いわゆる古着やアンティークも愛好家の間では価値基準がある程度あるものの、そんな一般的で王道ともいえるチョイスでは選ばないのが独自のものさしを持っているデザイナー。世の中の価値基準よりも自分目線のものさしを大事にしているスティーブンソンオーバーオールのデザイナーである多賀谷さんの古着やアンティークの選び方は、その独特な審美眼も含めて参考になる。

ストーリーを感じるアイテムには魅力がある。

ブーツのなかでもウエスタンブーツは昔から好きなアイテムのひとつだけれど、そのなかでもACMEのウエスタンブーツが持つ美しいフォルムは銘品だと思っている。ウエスタンブーツというとブラウンや、2トーン、それにロデオの衣装のような派手なモノもよくあるけれど、個人的には装飾がシンプルなブラックが好み。これが探すと意外と無い。

いわゆるBulovaの手巻きアンティークウォッチであれば手を出さなかった。これがTiffany & Co.とのダブルネームにして、フリーメイソンのロゴが入っていたところが惹かれた理由。もともとはベルトも無い状態で、ロサンジェルスで見つけたモノで、日本でブラックのリザードベルトを取り付けている。コアな人には非常におもしろいモデルかと。

アクセサリーはあまりたくさん身につける性格ではないけど、その日のコーディネイトに合わせて気分でいろいろと変えたい派。これは年代こそ不明だけど、シンプルながらバランスの良いデザインに惹かれた。じつは元々は女性用のリングのようで、中央の宝石は鑑定書付きのグリーンスピネル。デザインが気に入れば女性用でも男性用でも私は気にしない。

破れたり、ほつれたりした部分を元の持ち主がリペアしたヴィンテージのハンティングジャケット。フランスのかつてのワークウエアは誰もが直しながら大切に使っていた歴史がある。雑な継ぎ接ぎやふぞろいなボタンなど、説明不要のオーラと当時の持ち主のストーリーを感じるだけで、これは手に入れたくなるアイテムかと。

年代はそれほど古くないハンティングジャケットだが、何を思ったか後染めでブラックになっている。しかもそれだけでなく、ボタンまでブラックに変更されている。元の持ち主が意図的にカスタムしたことは明らか。理由はわからないけれど。こういう一点物に近いアイテムが発掘できるのが古着との出会いのおもしろさだと思っている。
Photo/T.Furusue 古末拓也
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