三茶の住宅街にある完全予約制マンツーマンバーバー「バリカン」|東京・三軒茶屋

古着屋も多く並ぶ三軒茶屋の閑静な住宅街の中に佇む、完全予約制のバーバーショップ「BARRIQUAND」。1席のみでマンツーマン対応、外観から内装、小物に至るまでオーナーの會田マコトさんがこだわり抜いた逸品が揃う、大人の男性を惹きつけてやまない空間が広がっている。

日本のバーバーブームが本格化する前の2010年にオープン。

シックな佇まいが、ひと目でそれとわかる外観。中は三軒茶屋の喧騒とは一変し、大人の男こそ似合う落ち着いた空間に。さり気ないサインポールも◎

三軒茶屋の住宅街にあるBARRIQUAND(バリカン)は、完全予約制のバーバーで、中にはバーバーチェアが1席のみというプラベートサロンのような雰囲気。日本のバーバーブームが本格化する前夜である2010年にオープンした。

当初から旧きよき時代のバーバーをイメージしたわけではないとオーナーの會田マコトさんは語る。このようなクラシックな空間になったきっかけは、バーバーチェアの前にある1920年代に作られた英国のマントルミラー。たまたまインテリアショップで見つけたこのミラーが似合う空間にしたいと思い、今のようなインテリアになったそう。

そのため同年代のヨーロッパのアンティークファニチャーを中心に集めつつ、オリジナルで作る什器においては、ウッドのトーンをマントルミラーに合わせることで、全体の調和を図った。またもともとは暖炉の上に置いて使われていたものなので、どこかレンガを匂わせるようなタイル張りにするなど、そのルーツをうまく活かしている。

お客さんがよりリラックスできるように、1980年代のJBLの名機を事前に用意していたので、美しく収まるようにオリジナルの什器を設計した。空間に合ったインテリアを置くのではなく、インテリアに合わせた空間を作る。この様式美がこのような美しい調和を実現させた。

1席のみというプライベートな空間で、卓越した技術を持つオーナーの會田氏がカット&シェーブを行うのが、BARRIQUANDの最大の魅力

マントルミラーを基軸にした様式美を極めたインテリア。

バーバーチェアの正面にある鏡が、この店作りのきっかけとなったマントルミラー。1920年代頃に英国で作られたもので、暖炉の上に設置されていた。この年代らしいデコラティブな装飾だ。

鏡の両脇にある1980年代のJBLのセンチュリーゴールドを使った音響システムで、好みの音楽を流してくれるのも嬉しいところ。

カット中は、お客さんの好みに合わせて、音楽をセレクトする。レコードとCDが用意されており、流しているジャケットはこの位置に飾られる。ランプのチョイスも絶妙である。

ここはシェービングの際に使う道具や整髪料を置いているスペース。ここにあるタイルは、マントルミラーの下と同じものを使っている。このタイル使いが空間のアクセントになっている。

よく見ると昭和のアドバタイジングものを使っているのもおもしろい。高級髪洗粉と書いてあるボックスは、そのまま使うのではなく、鉢カバーとしてアレンジしている。

バリカンやハサミを置いているワゴンは、マントルミラーと同年代と思われるヨーロッパのヴィンテージ。英国の家具でよく見られるデコラティブな意匠が随所に施されている。

インダストリアルライトの下には、英国の画家フランシス・バラウドの作品で、日本VICTORのロゴ にもなったニッパー犬のアートワークが。このセンスは参考になる。

音楽好きでもあるオーナーの會田氏が行ったポール・マッカトニーの日本公演のチケットをアンティークのフレームで額装。チケットを並べるだけで絵になるのがおもしろい。

バーバー関連のアンテイークがあれば、ついつい買ってしまうとか。これはバーバーのサインポールが入った鏡。レストルーム横の壁にインテリアとして活用しているのだ。

内装に合わせて作った什器の中に、アンティークの棚を配するなど、新旧をうまくブレンドしているのが好印象。レザーの看板は、隣にあるクラフトショップにお願いしたもの。

入り口の待合スペースには、英国の伝統的な チェスターフィールドソファ。ヴィンテージで探したが、小ぶりなサイズが見つからなかったので、日本の現行品をチョイスした。

真鍮を使った鳥モチーフのアンティーク小物も洒落が効いている。よく見るとランプにも真鍮が使われており、うまくマッチしている。白すぎない壁のトーンも洒落ている。

クラシックな空間に中に、突如現れるスカルモチーフのランプ。旧いものではないが、実に洒落の効いたチョイス。置いてある木製のインテリアも全体の雰囲気にマッチしている。

レストルームにも抜かりなし。アンティークの真鍮製のバーにトイレットペーパーを組み合わせたアイデアがお見事。手のモチーフはタオルハンガーと予想。

レストルーム内にあるタオル置きもまたトイレットペーパーの台と同じく手をモチーフにしたもので統一。こまめにインテリアをチェックする會田氏らしいチョイスだ。

これはメガネのディスプレイとして使われていたアンティーク小物。クラシックに作り込むだけでなく、随所に洒落の効いた小物を置いた會田氏のセンスは見習いたいところ。

一見、真鍮を使ったアートワークかと思いきや、実はカレンダー。下に数字が書いており、上のパーツを転がして、日付けを合わせるというもの。

学校の教材として使われていたものも飾り方ひとつでアートに化ける。これもアンティークショップで見つけたもの。棚の中には、アンティークのバリカンなどが飾られている。

DATA
東京都世田谷区太子堂5-12-2 石川ビル1-B
営業/10:00~20:00(月〜金)、10:00〜18:00(土日)
休み/木曜
http://barriquand.business.site

※写真は取材当時のものです。現在とは異なる場合があります。

(出典/「バーバーインテリア」)

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CLUTCH Magazine 編集部
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