「一生履き続けてほしい」という願いを込めて。「ラッセルモカシン」のアメリカ現地工場を取材!

アメリカ・ウィスコンシン州ベルリンにて、1898年に設立したRussell Moccasin。124年以上にわたり、アウトドア愛好家をはじめ、世界中のひとに最高品質のシューズを届けてきた。オールハンドメイドにこだわったモノ作りを徹底してきたRussell Moccasinの真髄を見よ。

クオリティを保つために、大量生産や効率化はしない。

Russell Moccasinのルーツは、南北戦争直後に設立され、主にウィスコンシン州の伐採者用のブーツを生産していたパトナム・シュー社にある。後にパトナム・シュー社を買収し、ライト・シュー社を立ち上げるが、ウィスコンシン州の伐採産業が終焉を迎え、一度廃業。1898年に創業者であるウィリアム・C・ラッセルがライト・シュー社を買収し、Russell Moccasin社が設立された。

伐採者用のブーツから始まり、時代の変化に合わせてアウトドアやハンターなどへ向けたブーツを展開。その数120種類と豊富なラインナップでアウトドア愛好家や多くの著名人から愛された。創業当初からモカシン製法に尽力したが、モカシン構造には、水が浸透しやすいという難点があった。

しかし、1910年、オーバーラップシームを開発し米国特許を取得。これにより、丈夫で防水性が高い、理想的なモカシン構造に辿り着いた。

Russell Moccasinのブーツは「永く履けるブーツ」を実現するため、リペアが必要になったとき、工場に発送する手間や時間を省けるように、どの国でもリペアできるようにと、オールハンドメイドを貫いている。最高品質のシューズを届けるという強い気持ちが、世界中にファンを持つ理由だ。

現在の工場から数メートル先にあり、1950年代から2年前まで使用していた工場での作業風景はイイ意味でいまと変わらない。いいモノは流行などに流されず、そのまま残していくという心意気が当時の写真で証明された。

機械でカットすると圧力で革が伸びてしまい、ムダが出るため、手作業でのカットが必須。永く履くためには、いちばん最初の工程でもあるハンドカットが重要であり、ここで差が出るという。

ステッチをスムーズに縫うことと防水効果をもたらすために、ワックスに通した糸でパーツを縫い合わせていく。チェーンステッチの味わいが深くなるため、ピューリタン社製のステッチミシンを使用している。

ダブルバンプと呼ばれる構造はアウターバンプのさらに下にインナーバンプを入れる二重構造。繋ぎ目が少ないインナーバンプは足首から下まで、ブーツの内側を覆うので、防水効果や足全体を包み込むようなホールド感が特徴的だ。

靴は足を包むモノと語るラッセルモカシンの靴作りは、理にかなっている。通常ならアッパーから作り上げていくが、インナーバンプを基準に下から上へと製作することで、たしかな履き心地を大切にしてきた。

1941年に発明され、特許を取得したシグネチャーオーバーラップステッチでアッパーを縫い合わせていく。この縫い目がブーツ全体の耐水性と耐摩耗性を向上させる。熟練の職人でも、1時間以上はかかる緻密な作業だ。

アウトソールもミシンを使って結合していく。手作業で行うことで、部分的にリペアが可能になる。1週間で80ペアを製作し、主にオーストラリアやヨーロッパへ運ばれていく。

余分なステッチを溶かしたり、オイルやワックスなどを混ぜて艶出しする最終工程の検品は、クオリティにブレを生じさせないようにと、ひとりの職人が行うことを徹底している。

飛行家や軍人が履き続けた、タフなブーツ。

第二次世界大戦の退役軍人であるアール・シェイファーは、1948年にジョージア州からメイン州にまたがるアパラチア山脈の長距離自然歩道をはじめて歩行しきった。その際に履いていたバードシューターブーツと日記がスミソニアン博物館に展示されている。

飛行家のウィリー・ポストはロッキーベガ「ウィニー・メー号」で初の世界一周に成功した際、バードシューターを履いていた。過酷な状況下でも屈しない、頑丈な作りだ。

通信販売でより良いサービスを提供すると考えたRussell Moccasinは1970年頃、50%がカタログによる販売となり、年間4万部が発送されていた。当時のカタログなどはいまもアーカイブされている。

【DATA】
Russell Moccasin Co.
151 S. Grove St. Berlin, Wisconsin 54923
Tel.920-361-2252
https://russellmoccasin.com/

(出典/「CLUTCH Magazine 2024年11月号 Vol.97」)

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