とっておきのヴィンテージデニム。志村昌洋さん

市場価値的にお宝級、博物館級はもちろん、苦労して手に入れたものや、たどり着いた経緯などから想い入れが詰まったデニムが人それぞれ存在する。志村昌洋さんにとってのとっておきのヴィンテージデニムは、デザイン性の高さを重視した結果、よりニッチな世界へ踏み込むことになったというジャケット。そんな一着を見せてもらった。

Roy Roger’s Denim Jacket

この個体以外に一度も出会ったことがないRoy ROGERSのジャケット。オリジナルのボタンをよく見るとMade By BELLの刻印からWarnglerと同一の工場で作られていた可能性もある

志村氏がこの業界に足を踏み入れる以前、約40年ほど前に購入したというRoy ROGERSのデニムジャケット。当時、いわゆるデニムの3大ブランドは、年代に関係なくさほど珍しくなく、どの古着店でも多く目にしたこともあって、興味は、より目新しいデザインのストア系ブランドの発掘にのめり込んでいったという。

「Roy ROGERSは1930年代〜1940年代に活躍した西部劇のキャラクターで、子供の頃、かろうじてテレビの再放送などで目にする機会があったんですよね。こういうキャラクターものの多くは子供用が多いんですけど、これは大人サイズ。後にも先にもこのジャケットと同じものには出会わないと思います。

このジャケットがすごいのはボタンをはじめとする細かなパーツまですべてオリジナルで作られているんですよね。それっておそらくデザイナーがついていたんじゃないかなと思うんです。初めてデニムにデザイナーが起用されたのは、Wranglerのロデオベンだと言われていて、このジャケットもBELLが作っていたとなると、彼がデザインしていた可能性も少なくないと思うんですよね」

プロダクツが作られた背景や当時の歴史を考察することもヴィンテージの愉しみ方、そして醍醐味のひとつなのだと教えてくれた。

両胸の付けられているファスナー付きのポケット。三角の引き手が付けられており、細かなパーツ使いから、当時このジャケットの企画にはデザイナーが存在していたのではないかと推測する

(出典/「CLUTCH2024年8月号 Vol.96」)

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