“断然革靴派”なアノ人のコレクションを拝見! 長年「ビームス」でプレスとして活躍した安武俊宏さんの思い出の一足とは?

業界きっての“断然革靴派”が所有する至極の革靴コレクションをご紹介! 靴磨き店や革靴ショップなどの革靴にまつわる名所を舞台に、それぞれの魅力や貴重なエピソードを彼らの革靴遍歴とともに語ってもらった。

2年の“修行期間”も今ではいい思い出に

「ビームス」オウンドメディア マネージャー・安武俊宏さん

日本が世界に誇るファッションカンパニー「ビームス」で12年間にわたりプレスを務め、現在は同社のオウンドメディアを統括する安武さんの思い出の1足はドレス担当のショップスタッフからプレスに着任する直前に本場・パリにて購入した「ジェイエム ウエストン」の[シグネチャーローファー #180]だ。

革靴好きの間では「ウエストンはタイトに履くべし」という暗黙のルールが存在するが、安武さんも例には漏れず「ウエストンのローファーはCウィズじゃないといけない」という先輩の教えを遵守。

「先輩から強めに言われていたこともあり、5サイズのCウィズを購入しました。最初の2年くらいは小指の付け根が当たっていてとにかく痛かった(笑)。その後、数年前に日本のお店で買い足したのですが、そこでは4ハーフサイズのDウィズを提案されて、これが自分の足にはぴったりで。そこでCウィズは足に合っていなかったのだと気づきましたが、今となってはいい思い出です(笑)」。

今回拝見させていただいたコレクションの6足を見てもわかるように、安武さんの持つ革靴は色や型のバラエティがとにかく豊かだ。現在所有する革靴はなんと60足以上! そんな中ではじめて買った「ジェイエム ウエストン」のローファーがブラックではなくオリーブなのも、ドレスからカジュアルまで幅広いコーディネイトに定評のある安武さんらしさが滲み出ている。

「正直、なぜこの色を選んだのかはわからないですが、その時々で『ワードローブの中でいまこういう革靴が足りない』という基準で自然と選んでいます。オリーブのローファーはコーディネイトがなかなか難しいですが、ベージュかホワイトのパンツを合わせることが多いです。こうやってどう履くかを考えるのが好きなのかもしれません」。

休日もスニーカーではなく革靴を履くことがほとんどだという安武さんにとっての革靴とは、趣味でありもはや生活の一部。「スーツを着る時もカジュアルスタイルの時も、僕のなかで革靴のないファッションは考えられないですね」と言い切る安武さんの革靴コレクションはこの先も増え続けていくのだろう。

あらゆるスタイルにハマるキング・オブ・ローファー|J.M.WESTON[シグニチャーローファー #180]

本場・パリで約12年前に購入。革靴好きであれば1足は持っておきたい名作ローファーは、キメの細かいボックスカーフとスマートなシルエットで様々なスタイルと合わせられる汎用性を誇る。1足目にブラックではなく、あえてオリーブを選ぶのが安武さんらしい。

【安武さんの革靴年表】

2003年(18歳) 札幌から東京に上京。文化服装学院の入学式用スーツに合わせて「レペット」のダンスシューズを購入

2005年(20歳) ビームスに入社。初めて購入した革靴は「エンツォ ボナフェ」のシングルモンク(ネイビーカーフ)

2012年(27歳) パリ旅行の際に写真の「ジェイエム ウエストン」の[シグニチャーローファー #180]を購入

2016年(31歳) 自宅を購入しリノベーション。奥行きを「オールデン」の靴箱に合わせた専用の靴棚を製作する

2024年(39歳) いつの間にか増え続け、革靴だけで約60足となる。それでもまだまだ欲しい靴がある状態

安武さんのワードローブに欠かせない革靴コレクション

クロケット アンド ジョーンズの[キャベンディッシュ3]。ビームスのドレススタッフのほとんどが所有しているという汎用性抜群の1足

パラブーツ×バブアー×インターナショナルギャラリー ビームスのトリプルネーム。[ミカエル]の履き口にワックスドコットンが張り付けられたデザイン

右上/チャーチのウイングチップ。光沢のあるガラスレザー、ダブルソールなど雨の日のスタイルにも適したディテール

エンツォ ボナフェ×ビームスのサイドレースシューズ。グリーンのパイピングとネイビースウェードが好相性

J.B.ヒルのウエスタンブーツ。表情豊かなオーストリッチ製のブーツはシャフトが細く、ジャケパンスタイルと合わせることが多い。ピッチの細かいステッチなど職人技が光る

ハインリッヒディンケラッカーのペニーローファー。いまはなきブダペスト工場で作られた重厚感のある1足

今回の舞台は……『Chett』

西武新宿線・中井駅から徒歩5分のところにある古靴店。英国、アメリカ、イタリアなど世界各国のヴィンテージシューズを取り揃える一方で、シューシャインやシューリペアなどのメインテナンスも受け付けている革靴好きには堪らない名店

【DATA】
Chett
東京都新宿区中井1-9-9 1-D
12:00〜19:00 火水曜定休
https://chett.shop/

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業界人の私物紹介やメインテナンス、編集部の検証企画など「断然革靴派」なコンテンツをお届けします!

https://www.youtube.com/@dannzennkawagutsuha

(出典/「2nd 2025年1月号 Vol.210」

この記事を書いた人
みなみ188
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みなみ188

ヤングTRADマン

1998年生まれ、兵庫県育ちの関西人。前職はスポーツ紙記者で身長は188cm(25歳になってようやく成長が止まった)。小中高とサッカーに熱中し、私服もほぼジャージだったが、大学時代に某アメトラブランドの販売員のアルバイトを始めたことでファッションに興味を持つように。雑誌やSNS、街中でイケてるコーディネイトを見た時に喜びを感じる。元々はドレスファッションが好みだったが、編集部に入ってからは様々なスタイルに触れるなかで自分らしいスタイルを模索中。
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