ショベルヘッドが抱える問題点の根本と解消法とは? サンダンス流ショベルヘッド解体新書

  • 2025.09.18

登場から既に半世紀以上が経過しているもののいまなお高い人気を誇るモデル、ショベルヘッド。この企画では、その問題点や解決策を世界的H-DエンジニアであるZAK柴崎氏がレクチャー。医術にも似た工学理論についてをお伝えしたい。

「サンダンスエンタープライズ」代表・柴崎“ZAK”武彦|ショベルが現役だった時代である82年にサンダンスを創業し、それ以降、数々のオリジナルエンジンやパーツ、カスタムを生み出した世界的H-Dエンジニア。今回は実践に基づいたショベルの問題点と解決法をレクチャーしよう。

いまの技術と知識で行うべきショベルの根本的治療法

1966年に登場したアーリーショベルから数えると販売されてから既に60年近くの時間が経過しているショベルヘッドであるが、いま現在、それを手に入れ、走らせている多くの人が抱えてる悩みが「いつトラブルが起こるかわからない」というものだろう。

例えばこれからハーレーを買おうという人でも現行の「ミルウォーキーエイト」から「エボリューション」あたりを購入するならば、さほど不安を感じないだろうが、こと『鉄シリンダー』のショベルとなると途端に二の足を踏んでしまうという人が多いのも現実だ。

造られた時代や構造、金属の経年劣化などを考えれば、確かにそれは正しい感覚だろうが、しかし、いまの技術で正しく組み上げ、欠点を改善した車両に関していえば決してその限りではない。事実、今回もレクチャーを依頼した「サンダンス」のZAK柴崎氏が手がけたショベルといえば、決して大げさな表現ではなく、現行の車両と遜色ないどころか「面白さ」という点でH-Dの中で随一といえる官能の走りを見せつける。そして、それを生み出す要因をあえていえば、当たり前のことに聞こえるかもしれないが、ZAK柴崎というエンジニアが「機械を機械として正しく捉える」感覚をもち合わせているからにほかならない。

ハーレーを修理や整備するにあたって、まったく知識のない人間なら、まずマニュアルをひとつの基準とし、そこに書かれたことに則って作業を開始するだろう。しかし、その内容にまったく疑問をもたず「まるで聖書のような感覚で読んでいる人間」に問題があるともZAK柴崎氏は言う。

「例えばコンロッドのベアリングやピストンのクリアランスなどマニュアルに書かれた数値だと、適正値の倍以上。実はかなりユルいんだよ。その理由としてあるのが『AMF』の時代にエンジンの焼き付きによるクレームを恐れたメーカーが、あえて各部のクリアランスをガタガタの状態で出荷していたことが原因なんだけど、その数値を妄信的に信じている人が機械を正しく直せるワケがない。ショベルは最終型からでも既に40年以上経過しているのでエンジンにまったく手が入っていないものはないけど、調子の悪い車両の原因の多くは残念なことに直す側の技術的なクオリティが問題となっている場合が多いんだ。

例えば“ショベルにマルチグレードの化学合成油ってどうなの?”という人がいまだにいるけど、70年代はオイルシールやガスケットが化学合成油に対応していなかっただけ。だから不向きといわれていたんだけど、むしろいまの時代に鉱物油を使うほうがナンセンス。機械としての理屈、構造を考えればおのずとわかるはずだよね」と彼。

まるでレントゲンを覗き込むように、この記事で紹介するショベルの問題点を一つひとつ発見し、40余年に渡って治療を施してきたZAK柴崎氏だが、その姿勢はまさに名医の如し、だ。無論、彼の言葉の中には「ショベルはこんなもの」というフレーズはない。このマシンは必ず完治することを既にサンダンスが過去に手がけたマシンたちによって証明している。

ゆえに今回の企画でショベルの治療法と特効薬を貴方が見つければ、我々としても幸いである。

ショベルヘッドが抱える問題点の根本と解消法とは

数あるヴィンテージハーレーの中で最も完成度が高いといっても過言でないショベルだが、エボ以降のモデルと比較するとさまざまな問題点を抱えているといわざるを得ないのが正直なところ。構造的なウィークポイントが数多くあるのはもちろん、例えば「修理済み」「フルOH済み」と謳ったものでもキッチリと直っていない車両が多いのも現実だろう。その理由は本文中に触れるが、多くは人為的な要因が問題だ。

現代的なアップデートが要求されるヘッド&燃焼室

有鉛ガソリン時代に生産されたモデルゆえ、バルブシートの素材変更が必須なのはいうまでもないが、ガイドやバルブの変更などさまざまな箇所に改善の余地があるヘッドまわり。現在の化学合成油に対応したシールやガスケットの使用を念頭におくことが基本だ。

正しいオイルの選択とそれに伴う改善策の施工

ショベルが生まれた70年代はマルチグレードの化学合成オイル対応のシールやガスケットが存在しなかったゆえ、鉱物油のシングルグレードが純正指定されていたが、いまや明らかに時代錯誤。そうした点を考慮してもオイルフィルターの変更は必須だ。ちなみにオイルポンプは破損などがなければ純正でOKとのこと。

ピストンも鋳造から鍛造への変更がベスト

純正では鋳造製が採用されていたもののピストンに関してもいまは鍛造製を選ぶのがベスト。90年代までは「どちらでもいい」という風潮だったが、2000年代を越えてから技術が進化し、圧倒的に鍛造に分があるというのが実状だ。軽量な上、強度と耐久性も高い。

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