ただバイクが好きなだけ、だから夢は尽きない。
筆者が清永氏を初めて取材させてもらったのは、月光が完成しレースデビューを果たした2016年。それ以来、何度もカスタム/レースバイクを撮影、取材しているが、常にまだ誰も見ぬオリジナリティを追求し、新たな夢に向かう姿勢に驚かされる。
最初の取材の時点でキヨズガレージは世界に名を馳せる存在だったが、その後も会う度に新たなチャレンジを着々と積み重ねている。世界基準の結果を何度も残しながらも、現状に満足することなく、果てのない探究をストイックに続ける姿勢に胸を撃たれたことがこの記事を書くことに至った最大の動機である。
清永氏の飽くなきチャレンジングなスピリッツのモチベーションとは、また、今後の目標について伺った。
「正直大義名分なんて全くなくて、カスタムもレースも好きだからやってるだけ。趣味もバイク、仕事もバイク、俺はこれしかないんですよ(笑)。レースに関しては200mphを越えたいっていう目標はありますが、それ以前に自分で作った自分のスタイルのバイクに自分で乗って勝ちたい。
カスタムも頭の中には、まだまだやりたいことがあるし、レースバイクのチューンも然り。仲間も先輩もオリジナリティに溢れた人が多いから、常に刺激が多いのは恵まれた環境ですね。決めているのは限界を自分で決めちゃいけないってことで、好きなことを全力でやっているだけなんですよ。おそらくこの先も一生バイクをいじりながら、ああでもないこうでもないって、もがき続ける人生なのかな(笑)」。
好きなことをやり続けて生きる。極めてシンプルだが、当然簡単なことじゃない。多くの人が一度は憧れる人生のテーマだろう。好きが故に妥協できないし、好きが故に野望が尽きることはない。いちメカニックであり、純粋なバイク好きとして、ガレージで黙々とバイクと向き合い、レースやカスタムを通して家族や仲間と喜びを共有する、その瞬間の連続が最高峰の幸せに違いない。好きなことに本気で向き合えば、人生は短すぎるのかもしれない。バイクに取り憑かれた男の人生をかけたチャレンジに終わりはないのだろう。


スピード&カスタムを体現する4台のカスタムレーサー。
ここに紹介するキヨズガレージ製作の4台は、全て実際にエルミラージュ、またはボンネヴィルのランドスピードレースに参戦するレースバイク。速さが正義の世界においても、唯一無二のオリジナリティを求め、スピード&カスタムを体現するのがキヨズガレージの真骨頂だ。造形美と機能美を高次元で兼ね備える才色兼備なカスタムレーサーを紹介する。
秋水 “The Sharpe Edge”1946 H-D EL
ELを愛してやまない清永氏の愛機であり、レースエンジンビルドの最大の挑戦としてランドスピードレースのために捻り上げられた秋水。上部が華麗なカスタムペイントを纏うチューブフレーム、下部がアクスルホルダー/エンジンマウント一体のアルミプレートとなった2部構成のフレームワークが最大の特徴で、心臓部は純正ヘッドをモディファイしてFCR41φデュアルキャブレターを装備。昨年5月のエルミラージュでA-VG/1000クラスのレコードを樹立し、次なるステージは、ボンネヴィルでのレコードブレイクに期待が高まる。
ロワフレームは軽量かつ高強度を誇る超々ジュラルミン“7075”を採用し、フューエルタンクをリアのシート下に装備することで限界まで低いライドポジションを実現。エンジンは1000㏄の排気量はそのままに鍛造ハイコンプピストン、ラインウェーバーのハイカムをインストールし、クロスレシオミッションを組み合わせている。
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