アメトラを足元から支えた銘靴“オールデン”。愛を感じる経年変化をとくと見よ。

カスタムメイドのブーツやドレスシューズの受注生産に端を発し、のちに医療用矯正靴も手掛けた長い歴史と実績から、世界中の革靴ファンに愛され、アメリカ靴の最高峰との呼び声が高いAlden。アメリカントラッドを象徴する銘靴に惚れた賢人たちに、愛用の1足を見せてもらった。そこにはそれぞれの物語があった。

1.Algonquin Ox.(V-Tip)/54411 Algonquin Ox

いわゆるVチップと呼ばれるAldenの中でも定番として知られているモデルです。購入したのは約16年前の2006年。クラシックなフォルムであることから就職時に購入しました。当時、営業周りをしていたこともあり、長時間歩くことも多かったため、本当に疲れにくいシューズであることを身をもって感じることができました。現在は昔ほど、履く機会も少なくなりましたが、それでも年に数回は出番があります。ビジネス、ドレス、カジュアルとどのスタイルにもコーディネイトしやすいので、ファーストAldenとしてはこのモデルで正解でした。

「LAKOTA」オーナー・血脇弾(ちわきだん)

アメリカ靴の最高峰として名高いAldenの輸入総代理店ラコタの代表取締役。直営店であるラコタハウスも運営する。

2.Indy Boot/ANATOMICA by ALDEN Indy Boot

ANATOMICAとパートナー関係になる前、パリのショップに何度もお邪魔していた頃、2008年頃に購入。モディファイドラストを使用し、アッパーがコードバンの別注Aldenです。もちろんこれを買う前からAldenを愛用していましたが、まさかフランスでAldenについて詳しく知ることになるとは思っていませんでした。モディファイドラストが足に負担なく疲れにくいということやフィッティング、サイズ選び、人間の足型。ピエールさんと欣児さんの話を聞いて、もう1度買い換えるきっかけとなったのがこのブーツです。

「35summers」PR・信岡淳(のぶおかじゅん)

Aldenに出会いかれこれ20年以上。足馴染みの良さから定番のプレーントゥ、Vチップなど、複数足愛用している。

3.Tanker Ox./2490

コードバンのタンカーオックスフォードシューズは、長らく探していたモデルで、2年ほど前にデッドストックを購入。コードバン特有の良い味になることを期待してラフに履いています。とはいえカビが生えやすい印象があるので、乾燥した部屋で保管するようにしています。その昔、貴重なコインローファーを泣く泣く処分した想い出があるんです。サイズ選びは、ラストごとに把握しているので基本的に遊ぶことはありませんが、ピエール・フルニエ氏の教えにより、モディファイドラストのジャコブソンのみハーフサイズ大きめを選んでいます。

「SUN/kakke」オーナー・尾崎雄飛(おざきゆうひ)

日本を代表するファッションデザイナー。ヴィンテージカジュアルだけでなく、ドレスやスーチングにも造詣が深い。

4.Service Boot/4090

Alden愛用歴42年以上、革靴の中で最も多く所有するブランドで、なかでも1990年代初頭に購入したキャップトゥのシンプルなブーツはお気に入りの1足です。サイズ選びは使用するラストにもよりますが、実際に足入れをして、しっかりとフィッティングを確かめてから購入するようにしています。基本的にはカスタムなどせず、デフォルトの状態で履いていますね。この靴に関してはソール交換などもせずオリジナルのまま。Aldenは、ジーンズなどのカジュアルコーディネイトだけでなく、その日の気分によってドレスシーンでも履けるのが魅力です。

「BONCOURA」デザイナー・森島久(もりしまひさし)

ヴィンテージ全般に教養があり、古着キュレーターとしても活躍。2011年に自身のブランド、BONCOURAを始動。

5.Chukka Boot/1348

セレクトショップでアルバイトをしていた学生の頃、先輩から譲っていただいて以来、履き心地の良さと美しさから魅力にハマり、ずっと愛用し続けています。なかでもこのウィスキーコードバンは、長年探し続けても見つけられなかったシューズで、数年ほど前にアメリカに行った際、たまたま出会って即購入した想い入れの強い1足です。サイズ選びは特に重要で、自分の足型とハーフサイズ異なるだけで履き心地もだいぶ変わります。このチャッカはぴったりなマイサイズ。パンツの裾をロールアップしてハイトを見せて履くのも好きですね。

「THE FAT HATTER」オーナー・菊地章仁(きくちあきひと)

日本では、まだ多くないオーダーハットを受け付けるTHE FAT HATTERの代表。自他ともに認めるハットマニア。

6.Shell Cordovan Tassel Moccasin Loafer 664

CLUTCH Magazineをはじめ雑誌の編集を生業にする一方で、自分自身が代表を務めているロンドンのセレクトショップCLUTCH CAFEで、Aldenを取り扱っています。CLUTCH CAFE別注のインディブーツをはじめ、多くのモデルを展開していますが、私が購入したのはシェルコードバンのタッセルローファーです。20代の頃から長く愛用する他ブランドのタッセルは、足が太ってしまいきつくなったので、昨年こちらにグレードアップしたばかりです。ラフな格好が多いのですが、これを履く日は背すじがピンと伸びます。

エディター・松島睦(まつしまあつし)

本誌編集長。2nd、Lightningの統括編集長も兼任。ロンドンで経営するCLUTCH CAFEは2023年2月で開業から5周年。

7.Penny Loafer/723

サンフランシスコにあるAlden直営店で2010年に購入しました。通常、アメリカ国内のブランドやショップは、サイズ7~の展開が普通なので、もう1サイズ小さい自分は、本国アメリカでの購入は諦めていたのですが、直営店で奇跡の出会いを果たしたのがこのペニーローファーです。アッパーがスウェードのローファーなので、カジュアルでの着用はもちろんですが、展示会など、少しかしこまったシチュエーションの際に好んで着用していました。どんなスタイルでもコーディネイトしやすいアッパーのダークブラウンもお気に入りです。

「Chillrobe」オーナー・島倉弘光(しまくらひろみつ)

老舗インポートセレクトショップのディレクターを経て、2021年に独立。ヴィンテージウエアのECショップを運営。

8.Plain Toe Ox./53793

初めて購入したANATOMICA by Aldenはプレーントゥのブラック。それがすごく良くて、6年ほど前にパリに行った際、色違いで購入したのがこの1足。もともと足のサイズが11Dで大きいこともあり、靴のサイズ選びに失敗が多かったのですが、モディファイドラストは自分の足型にとても合っていて、長時間歩くのに適していると感じます。アッパーはカーフのダークブラウン。シーンや天気を気にせず履けるのも好きです。プレーントゥはラストの特徴がダイレクトに出る靴なので、モディファイドラストを試したい人にお勧めです。

「ANATOMICA TOKYO」ショップマネージャー・山根領太(やまねりょうた)

パリの名店、ANATOMICAの東京店にて店長を務める。モディファイドラストのプレーントゥは色違いで所有。

9.Monk Strap/N1602

Aldenは最初購入時に自分の本来のサイズとは誤ったサイズを購入したことのある経験者も少なくないはずです。自分もそのひとりで、初めて買ったAldenは、7DでしたがパリのANATOMICA本店で、オーナーであるピエール・フルニエ氏にブランノックデバイスと呼ばれる足の測定器で計測してもらったところ「あなたは8HDだよ」と教えて頂いてから、これまで良しとしていたシューズのサイズ選びの概念が変わりました。このモンクストラップシューズは特徴的なフォルムとオーセンティックなデザインが気に入っています。

「Arch」ゼネラルマネージャー・原祐輔(はらゆうすけ)

北海道出身。某大手アパレル会社に勤務後、ARCH TOKYOオープンと同時にミサンガインターナショナルに入社。

(出典/「CLUTCH2023年4月号 Vol.90」)

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CLUTCH Magazine 編集部
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