さらばミスター・クールス、ミスター・ハーレーダビッドソン。

  • 2025.09.04

芸術的な価値はどうあれ、ハーレー談義のネタにあるいは物理メディアのコレクションとして、ガレージの棚の飾りか肥やしにピッタリな、そんな映画をテキトーにゴショーカイする連載企画。今回はミスター・ハーレーダビッドソンの訃報に寄せて。

“ミスター・ハーレーダビッドソン”とは彼のこと。

3月17日の朝10時ごろ、旧くからの知人より、佐藤秀光氏の訃報が入った。以前より肺気腫と癌で闘病生活を送っていたことは知ってはいたし、「サンダンス」の柴﨑さんとも築地の癌研にお見舞いにも行っていたので、危うい状況は把握していたものの、改めて訃報を受けると暗澹たる氣持ちとなった。

1974年に東京の原宿で結成されたバイクチーム「クールス」。その中からバンドメンバーとして選抜され、1975年にバンドデビュー。ドラムパートを務め、初代リーダーの舘ひろし氏がバンドから去った後は、「クールス・ロカビリー・クラブ」のリーダーとしてバンドを率いていた秀光さん。1977年から翌1978年ごろにかけて、原宿でアパレルショップ「CHOPPER」を立ち上げ、矢継ぎ早に青山でライブバーの「BE-BOP」をオープン。この日本において、1970年代という時代から、バイクとロックンロールを軸としたビジネスを展開し、そこからの影響というのは、日本のH-D、チョッパー、バイカーシーンにおいて大きな影響力をもっていた。

バイク雑誌では『ミスター・バイク』誌において、たびたびグラビアを飾り、アパレル店「CHOPPER」の広告を展開、1984年ごろまでは、1980年式のワイドグライドをベースとした“ヒデミツ・スペシャル”をたびたびカラー広告で見せつけていた。

まだ俺が中学か高校に入りたてのころ、秀光さんに初めて会ったのは神宮前五丁目交差点近くのガゼットビルの2階、タバコ屋の上の店で1983年のことだったと記憶している。そんな当時を振り返ると、明治通りに面した店の前に置かれた氏のヒデミツ・スペシャルはよくよく眺め入ったもんだったし、代々木公園から表参道に抜ける原宿駅近くの右コーナーで、スズキのカタナをアウトから強引にワイドグライドで抜き去っていく姿、赤坂の田町通りをストレートのドラッグパイプを鳴り響かせて勢いよく走り去っていくさまなどは、いまでも鮮烈に覚えている。

俺にとっては、秀光さんというのは、ソニー・バージャーやアーレン・ネス、近衛連隊で昭和天皇を警護するべくJDサイドカーを走らせていた我が祖父と同じく“ミスター・ハーレーダビッドソン”と呼ばれるにふさわしい人物だった。

秀光さんが亡くなる1カ月ほど前のこと、病床にお見舞いにうかがったとき、秀光さんは酸素吸引器をつけていたため、話が聞き取りづらい状況ではあったが、改めて、「これまでで一番好きだったバイクは?」とうかがうと、「1980年式のワイドグライドだ。あれは特別だった」と言っていた。それまでにもスーパーグライド、デュオグライドと乗り、その後にもソフテイルからエボリジッドのチョッパー、近年のツインカムのトライクと、数多のH-Dを乗り継いでいた秀光さん。あの世では何を選んで乗るのだろうか? 改めて御冥福をお祈りします。合掌。

佐藤秀光|1951年4月1日生まれ、2025年3月17日午前10時07分死去。1980年代以降、日本のH-Dシーンに与えた影響は思いの外に大きかった。1980年代には人気に貢献したとH-D本社よりライディングブーツを贈呈されてもいた。

『イージー★ライダー』のポスターと同じく、人気のあったクールスの通称“ドラム缶”と呼ばれるポスター。昔は新宿の露天商もよく大きく貼り出して売っていたもんだった。

【映画①】『暴力教室』

制作年:1976年 制作:東映
主演:松田優作 出演:クールス

原宿のバイクチーム「クールス」からバンドデビューした初期の選抜メンバーをはじめ、バイクチームのメンバーも登場している。

【映画②】『黒のロックンロール』

制作年:1976年
メーカー:キングレコード

東京の原宿で結成されたバイクチーム「クールス」。その血判状を交わした21人のメンバーより選抜されたメンバーによって組まれたバンドというのが、当時としてユニークなアイデアだった。プロデューサーには“ミスター・イエローブルース”の異名を持つ大木トオルが名を連ねている。

【映画③】『燃えつきるキャロル・ラストライブ』

制作年:2003年(DVD)
メーカー:Universal Music

1975年4月13日に東京の日比谷野外音楽堂で行われた『GOOD-BYE CAROL 解散コンサート』を収録したドキュメンタリー映像。矢沢永吉、ジョニー大倉、内海利勝、ユウ岡崎といったキャロルのメンバーのほか、その親衛隊としてクールスが登場している。

(出典/「CLUB HARLEY 2025年6月号」)

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