イギリスでジャパンプロダクツが知れ渡る夜明け前。

ロンドン在住時にひょんなことから日本の出版社と出会い、自身のアパレルブランドをやりながら、日本の雑誌やプロダクツを販売する「クラッチカフェロンドン」のディレクターもこなす日々。日本の良いモノを英国から世界に発信することになった男が送る、英国のファッション事情や、現地の人たちが着こなすジャパンプロダクツなどなどをゆるーく紹介。第一回目は日本の雑誌が海外へと進出したなれそめをお届け。

日本の雑誌が世界に出て行く。それが現実に。

はじめまして(多分誰も僕のことは知らないので、少し自己中な自分の話をする)の記事のはずが、何故か松島親方の話になるのは、僕にとってこの人がいなければ、ここで記事を書くことがなかったと思うから(っあ、でもお世話になった人はもっといて、ココに書ききれないので、それはまたいつか)。

「?」という方も、少しお付き合い下さいませ。まずはなぜ私がイギリスでジャパンプロダクツを扱うクラッチカフェロンドンにいるのかということをお伝えしたく(次回からはゆるーい感じのファッション/ロンドンの記事書きます)。

みなさんがご存知の(詳しく知らない方でも雑誌の名前くらいは聞いたことがあると思います)「ライトニング」や「2nd」、「クラッチマガジン」は、じつは海外でも絶大な人気と、不動の地位を築いています。

それはまさに読者のみなさんがいてこそですが、じつは海外で手売り(一冊ずつ丁寧に)をしていたのが松島親方。

左が私、右にいるのがライトニングやクラッチマガジンではお馴染みの松島親方です。日本の雑誌を海外でプロモーションし、手売りするというスタイルを今も実戦してます

ペーパーレスに向かっていく真っ只中の2010年代、海外のファッション系の展示会に自ら突っ込んでいくその姿は勇者そのもの(あ、僕はそのサポートをしている僧侶と魔法使いの呪文を全部覚えた賢者みたいな感じです、多分。苦笑)。

本当に雑誌が好きな人、本当にモノ(ヴィンテージのモノとか、服とかクルマとか)が好きな人には、日本ではいつも目にすることができるそれらの雑誌たちの存在は刺さりまくったと思います。フィレンツェ、パリ、ベルリン、ロンドン、ニューヨーク、ラスベガスなどなど、大きな展示会には必ず出展し、リアルなファンと一人ずつ握手し、一冊ずつ販売していく。

出展先では、すでに雑誌の存在を知っていて「大ファンです」という人もいれば、「本の作りが素晴らしい」という玄人のような方まで、沢山の人が本を買ってくださり、「本を卸してほしい」というお客様もいれば、「本に出たい! 取材されたい」という人もいる始末。

ハッピーエンド……と思っていたところ、コロナになった2020年。この巡業はストップしてしまうわけです。(松島親方の海外進出の思いはこちらからご覧下さいませ。)

が、今回また始まりました、2023年1月のパリ。世間は自宅勤務、ズームミーティング、インスタライブに、スラックとデジタル化が進むなか、ここでも雑誌を積み、一冊ずつ売っていく。そのスタイルは変わりません。

2023年になって海外展示会への出展も再始動。コロナ禍とはいえ、海外渡航の制限も緩和され、以前のような活気が展示会にも出てきました。松島親方も以前のように日本の雑誌をプロモーションするため渡欧

服や靴にもNFTが着き始め、世間ではメタバースが流行っていこうとしているなか、まさに正反対。でも僕もコレが正しいと思うんですよね。もちろん、効率よくもっと良い結果が出るやり方もあるでしょうが……。

僕以上の年齢の方(私は1979年生まれです)にはまだまだ本(印刷物)が良いんですよね。

デジタルでも読めて、紙でも見れる、そんなハイブリッドな時代が今だとすると、これからはデジタルな方向に向かいつつも、本当に好きな本は手元に置いておく、と言う時代になるのかなと思っています。

長年このツアーをやっているので、海外にもたくさんの読者が増えました。たとえ文字が読めなくても、日本の雑誌は海外でも通用するんです。この取り組みがクラッチカフェロンドンへと進化していきます

この世界巡業、これからいつまで続くかはわかりませんが、雑誌が欲しいと言う方がいる限り、松島親方は世界を飛び回るんじゃないかなぁ、っとあらためて思いました。

そんな雑誌にまつわるあれこれや、ロンドンからのファッションにまつわる記事、クラッチカフェで起きたいろいろなことをこれからも発信していこうと思います。

▼クラッチカフェの様子が少しわかる同店で開催されたイベントの様子をどうぞ

メイド・イン・ジャパンのモノ作りがロンドンでも注目されている。

メイド・イン・ジャパンのモノ作りがロンドンでも注目されている。

2022年08月03日

この記事を書いた人
岡部隆志
この記事を書いた人

岡部隆志

英国在住ファッション特派員

クラッチカフェロンドン、アレヴォルディレクター。20歳のときに(2000年)渡英。ロンドンで過ごす時間が人生の半分を過ぎたころから日本語力が衰え始めてきた九州男児。中学生のときに購入したアメリカ製のジーンズをきっかけにアメカジにハマるも一番の好物はサッカー。将来の夢はサッカーチームのオーナー。
SHARE:

Pick Up おすすめ記事

遊び心とヘビーデューティ! 「ジムマスター」のアウトドア&ミリタリー

  • 2026.10.18

ほどよく力の抜けたカジュアルウエアを展開するカナダ生まれの「ジムマスター」。その真骨頂は、実は骨太なアウトドア&ミリタリーにある。ヘビーデューティな機能美を日常着へと昇華させる秘訣は、「ジムマスター」らしいほんのすこしの遊び心! カラフルな配色の裏に確かな実用性あり! 【右】主役は厚手のボアジャケッ...

メイド・イン・ノーサンプトンを貫く英国靴の筆頭「Crockett & Jones」のモノづくり

  • 2026.10.21

革靴の聖地であるノーサンプトンにて1879年に初声をあげた〈クロケット&ジョーンズ〉。英国靴を語る上で欠かすことのできない同ブランドのモノづくりの現場に足を運んだ。 一足の革靴に宿る147年の歴史と誇り 革靴産業の一大拠点として名を馳せる英国・ノーサンプトン。中世から靴職人が集まり、17世紀には軍用...

東京・入谷にできた靴づくりの新聖地「THE ZINE FOOTWEAR CLUB.」にメディア初潜入!

  • 2026.10.18

「ブラザーブリッジ」や「シュアブーツ」を手がける「ザ ジン フットウェア」。店舗と企画・縫製工場がひとつになったいわば“本拠地”を入谷に新設した。メディア初公開となる、その全貌に迫る。 メーカーでもあり店舗でもある新拠点 弊誌の読者であれば、おそらく「ブラザーブリッジ」という革靴ブランドはご存知であ...

原毛から生地まで。一貫生産を守る英国生地の名門「ムーン」とは?

  • 2026.10.19

服を突き詰めていくと辿り着くのが生地。トラッド好きなら一度は耳にしたことがあるであろう英国の名門が「ムーン」だ。羊毛から紡績、染色、織布を一貫して行う英国最後の生地メーカーが誇る伝統のモノづくりに迫る。(写真は、生地の製造において重要な“織り”の工程。タテ糸とヨコ糸をゆっくりと交差させ、チェック柄が...

ガレージ、インテリア、リフォームまで! 趣味人のための、物件案内。

  • 2020.01.20

好きなものと暮らす、理想の城を手に入れよう。 家は、ただ暮らすためだけの場所じゃない。 どこに住むか、どんな空間にするか、そこで何を楽しむか。 ガレージハウスやアメリカンハウス、趣味部屋、インテリア、リノベーションまで、 「Lightning」ならではの視点で趣味人の理想の住まいを紹介する。

#PR

Pick Up おすすめ記事

東洋エンタープライズが手がける「ゴールド」。高品質な素材選びに一切の妥協なし。

  • 2026.10.20

1965年に創業した日本屈指の老舗メーカー東洋エンタープライズ社が手がける〈ゴールド〉。同社が得意とするヴィンテージへの膨大な知見と技術力の高さを活かしつつも上質にモダナイズしたものづくりに定評がある。着用時のシルエットはもちろん、高品質な素材選びに一切の妥協をしないこと。それこそがシンプルな服に深...

金子ノブアキが着る【REDKAP × FREAK’S STORE】

  • 2026.10.21

長い歴史を持つワークウエアブランド〈レッドキャップ〉と〈フリークス ストア〉のコラボアイテムを金子ノブアキが今の感覚で着こなす。年齢を重ねたからこそ楽しめる服のこと、ブランドが持つ哲学のこと、そしてこれから大切にしていきたいこと。45歳を迎えた金子さんに、ファッションと生き方について話を聞いた。 タ...

世界最高峰のニットメーカー「JOHN SMEDLEY」が編むもの。

  • 2026.10.20

イングランド中部、リーミルズの自社工場で240年以上前からニットウエアを作り続ける〈ジョン スメドレー〉。1784年に創業した同ブランドが編んできた歴史と伝統が息づく場所で彼らが編むものとは。 240年の伝統と魂が息づくファクトリー 英国のトラッドブランドとして群を抜く歴史を持つのが〈ジョン スメド...

ガレージ、インテリア、リフォームまで! 趣味人のための、物件案内。

  • 2020.01.20

好きなものと暮らす、理想の城を手に入れよう。 家は、ただ暮らすためだけの場所じゃない。 どこに住むか、どんな空間にするか、そこで何を楽しむか。 ガレージハウスやアメリカンハウス、趣味部屋、インテリア、リノベーションまで、 「Lightning」ならではの視点で趣味人の理想の住まいを紹介する。

#PR

HISTORY OF B.V.D. 着心地を追求した150年

  • 2026.10.20

1876年、ニューヨークで誕生したB.V.D.。風を通すゆったりとした肌着から、水着、街や休日を彩るシャツまで。その歩みを貫くのは、日々を心地よく過ごすための工夫だ。時代ごとの広告や製品を手がかりに、着心地を追求してきた150年をたどる。 HISTORY OF B.V.D. 1876年 ニューヨーク...