けたのが当時のゼロ・エンジニアリング(現在はカリフォルニアを拠点とするチャボ・エンジニアリング)木村信也氏のカスタムだった。

「ベースモデルのエンジンの造形美を崩さずに、ハンドメイドで唯一無二のスタイルを作る木村さんのカスタムを見た時は衝撃が走りました。その車両はH-Dでしたが、日本らしい美意識も取り入れながら、圧倒的なオリジナリティがあった。それ以来ずっと憧れの存在なんです」

長年の憧れを叶えた無二のフルカスタム。

1995年、今はなき伝説のカスタムショー『ハーベストタイム』にてゼロ・エンジニアリングはWLを持ち込み人気投票1位を獲得。そのWLは、日本に木村氏の独創的なスタイルを知らしめたエポックメイキングな存在であり、そのWLをはじめとした木村氏のスタイルが、“ゼロスタイル”と形容され、ショップ名を冠するカスタムの1ジャンルを築き上げた。

当時の辻ノ内氏のバイクは国産だったが、木村氏のゼロスタイルが脳裏に焼き付き、時間が経ってもその衝撃が色褪せることはなかった。そして、20歳の頃に辻ノ内氏は地元出雲で飲食店を任されることになるのだが、全く面識のなかった木村氏に連絡を取って『ゼロスタイル』の名前を掲げる許可をとり、バー『ゼロスタイル』をオープン。全く異なる業種であり、木村氏にカスタムをオーダーしたことはもちろんH-Dに乗ったことすらなかった、ただ、それほどまでに木村氏に心酔していたわけだ。

その後、バイクを降りていた時期もあるが、漠然と「ある程度の年齢を重ねたらH-D」と胸に秘め続け仕事を軌道に乗せ、25年以上の時間が経過した2022年、満を持してチャボ・エンジニアリングにフルカスタムをオーダー。もちろんベースはWLでゼロスタイルをテーマに依頼し、完成したバイクが“OLD GOLD”である。

ゼロスタイルの象徴と言えるグースネックのフレームを骨格とする低く構えたフォルムは、決して一般的に乗りやすいバイクではないが、辻ノ内氏は普段の足として出雲を走り回っている。

旧車の操作感に惹かれる理由。

そして、“OLD GOLD”とほぼ同時期に完成し、昨年の横浜ホットロッドカスタムショーにて披露した’32年FORD“GOLD SNAKE”も同じガレージに格納される。

こちらは横浜のホットロッド専科バレーオートが当時の王道の手法に倣い、ビルドしたトラディショナル・ホットロッド。

ただし、単純な当時の焼き直しというわけではなく、トランクに親交の深いアーティストL..氏によるアートワークを落とし込み独自の味付けを加えて仕上げられている。

「ホットロッドに興味が芽生えたのは、バイクに比べれば最近のこと。ホットロッド乗りの友人の影響があって、ちょうどオールドシアターの構想も始まっていたから時代感的にしっくりくる部分もあり、その友人が信頼するバレーオートを紹介してもらってプロジェクトがスタートしました。今までいろんなクルマを乗り継いできましたが、いまの高性能なスポーツカーは、すごいスピードを出せるポテンシャルがあっても実際は日本の公道ではもてあましてしまう。ホットロッドは実際の速度というよりは、ストリートで感じられる体感的なスピード感が心地良い。

ランボルギーニを所有したこともありますが、ランボルギーニは優秀すぎて自分には合わなかった。ホットロッドは旧い分、乗り手の技術や意識で性能を補いながら乗ることも必要だし、車両と波長を合わせながら乗る感覚が面白い。それはOLD GOLDにも言えることで、どちらも現代の一般的なクルマやスポーツカー/バイクの乗りやすさとは無縁ですが、旧い乗り物ならではのドライビングプレジャーがある。それが、旧乗り物に惹かれる理由です」

旧い映画館を改装したブランドの集大成。

そして、出雲にオープンしたばかりのオールドシアターは、1950年代の映画館を改装したジャズ喫茶であり映画館、そしてオールドマウンテンの旗艦店だが、プライベートのガレージも併設される。

「自分にとって居心地の良い場所をオープンにしている感覚」と辻内氏が語るように、ブランドの世界観を発信する基地に、旧いカスタムバイクやホットロッドが並ぶガレージがあるのは必然だったというわけだ。

オールドシアターは、長年の憧れを実現させたカスタムバイクとホットロッドを含め、オールドマウンテンのフィルターを介して発信してきた辻ノ内氏独自の世界観の現時点での集大成と言えるだろう。旧い時代のモノ作りに影響を受け、旧い乗り物をホビーとする趣味人が、好きなモノを詰め込んだ空間に注目したい。

1950年代に建てられた映画館を改装したオールドシアター。狭い路地に佇むエントランスには当時の名残が感じられる。左の扉はガレージ部分で、アーティストL.氏が手がけたサインペイントは必見。

ヘルメットはヴィンテージMchalのオープンフェイスタイプ(左)と現行Mchal CLUBSTERがフェイバリット。近々、Mchal Japanとコラボレーションモデルを発売予定。

ガレージの棚にはヴィンテージランタンが並ぶ。ミュージアムクラスの超希少なヴィーンテージモデルも所有。

アウトドアギアや乗り物だけでなく、インテリアや照明、音響など様々なヴィンテージのコレクションがガレージに並ぶ。現代のモノ作りの背景では非効率なデザインやディテールなど、ヴィンテージプロダクツのモノ作りがオールドマウンテンのプロダクツに反映される。

1946 H-D WL “OLD GOLD” Built by CHABOTT ENGINEERING

レジェンドビルダー木村信也氏が、ゼロ時代の初心を意識してビルドした’46年WL。当時のカスタムシーンを席巻した、前方にストレッチしたグースネック・フレームを骨格とする低くシャープなシルエットが最大の特徴。

“OLD GOLD”は辻ノ内が衝撃を受けた30年前の木村氏の名作のオマージュだが、味わい深いメタルワークが光るワンメイドの外装やブラスパーツのアクセントなど、いまの木村氏の技術とセンスによって唯一無二のカスタムに仕上げられている。

手作業のメタルワークによる有機的な造形美が木村氏のカスタムビルドの真骨頂。シート下は右側にオイルタンク、左側に1ガロンの予備ガスタンクを装備。シートはLEATHER ARTS & CRAFTS MOTOの本池氏によるワンメイドで、センターにクロコダイル、その周囲にクードゥレザーを採用。辻ノ内氏がリスペクトする職人の技術が融合したカスタムなのだ。

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CLUTCH Magazine 編集部
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