投機目的のヴィンテージ収集ではなく、「一生大切にしたい」と思えるものを手に入れる。

ヴィンテージウォッチ、ヴィンテージカー、ヴィンテージバイク、ヴィンテージジーンズ、ヴィンテージワイン……旧いモノの価値が見直され、各ジャンルでヴィンテージが注目を集めている。旧い=高いという方程式が成り立つジャンルが多いのだ。

筆者自身がかつて所有していた1980年代のドイツ車は20年前におよそ40万円で購入した。しかし、昨今の相場はきちんと整備されていれば600万とも700万とも言われている。コンディションが良くなくても、300~400万円というのが相場と詳しい者に聞かされた。とんでもない高騰ぶりだ。

ヴィンテージの世界では、購買者が選ぶのではなく、購買者が選ばれる側になることさえある。

1965年式メルセデス・ベンツ220(W111型)のオーナーである菊地章仁さんは、クラシックなハットメーカーとして海外にも多くのファンを持つTHE FAT HATTERのオーナー兼デザイナー。15年間もの長い期間をかけて手に入れたのがこのクルマだった。

理想のボディカラーとコンディションをずっと探し求めていたのだという。購入者はオーナーとの面接方式で決定されたそうだ。転売しないこと、無改造のまま乗り続けることなどを前オーナーと約束して、相応しい人物と認められ、譲り受けることができたのだ。ヴィンテージの世界では、購買者が選ぶのではなく、購買者が選ばれる側になることさえあるのだ。

ヴィンテージアイテムの値段が高騰を続けている。当然、相場なので値段が下落することだってあるだろう。投機目的で購入していたら値段の下落は大問題。購入者は頭を抱えてしまう。

しかし、本当に好きで、旧い時代のモノづくりに魅了され、とにかく欲しいという純粋な気持ちを持って購入したものであれば、世間の相場変動は心配することもない。どんなに市場価格が下落したとしても、自分の中の価値は変わらない。長く使えば、愛着だって湧いてくる。「憧れ」という字はりっしんべんにわらべ、つまり「子供の心」という成り立ちの漢字であるように、純粋なのである。

さて、CLUTCH Magazine vol.91 6月号の特集は「VINTAGE STUFF とびっきりのヴィンテージ」という特集。憧れを持って手に入れ、愛着のあるヴィンテージアイテムと共に暮らすオーナーたちが多数登場する。

前述の菊地さんのオールド・メルセデスを筆頭に、コーヒー焙煎機やギター、ハーレー・ダヴィッドソン、フライトジャケットなど、貴重なヴィンテージアイテムとオーナーの物語は、高騰するヴィンテージの市場価値ではなく、真のヴィンテージ価値とは何か? を考えさせてくれる。

CLUTCH Magazine 2023年6月号 Vol.91(2023/4/24発売)
株式会社ヘリテージ
¥1,430税込

下記サイトからご購入可能です。
https://club-lightning.com/collections/clutch-back-number/products/clutch_202306_vol91

この記事を書いた人
松島親方
この記事を書いた人

松島親方

買い物番長

『Lightning』,『2nd』,『CLUTCH Magazine』男性スタイル&カルチャー誌の統括編集長。ロンドンのセレクトショップ「CLUTCH CAFE」のプロデューサーも務める。 物欲を満たすためには海をも越え、全地球規模で買い物を楽しんでいる。
SHARE:

Pick Up おすすめ記事

毎日のそばに、エル・エル・ビーン。秋の定番、フィールド・コートとフランネル・シャツ

  • 2026.10.16

毎日の服に、特別な理由はいらない。気兼ねなく着られて、どんな装いにも自然となじむ。そんな日々のワードローブを支えてくれるのが、エル・エル・ビーンだ。今回は秋の定番、フィールド・コートとフランネル・シャツを着て街へ出た。 100年を超えて今日もいつもの日常着 朝、玄関を出るときに手が伸びて、休日にもつ...

ガレージ、インテリア、リフォームまで! 趣味人のための、物件案内。

  • 2020.01.20

好きなものと暮らす、理想の城を手に入れよう。 家は、ただ暮らすためだけの場所じゃない。 どこに住むか、どんな空間にするか、そこで何を楽しむか。 ガレージハウスやアメリカンハウス、趣味部屋、インテリア、リノベーションまで、 「Lightning」ならではの視点で趣味人の理想の住まいを紹介する。

#PR

55周年を迎えた「MOTO」。周年を祝うスペシャルなレザー&シルバープロダクツを紹介

  • 2026.10.11

レザーやシルバーを駆使した製品を手がけるMOTO。1971年の創業より半世紀を超えて55年。ここでは、周年を祝うスペシャルプロダクツを紹介する。MOTOや本池秀夫さんが纏う唯一無二の世界観にも注目だ。(写真は「本池美術館」の隣にあるアトリエにて。周年限定のライダースジャケットにコンチョを装着する本池...

今季の「Lee」はブランケット付きジャケットに注目せよ!

  • 2026.10.19

シグニチャーモデル「101」が101周年を迎えるなど、アメカジ好きに多くの話題を提供してくれるLee。そんなアメリカンデニムを代表する同ブランドの注目の新作は、ブランケットを携えたワークジャケットだ。普遍的なデザインと保温性に優れるという機能を備えるこの秋冬の相棒となる逸品を紹介する。 Leeのシグ...

バガブージャケット、40年目の原点回帰。現代に蘇った名作ジャケットの魅力とは?

  • 2026.10.20

1986年に誕生した〈コロンビア〉の名作「バガブージャケット」が、今年で40周年を迎えた。その機能とデザインは、フィールドだけでなく街へも広がっていった。40周年となる2026年、その原点を振り返りながら、現代に蘇った[バガブージャケット]を見ていこう。 Bugaboo II 1986 Interc...

Pick Up おすすめ記事

FINE CREEKを世界でいちばん熱く語る男。

  • 2026.10.07

この男恐るべし、である。北海道・帯広にあるセレクトショップ、...Dannyオーナー、河合裕介さん。彼のセレクトスタイルは一貫している。自分の愛せるものしか、ショップに置かないのだ。「売れるモノ」をセレクトするのではなく、「自分の売りたいモノ」のみを並べる。この時代にあって、その姿勢はまさに「愚直」...

毎日のそばに、エル・エル・ビーン。秋の定番、フィールド・コートとフランネル・シャツ

  • 2026.10.16

毎日の服に、特別な理由はいらない。気兼ねなく着られて、どんな装いにも自然となじむ。そんな日々のワードローブを支えてくれるのが、エル・エル・ビーンだ。今回は秋の定番、フィールド・コートとフランネル・シャツを着て街へ出た。 100年を超えて今日もいつもの日常着 朝、玄関を出るときに手が伸びて、休日にもつ...

ネイティブアメリカンの美しき手仕事。伝統を守りながらもモダンな表現を得意とする現代作家を紹介!

  • 2026.10.08

ネイティブアメリカンのヴィンテージや工芸品を通して、彼らのカルチャーを伝えるCORNERS。今回は伝統的な手法を守りながらも、モダンな表現を得意とする現代作家をピックアップ。もの作りが乏しくなった今の米国だからこそ、余計に強く輝いているのだ。 Pamela Brown 1868年から続くナバホ族の織...

「Wrangler(ラングラー)」の名作、スタッズを纏う。レザーラバー垂涎スウェードモデルも登場!

  • 2026.10.19

ワークウエアとしての機能だけでなく、ファッション的視点を取り入れることで独自の立ち位置を築いてきた3大ブランドのひとつでありデニム界の異端児・Wrangler。そんな彼らの受け継がれし不朽の名作に“スタッズ”が施された特別モデルが登場した。 “スタッズ”で作るネオ・ウエスタンスタイル ラングラーとい...

バガブージャケット、40年目の原点回帰。現代に蘇った名作ジャケットの魅力とは?

  • 2026.10.20

1986年に誕生した〈コロンビア〉の名作「バガブージャケット」が、今年で40周年を迎えた。その機能とデザインは、フィールドだけでなく街へも広がっていった。40周年となる2026年、その原点を振り返りながら、現代に蘇った[バガブージャケット]を見ていこう。 Bugaboo II 1986 Interc...